2019年11月に、佐藤千亜妃はソロアーティストとして初めてフルアルバム『PLANET』をリリースしました。
このアルバムのタイトル曲である『PLANET』は、切ない恋愛感情を歌った美しいラブソングです。
今回は、この曲の”甘さ”の奥にある要素を、歌詞を通じて分析してみましょう。
二人の距離感
佐藤千亜妃は女優出身で、バンドでのボーカル活動においても多彩な才能を発揮しています。
彼女は所属するバンドであるきのこ帝国の楽曲制作を総括しており、そのマルチな能力が評価されています。
現在、きのこ帝国は休止中ですが、佐藤千亜妃はソロアーティストとしても積極的に音楽活動を続けています。
彼女の初のフルアルバムである『PLANET』は、2019年11月に発表されました。
このアルバムは、音楽をCDではなくデジタル配信で提供し、化粧品のCMに楽曲が起用されるなど話題となりました。
『Lovin’You』や映画『CAST：』の主題歌としても採用された『大キライ』など、多様な楽曲が収録されており、彼女の幅広い音楽スタイルを楽しむことができる作品となっています。
アルバムの表題曲である『PLANET』は、メロウなリズムに乗せて佐藤千亜妃の透明感ある歌声が、甘く揺れる恋心を歌った楽曲です。
このゆったりとしたリズムに乗り、心地よい熱情が広がる『PLANET』を詳しく探ってみましょう。
恋をするみたいに
君のリズムに酩酊
永遠と刹那は同義語
手を繋ぐまであと何ミリ？
今夜だけこのまま
君を見つめていたいな
無駄に切ない走馬灯
手を繋ぐまであと何秒？
この曲では、秒針の音が巧みに使われており、恋心と「時間」が詩的に結びついています。
時計の針がゆっくりと近づいていくように、二人の距離が縮まり、共に過ごした時間が愛おしく感じられる様子が鮮やかに表現されています。
歌詞の中で「手を繋ぐまであと何秒？」というフレーズから、この二人が長い間の恋人や夫婦でないことが伝わります。
そのため、二人の距離感や確信がもどかしさと共に、互いをより深く愛する要因として表現され、両想いではないからこその”甘さ”が感じられます。
もどかしい恋愛
近くて遠いから 間違いそう
喉が渇いてまた 溺れてゆく
crazy
AAAAAA ふたりこのまま
息を止めて 見つめあう
AAAAAA ふたりの星は
時を刻んで すれ違う
私は時計の短い針、君は時計の長い針のようで、近づくと思ったらまた離れていきます。
『見つめ合って』から『すれ違う』というフレーズは、もどかしい恋愛を象徴的に表現しています。
『PLANET』は、曲の冒頭からサビ、そしてアウトロにかけて、程よい熱量で静かに進行していく楽曲です。
このもどかしい甘さの歌詞とゆったりとした進行が、曲全体に心地よいリズムを醸し出しています。
徐々に近づいていく距離
次の約束はいらない 守れないし
運命じゃないなんて わかってたよ
でもAAAAAA ふたりこのまま
息を止めて 見つめあう
AAAAAA ふたりの星は
時を刻んで 巡り会う
『PLANET』は、時計の針のように、ほんの一瞬しか共有できない恋のもどかしさを鮮やかに表現しています。
太陽を中心に円を描くPLANET(＝惑星)を、二人の関係に重ね合わせることで、さらにロマンチックな世界観が描かれています。
また、別名“運星”としても知られる惑星は、古代から人々によって運命を左右する星と考えられてきました。
この運命を運ぶふたつの星が『時を刻んで巡り合う』瞬間を思い浮かべることで、そのラブストーリーに心を奪われてしまいます。
恋をするみたいに
君のリズムに酩酊
永遠と刹那は同義語
手を繋ぐまであと3ミリ
今夜だけこのまま
君が消えないようにと
願うなんてどうかしてるね
手を繋ぐまであと1秒
この楽曲は、徐々に近づいていた距離が最終的にゼロになる瞬間で物語が終わります。
その一時の逢瀬が、時間を忘れさせるほどの熱い恋心を生み出す様子が鮮明に浮かび上がります。
特に、「永遠と刹那は同義語」というフレーズは、この感情を美しく表現しています。
穏やかで静かなメロディの中に、燃えるような恋心が秘められているこの楽曲は、佐藤千亜妃自身のアプローチとリンクするかもしれません。
彼女の甘美な歌声と美しい容姿は、おだやかな女神のように思えますが、その心の中にはクリエイティブな発想やアイデアが溢れており、躍動していることでしょう。
『PLANET』という楽曲は、秘めた恋心にとらわれるラブソングと同時に、佐藤千亜妃がこれまでに取り組み、そして今後も進むであろう”音楽”という芸術への関わりを描いた楽曲とも受け取れます。
