【LETTERS/BiSH】歌詞の意味を考察、解釈する。

BiSH(ビッシュ)は当初シングルのリリースを計画していましたが、新型コロナウイルスの影響を受け、急遽3.5thアルバム『LETTERS(レターズ)』を発表しました。

この作品はパンデミックによって触発されたものです。

特に、その中心曲である『LETTERS』における歌詞を深く掘り下げ、曲が持つ深いメッセージを解析していきたいと思います。

変わりゆく世界とBiSHの表現：『LETTERS』に込められたメッセージ

BiSHは、これまでの活動でライブを中心に据えてきましたが、新型コロナウイルスの流行によって、その主要な活動が妨げられました。

この困難な時期に、彼女たちは自分たちがいかに他人の支援に依存しているかを改めて理解しました。

ファンの支えはもちろんのこと、メンバー間の絆も試される中で、分離と感謝の感情が生まれました。

そんな経験を経て創り出されたのが『LETTERS』という楽曲です。

この曲には、今だからこそ共有したいという強いメッセージが込められており、その歌詞の意味を探っていきます。

あまりに突然に世界が
予告もなく変わり果ててしまって
あまりに突然に世界は
真剣に残酷な判断しちゃった

歌詞の出発点は、私たちの日常が一変した瞬間に置かれています。

“世界が一変した”というテーマは様々な表現で歌われていますが、「世界が深刻な決断を下した」というフレーズには、独特のBiSHらしい響きがあります。

この表現は、まるで事態が自分たちには手の届かないところで起きたかのような、一歩後ろからの視点を感じさせます。

これまで自然と続けてきた活動が突如停止させられた彼女たちにしかできない描写がここにはあります。

憤ってるとかじゃない
ただ僕ら目をそらさず
上手にかわせてないだけ
生きるのは難しいね

この部分は、無力感と戸惑いを感じさせる描写ですが、「ただ見て見ぬふりをしているわけではない」という歌詞が深く思索を促します。

新型コロナウイルスに直面してきた期間、私たちにはこの巨大な課題に立ち向かうよう求められていました。

世界的な危機への対応として、意識の転換が必要だということを繰り返し教えられてきました。

しかし、「ただうまく避けられていない」と表現されると、どこか期待はずれな感覚に陥ります。

現実との向き合い方が足りないのか、あるいは厳しい現実に立ち向かっているのかは定かではありませんが、いずれにせよ「生きることの難しさ」に辿り着くこの表現は、状況の深刻さを伝えています。

こんなときこそ僕ら
まっすぐにぶつかり合おう
立ち向かう厳しさを
バカにしないでくれ

彼女たちの言葉はシンプルですが、そこにはこれまでの経験を通じて得た確固たる決意が込められています。

ライブでの感情の交換を重視してきた彼女たちにとって、対面できない現状は直接向き合うことの重要性をより一層強調しています。

彼女たちは、これまでの活動を通じて見つけた答えを、自分たちを軽視しないでほしいと強く訴えかけるかのように歌い上げています。

すべて届けるよ胸の中
ダサい姿も全部晒そう
あなたいるこの世界守りたいと叫ぶ

見えない明日は待たない
今もあなたの無事を祈る
絶対距離は遠くないんだ
今も近くにあるんだ

シンプルながらも直接的な彼女たちの言葉には、音楽の力を信じる強い意志が感じられます。

この曲が人々に勇気を与える理由は、ただ前向きなメッセージを伝えるだけではなく、彼女たち自身の不安や焦り、孤独をも表現しているからです。

不透明な未来への直面方法として「待つことを拒む」決意を示し、私たちに新しい視点を提供しています。

BiSHが送る『LETTERS』に込められた希望が、現在の暗闇を照らす一筋の光となることを期待しています。