1981年にリリースされた佐野元春の名曲「SOMEDAY」は、今なお多くのリスナーの心を掴み続けています。疾走感のあるメロディに乗せられた、青春と夢、愛と孤独を描いた歌詞は、時代を超えて多くの共感を呼んでいます。
しかし、その一方で「何となくカッコいいけど、歌詞の意味が全部はわからない」という声も少なくありません。このブログでは、そんな「SOMEDAY」の歌詞の深い意味と、佐野元春が込めたメッセージを丁寧に読み解いていきます。
歌詞冒頭から読み解く ― “街の唄”“真夜中に恋を抱きしめたあの頃” の意味
曲の冒頭に出てくる「誰かがこの街の唄を 真夜中に歌ってる」は、孤独感と街のノスタルジーを感じさせる印象的なフレーズです。都市に生きる若者の孤独と、どこかで誰かが歌を通じてその孤独を分かち合っているという、淡い連帯感がにじみます。
続く「真夜中に恋を抱きしめたあの頃」は、青春時代の情熱や衝動を象徴しており、ただの恋愛ではなく、「何かを信じていた」過去への郷愁が込められています。
「夢をあきらめないで」 ― 若さ・喪失・成長をつなぐキーフレーズ
サビ部分の「夢をあきらめないで」は、この曲全体を貫く重要なメッセージです。80年代という時代背景の中で、夢や理想が簡単には叶わない現実に直面しながらも、それでも希望を捨てるなという力強いエールになっています。
このフレーズは、若者への応援歌であると同時に、過去の自分自身に向けた祈りや再確認ともとれます。実際、年を重ねて再びこの曲を聴くと、かつての自分と今の自分をつなぐ架け橋のように響くというリスナーも多いです。
“愛の謎が解けて/ひとりきりじゃいられなくなる” の解釈
この一節は非常に詩的で、リスナーの年齢や人生経験によって感じ方が変わる部分でもあります。「愛の謎が解ける」とは、単なる恋愛のテクニックや理屈ではなく、「愛とは何か」に対する自分なりの答えにたどり着いた瞬間のことです。
そして「ひとりきりじゃいられなくなる」は、孤独を乗り越え、他者と共に生きる覚悟を得た姿とも言えます。ここには、自己中心的な青春から、誰かと共に未来を築こうとする成長の兆しが込められています。
音響と構成から見るメッセージ性 ― イントロ/後奏/ノイズ演出
「SOMEDAY」の音楽的な構成も、そのメッセージを強く支えています。印象的なイントロのギターリフは、まるで新たな旅の始まりを告げるファンファーレのようで、リスナーの感情を一気に引き込む力を持っています。
また、後奏で入るホワイトノイズや演奏の余韻も、物語がまだ終わっていないことを示唆しているように感じられます。これは「SOMEDAY=いつか」という言葉が持つ、未来への未完の期待感を表現しているのではないでしょうか。
1970~80年代の文脈と今 ― 当時のリスナーと現代世代が感じる “SOMEDAY” の違い
「SOMEDAY」がリリースされた当時、日本は高度経済成長期を終え、バブル前夜の混沌と希望が入り混じる時代でした。若者たちは理想を抱きながらも、現実とのギャップに葛藤していたのです。
その中で、「いつかきっと」という願いをストレートに歌い上げる「SOMEDAY」は、ある種の救いでもありました。現代の若者にとっては、また別の形で共感を得られる曲になっています。SNSやテクノロジーに囲まれた世代でも、普遍的な「夢」「愛」「孤独」は変わらず存在し、それに向き合う姿勢は共通しています。
Key Takeaway
「SOMEDAY」は単なるラブソングではなく、人生の過渡期にあるすべての人に向けた応援歌です。歌詞に込められたメッセージや音楽的演出には、佐野元春がリスナーに伝えたかった「諦めずに進め」という強い意志が宿っています。
どの時代に聴いても、自分の心に寄り添ってくれる。それが「SOMEDAY」が名曲であり続ける理由なのです。