【Flavor Of Life/宇多田ヒカル】歌詞の意味を考察、解釈する。

宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」は、人気テレビドラマ『花より男子2』の挿入歌としても広く知られているシングル曲です。
この曲は、ウィスパーボイスで歌われ、感情が心に深く染み入るような歌詞が特徴で、若々しい視点から人生の微細な瞬間を捉えています。

宇多田ヒカルは『花より男子』の熱心なファン

宇多田ヒカルは、少女漫画界の不朽の名作である『花より男子』の熱心なファンであり、そのドラマ版が制作された際に、『花より男子2』のために特別に書き下ろした曲が『Flavor Of Life』です。
この曲のオリジナルバージョンは、CDシングルの最初のトラックとしてリリースされましたが、多くの『花より男子2』のファンにとって、耳馴染みのあるのは2曲目に収録された『Flavor Of Life-Ballad Version-』ではないでしょうか。
宇多田ヒカルのウィスパーのような歌声が、各エピソードのクライマックスで流れるたびに、多くの人々の涙腺が刺激されたことでしょう。

ため息と焦りの気持ち

ありがとう、と君に言われると
なんだかせつない
さようならの後も解けぬ魔法
淡くほろ苦い
The flavor of life

「ありがとう」という感謝の言葉が、以前は心を温かくした季節が過ぎ去り、時折「もっと率直にコミュニケーションできたらいいのに」と、遠さを感じる瞬間が生まれることがあります。
この一節は、宇多田ヒカルの詩の中で描かれる深い感情の世界に、一気に引き込まれる部分です。

友達でも恋人でもない中間地点で
収穫の日を夢見てる 青いフルーツ
あと1歩が踏み出せないせいで
じれったいのなんのってbaby

その感情の奥底に、現状よりもっと近づきたいという願望がありながら、友達以上恋人未満の壁が高く、焦りや空回りが続いている感情が、「青いフルーツ」として表現されています。
この一節は、早く対象の人に感情を伝えたくてうずうずしているため息と焦りの気持ちを表現しており、「君にもぎ取って欲しいのになぁ・・・」という願望が込められています。

君と一緒に穏やかで温かい未来を共有したい

甘いだけの誘い文句
味っけの無いトーク
そんなものには興味をそそられない
思い通りにいかない時だって
人生捨てたもんじゃないって

どうしたの?と急に聞かれると
ううん、なんでもない
さようならの後に消える笑顔
私らしくない

「友達以上恋人未満」の状況が、相手が「どうしたの?」と尋ねても、深い感情をうまく伝えられずに「ううん、なんでもない」と冷たいように返答する自分の歯がゆさを感じます。
お互いが「青いフルーツ」の感情を抱えたまま、「さようなら」と言った後に、心に苦い後悔が残る瞬間があります。
これは、恋愛だけでなく、人生には甘味だけでなく様々な雑味が含まれる時期だと感じています。

信じたいと願えば願うほど
なんだかせつない
「愛してるよ」よりも
「大好き」の方が
君らしいんじゃない?

「愛している」と「大好き」、どちらが自分にぴったりなのか、自分自身にとっての適切な感情表現は一体どれなのか、と悩むことがあります。
大人びた「愛している」を使うには、相手を完全に信じ切る経験が足りなくて、これが時には胸の奥で痛みを伴うこともあります。
自分自身に合った感情の表現方法を模索している、そんな時期なのかもしれません。

忘れかけていた人の香りを 突然思い出す頃
降りつもる雪の白さをもっと 素直に喜びたいよ

ダイアモンドよりもやわらかくて
あたたかな未来 手にしたいよ
限りある時間を 君と過ごしたい

以前はただ空から雪が降ってきたことで喜びに満ちていた素直さが、人生の経験と共に重ねるごとに、単純に喜ぶことが難しくなっている大人の自分を感じます。
求めているのは、君と一緒に穏やかで温かい未来を共有することです。
しかし、大人になると、お互いの気持ち以外の要素が人生に積み重なり、それを受け入れる時間も必要かもしれません。

歳を重ねて聞くと、ますます深い味わい

人生は、それぞれ異なるフレーバーを持つからこそ、多彩な色合いで豊かさが生まれ、さまざまな人々との交流を通じて、独りでは創り出せない深みが生じるのかもしれません。
宇多田ヒカルの『Flavor Of Life』は、歳を重ねて聞くと、ますます深い味わいが感じられる一曲です。