【ポロメリア/Cocco】歌詞の意味を考察、解釈する。

儚げでありながら力強く、そして透明感あふれる歌声を持つCocco(コッコ)は、多くのヒット曲を生み出してきました。
その魅力は、可愛らしさと同時に残酷さをも兼ね備えた、深い歌詞によってリスナーを引き寄せることにあります。
この機会に、Coccoの代表曲である「ポロメリア」をご紹介しましょう。
Cocco独自の世界観を存分にお楽しみください。

対照的な状況が、同じ世界で共存している

金網の向こう 陽に灼け果て
干からびてく通り道

知らない横顔を目で追いかけ
萌えた花の蜜をのむ

沖縄で成長した彼女は、おそらく多くの戦争の影響を受けた環境で育ちました。
実際に戦争について話を聞く機会もあったでしょうし、その痕跡を直接目撃することもあったでしょう。

朽ち果てたものが存在し、近づくことさえ許されない金網によって仕切られたエリアがあったでしょう。
そこには他の地域の人々が集まっている可能性もあり、誰が何の目的でそこにいるのかも分からないでしょう。
小さな少女は、その場に生き生きとした花々を見つけ、それに手を伸ばすでしょう。

一方、金網で区切られたこの側では、自然が繁茂し、繁栄しているかもしれません。
このような対照的な状況が、同じ世界で共存していると想像できます。


ここから走り出す力が欲しい
小さく丸まって
その合図をいつだって 待っていた

この3行には、”この世界から抜け出したいという強い願望”が感じられます。
しかし、実際にはその力が足りず、逃げ出すことは難しいかもしれません。
それでも、強くなるために、いつでも出発の合図を待っているように、小さな体でしゃがんでいます。
こうした切ない瞬間が浮かび上がります。


見上げれば終わりを見たこともない
目眩を覚えるような空(あお)
あの丘を越えればいつもあなたがいた
さよならかわいい夢

人の思い出は、嗅覚を通じて鮮やかに脳に刻まれます。
“かわいい夢” とは、おそらく幼少期の幸福な思い出の一部でしょう。
沖縄で生まれ育った彼女にとって、海の香り、緑の香り、そしてアスファルトの匂いは、幼少期の思い出に深く結びついていたことでしょう。

この歌詞は、幼少期の思い出について歌っているように感じます。
空は果てしなく広がっており、その果ては存在しないかのように、広がるのは鮮やかな青空です。
なぜ彼女が清々しい空の下で幼少期の思い出に別れを告げるのか、その理由が気になります。


おまえはいい子だと 愛しい声
錆びた欠片積み上げて

お前のためだよとキスをくれて
陽はまた落ち夜が明ける

この声の主は一体誰でしょうか?
物語の主人公が幼い少女であると仮定すれば、「守ってくれる存在」かもしれません。
お父さんやおじいさんのような、親しいかけがえのない存在でしょう。
彼らは頭を撫でながら、「いい子いい子」と優しく慰めているように想像できます。
しかし、この「愛しい人」には、傷つき、壊れ、悲しみに包まれた記憶もあるでしょう。
戦争や破壊がもたらした、崩れ落ちた建物や失われた愛する人々の思い出など、これらの「欠片」が2行目で示唆されている可能性があります。
それでも、幼い少女には、愛情を込めたキスや支えが与えられているでしょう。
この愛情には、「お前がいるから強く生きていけるよ」といった意味が込められているかもしれません。

瞬時に全てを奪ってしまう力

真っすぐ笑えない だけど笑って
わたしのためだけに走れるなら
まっすぐに守れたら

そして、この部分では、無理に笑顔を見せる「愛しい人」への感情が表現されています。
彼に向けられた「お前のために強く生きるよ」という言葉に応えて、主人公が「私のために生きられるなら、私はあなたを守りたい」という祈りのような感情が感じられます。


繋がれた風さえ動き始める
岬にやさしい雨の跡
強い光は影を焦げつかせて 冷えた
愛から覚めるように

ここで言及されている「光」は、自然の光ではなく、Coccoが伝えたいメッセージの象徴として捉えられるかもしれません。
小さな頃から「戦争」を身近に感じて育ったCoccoの視点から見ると、強烈な光は原爆を象徴し、瞬時に全てを奪う力を持つものとして表現されています。
このような光は、愛からも奪い去るかのように、一瞬で幸福を奪ってしまうでしょう。

時が経ち、優しい雨が痛ましい傷跡を和らげる役割も果たします。
この優しい雨による癒しは、そこで生きる人々にとっても同様に効果的である可能性があります。
むしろ、これがCoccoの希望の表れであるかのようにも感じられます。

新たな章を始めるための「さようなら」

見上げれば終わりを見たこともない
目眩を覚えるような空(あお)
あの丘を越えれば いつもあなたがいた
さよならかわいい夢の匂い

いつもそこにいた”あなた”はもういないという、おそらく「愛しい人」との別れを経験したことが感じられます。
その人の喪失を受け入れることが難しく、主人公は空を見上げながら彼を思い続けたでしょう。
しかし、いくら空を見上げても、「あなた」は二度と戻ってこない現実を直視しなければならないことに気づきます。
そこで主人公は、現実を受け入れ、前に進む決断を下します。

したがって、主人公が幼少期の幸せな思い出と一緒に「さようなら」を言うのは、悲しいことではなく、むしろ過去を整理し、これからはその思い出を大切にするための切りの良い結びつけとして捉えることができるのかもしれません。
嘆くのではなく、新たな章を始めるための「さようなら」と捉えることができるでしょう。

Coccoの生き方や価値観を理解する

今回、Coccoの楽曲「ポロメリア」について独自の解説をしました。
いかがでしょうか?

Coccoは彼女の音楽の中に常に伝えたいメッセージや表現を込めており、それは楽曲の中に精巧に織り込まれています。
リスナーがこれらのメッセージをどのように解釈するかは、基本的には個人の自由です。
しかし、Coccoの生き方や価値観を理解することで、楽曲のさらなる深層を見出すことができます。

楽曲の歌詞だけでなく、その中に込められた感情や思いを解読することは素晴らしい経験です。
皆さんもぜひ、独自の解釈を試みてみてください。
その過程で、Coccoの新たな魅力に気付くことができ、彼女の感情表現の素晴らしさに感銘を受けることでしょう。