Little Glee Monsterの「ECHO」は、2019年にNHKラグビーテーマソングとしても使用された、力強くも繊細なメッセージソングです。スポーツの熱狂だけでなく、日常を生きる私たちの心にも深く響く歌詞が印象的なこの曲。今回は、その歌詞に込められた意味や背景、聴き手に届けたいメッセージについて考察していきます。
1. 曲の背景と制作意図 ― 「ECHO」が生まれた経緯
「ECHO」は、NHKラグビーワールドカップ2019のテーマソングとして書き下ろされた一曲です。作詞はいしわたり淳治氏、作曲は小名川高弘氏とCarlos Okabe氏。
この楽曲は、試合という真剣勝負の場面を想定しながらも、「誰かの声が誰かの背中を押す」という普遍的なテーマを軸に制作されました。歌詞には「信じる心」「立ち向かう勇気」「仲間との絆」といったキーワードが盛り込まれ、聴く人にエネルギーを与える構成となっています。
2. 歌詞冒頭「さぁ今こそ思い出すんだ~」が示すもの
冒頭の歌詞「さぁ今こそ思い出すんだ 走り出した日のことを」では、原点回帰の重要性が歌われています。
困難な状況に直面したとき、自分が最初に抱いた夢や情熱を思い出すことで、再び前に進む力が湧いてくる──。
このフレーズは、まさに苦境に立つ人々への「内なる応援メッセージ」です。スポーツ選手に限らず、日常生活の中で悩みを抱える誰しもが共感できる言葉です。
3. 「叫べよ 声のかぎり響け/この一瞬のプライドに…」というサビの意味解釈
サビの歌詞は、この曲の中でも最も力強く、感情のピークを表現しています。
「叫べよ 声のかぎり響け」という表現は、自分の存在をしっかりと世界に刻み込むような意思の表れ。
そして「この一瞬のプライドに賭けろよ 命燃やして」では、「今」という瞬間にすべてを懸ける姿勢が強調されています。
短いフレーズながらも、どこまでも真摯で、挑戦者の心を奮い立たせるメッセージが込められています。まさに応援歌の真骨頂です。
4. “仲間”“壁”“信じて進む”──歌詞に散りばめられたキーワードを掘る
「ECHO」の歌詞には、印象的なキーワードがいくつも登場します。たとえば、「仲間」と「壁」。
・「仲間と背中合わせに 信じて走る」
・「何度も跳ね返されて それでもまたぶつかって」
これらは、夢や目標に向かって進む過程で必ず直面する「協力」と「試練」を象徴しています。
誰かを信じ、共に戦うこと。困難に挫けずに立ち向かうこと。このふたつがセットになって、より強い意志と成長を生み出していくのです。
また「心の奥に眠る答え」という表現も、自己対話や自分らしさを大切にする姿勢を感じさせます。
5. 聴き手へ届くメッセージと、ライブ/MVでの表現(応援歌としての役割)
「ECHO」はリリース以来、多くのライブやテレビ番組で披露されてきました。特にNHKで放送されたラグビー中継と合わせて流れる映像や、公式MVでは、スポーツ選手たちの真剣な眼差しや、ぶつかり合いながら前進する様子が重ねられており、歌詞の意味が視覚的にも深まっています。
また、Little Glee Monsterのハーモニーが、ただ力強いだけでなく“温かく支える声”として聴こえてくることも、この曲の大きな魅力です。
この曲が単なるラグビーソングではなく、「人生というフィールドを生きるすべての人」に響く応援歌となっている理由は、まさにこうした歌詞と音の融合にあるのです。
まとめ:自分の声が“誰かのECHO”になる瞬間を信じて
「ECHO」は、タイトルの通り“こだま”のように、想いが誰かに届き、そして返ってくることを信じる歌です。
困難な時でも声を上げることで、誰かに届き、そしてその誰かの行動を変えるかもしれない。
そんな「声の連鎖」を生み出す力を持った楽曲、それが「ECHO」なのです。
Little Glee Monsterがこの曲を通じて伝えたかったのは、きっと「あなたの声にも力がある」という普遍的なメッセージなのだと思います。

