【そばかす/JUDY AND MARY】歌詞の意味を考察、解釈する。

1996年2月19日にリリースされたJUDY AND MARY(ジュディアンドマリー、通称:ジュディマリ)の9枚目のシングルは、多くの人にとって馴染み深い曲でしょう。
この曲は、フジテレビ系アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の最初のオープニングテーマとして採用され、多くの人々に親しまれました。
ジュディマリが唯一のミリオンセラーを記録した「そばかす」の歌詞について、詳しく探ってみましょう。


大キライだったそばかすをちょっと
ひとなでしてタメ息をひとつ
ヘヴィー級の恋はみごとに
角砂糖と一緒に溶けた
前よりももっと やせた胸にちょっと
“チクッ”っとささるトゲがイタイ
星占いも あてにならないわ

JUDY AND MARYの「そばかす」は、本当に悩んでいる人にとって共感を呼ぶ歌詞です。
この曲は、失恋の痛みを率直に表現しており、そばかすが気になってしまう感情を巧みに描写しています。
恋愛が上手くいかなかったことや、星座占いのせいで期待をしすぎたこと、そして傷ついた心をどうにか立ち直ろうとしている姿勢が歌詞から伝わってきます。

しかし、この心の傷は軽くはなかったようで、それが一段と深刻になってしまったことが痛切に表現されています。

もっと遠くまで 一緒にゆけたら ねぇ
うれしくて それだけで

将来も一緒に歩んでいけたら、それだけで充分だったと思う女性の純粋な気持ちが歌詞に表現されています。

想い出はいつもキレイだけど
それだけじゃ おなかがすくわ
本当は せつない夜なのに
どうしてかしら?
あの人の笑顔も思いだせないの

これまで一緒に過ごした時間は宝物であり、思い出し笑いが絶えないことでしょう。
そして、この曲の魅力的な部分はここから始まります。
通常、恋に傷ついた夜は悲しみに包まれることが多いはずですが、歌詞では違います。
過去の楽しい思い出に浸るのではなく、相手の笑顔ですら思い出せないほど、次のステップに向かって前向きに進んでいることが描かれています。
“男は別名保存、女は上書き保存”という言葉が良く伝えているように、女性はすでに新たな章を始めている迅速な変化が示されています。

こわして なおして わかってるのに
それがあたしの性格だから
もどかしい気持ちで あやふやなままで
それでも イイ 恋をしてきた

この部分の歌詞から、自由奔放でわがままな女性の姿が鮮やかに浮かび上がります。
自分勝手な一面や喧嘩っぱやさを振り返り、自己理解があることが伝わってきます。
しかし、そのような性格を改善しようとしても難しく、それでも一緒にいてくれる相手との恋愛を築いてきた過去が垣間見えます。

おもいきりあけた左耳のピアスには ねぇ
笑えない エピソード

この部分の歌詞には、奔放なエピソードが含まれています。
ピアスの位置や数には意味があり、左耳にピアスをつけることは「勇気や誇り」を象徴し、通常は男性がそうすることが一般的です。
女性が左耳にピアスをつけることは、しばしば男性的な特質を示すものとされます。
これまでの歌詞からも、男勝りの印象が感じられます。
あるいは、特別な意味や背後にある物語があるのかもしれません。
笑顔の裏に隠されたエピソードが、想像をかき立てる要素として提示されています。

そばかすの数をかぞえてみる
汚れたぬいぐるみ抱いて
胸をさす トゲは 消えないけど
カエルちゃんも ウサギちゃんも
笑ってくれるの

自分のそばかすの数を数えることで、自身の欠点に向き合おうとしている姿勢が垣間見えます。
女性らしい一面を強調し、変わろうと決意していることが表現されています。
しかし、突然女性らしさを披露するのではなく、ぬいぐるみを抱えている一幕があります。
これは過去に大切にしなかったことの象徴でしょうか。
ここでも男性的な一面が垣間見えますが、同時にぬいぐるみが微笑んでいる歌詞から、彼女自身が独自の世界を持っていることが示唆されています。

想い出はいつもキレイだけど
それだけじゃ おなかがすくの
本当はせつない夜なのに
どうしてかしら? あの人の涙も思いだせないの
思いだせないの Wo…
ララララララ
どうしてなの?

そして、サビの部分で物語が締めくくられます。
最終的には笑顔から涙へと変化しています。
思い出せない過去において、相手の男性が涙を流す状況を作っていたことに驚きますが、それさえも忘れてしまっているので、性格とは異なるように思われます。
そして、最後に自己認識が欠如している部分が示され、どうしてかわからない状態で物語は締めくくられ、不思議ながらも愛らしい印象で終わります。


アニメの主題歌が、アニメのコンテンツとリンクしないことは興味深いです。
ただ、神谷薫のような男勝りで素直になりきれないキャラクターが、多くのアニメに登場する典型的なタイプの一つとして考えられることは確かです。

時には予想外の要素が組み合わさって、成功につながることがあるのです。
この曲は、元々は異なるコンテキストで生まれたものかもしれませんが、アニメとの結びつきにより相乗効果を生み出し、多くの人々に愛される名曲となりました。
そのため、「るろうに剣心」と言えばこの曲、という印象が強調されていることは素晴らしいことです。
これが本当に優れた曲である証拠なのでしょう。