【三線の花/BEGIN】歌詞の意味を考察、解釈する。

音楽の偉大さ

いつしか忘れられた
オジーの形見の三線
床の間で誕生祝いの
島酒にもたれて

ほこりを指でなでて
ゆるんだ糸を巻けば
退屈でたまらなかった
島唄が響いた

鮮やかによみがえる
あなたと過ごした日々は
やわらかな愛しさで
この胸を突き破り
咲いたのは 三線の花

オジー、つまりおじいちゃんは、過去に三線を奏でることができる技量を持っていたことがわかります。
しかし、オジーは既に亡くなり、家族の中で三線を演奏できる人物は存在しないようです。
しばらくの間、オジーの三線は放置されていましたが、誰かがそれを手に取り、ホコリを払い、弦を巻き直し、音を奏でてみました。
すると、懐かしい三線の音が部屋中に響き渡り、オジーの島唄に関する思い出が生き生きとよみがえってきました。
その瞬間、胸の中に深く突き刺さるような感情が湧き上がり、過ごした日々の思い出が次々と蘇ってきたのです。
まるで、三線の音によって鮮やかな思い出が咲いた花のように、心に広がったのでした。


テレビの斜め向かいの あなたが居た場所に
座ればアルミの窓から 夕月が昇る
家族を眺めながら 飲む酒はどんな味
眠りにつく前の 唄は誰の唄
喜びも悲しみも いつの日か唄えるなら
この島の土の中 秋に泣き冬に耐え
春に咲く 三線の花

私の亡くなった祖父も、特別な場所で座っていました。
私は祖父と一緒に住んでいませんでしたが、親戚が集まる際、私たちはいつも同じ場所でお酒を楽しんでいたことを思い出します。

「家族のそばで飲む酒の味はどうだったか」
「寝る前に聞く唄は誰の歌だったのか」
生前、祖父にこれらのことを尋ねたことはありませんでしたが、今では少し気になります。
おそらく、BEGINも同じような気持ちから歌詞を書いたのでしょうね。

PV内のテロップでも示されていますが、テレビを見るよりも家族を見る時間が、幸せで楽しい瞬間だったことでしょう。

私たちが今後過ごす幸せな瞬間も、喜びや悲しみも、時間が経つと共に記憶の中に埋もれてしまうかもしれません。
しかし、それらは必ず花のように蘇るでしょう。
まるで、かつて思い出せなかったオジーとの出来事が、三線の音によってよみがえったのと同じように。

この空もあの海も 何も語りはしない
この島に暖かな 風となり雨を呼び
咲いたのは 三線の花

秋に泣き 冬に耐え
春に咲く 三線の花

音楽療法において、認知症の進行した患者に音楽を聴かせることが、感情的な反応を引き出すことがあります。
突然涙を流すこともあれば、思い出話を始めることもあり、音楽は驚くほどの力を持っています。
普段は思い出せないはずの大切な出来事を、特定の曲が思い出させてくれることがあります。
音楽の力は本当に素晴らしいものです。

「三線の花」のPVには、次のようなテロップが表示されています。
“何ものも人から音楽は奪えない”
この曲は、沖縄の三線を通じて、音楽の偉大さを世界中に伝えるものであり、その力を体現しています。