【キンモクセイ/オレンジスパイニクラブ】歌詞の意味を考察、解釈する。

今回は、tiktokでも話題になったオレンジスパイニクラブさんの楽曲『キンモクセイ』について考察・解説していきます。
動画ストリーミングサービスでも人気の曲なので、多くの方がご存知かもしれませんね。

注目する点

今回の考察では、以下の3つの要素に着目しました。

・2人は友達以上でありつつも、まだ恋人にはなっていないという状況
・夏から秋にかけての切なくも美しい青春の描写
・金木犀の花言葉に含まれる意味である謙虚さ、気高さ、真実さ、陶酔、初恋

特に、この歌には陶酔や初恋といった要素が強く関わっていることがわかります。
これらの要素を考慮しながら、より深い解釈を進めていきましょう。

まさに青春を感じる甘酸っぱい表現

溜まりに溜まって、また迷惑かけて
無邪気が過ぎた僕を叱って

『キンモクセイ』は始めの歌詞から終わりまで一貫して綴られています。
この歌は、主人公と彼女との思い出を回想しながら進んでいきます。
歌の冒頭とエンディングに同じ歌詞が現れることで、主人公が彼女を忘れられないという気持ちが強調されています。

ああでもないこうでもない
君に愚痴吐いて生き間に合ってる
坂道の途中でぶちまけたサイダー
襟をつまんで揺らしてる 生ぬるい風で汗は渇いてく

思い描いているのは、おそらく夏の部活後の風景ですね。
二人が帰り道を歩いている様子は、まさに「青春そのもの」と言えるでしょう。

君に愚痴吐いて生き間に合ってる

主人公は、恋愛話をせずにただの友達同士として会話しながら帰ることで満足しています。
彼らは愚痴をこぼしながら歩き、主人公はその状況に満足感を抱いています。
この描写からは、主人公が内向的な性格であり、現時点では過度な期待を抱いていないことが分かります。

坂道の途中でぶちまけたサイダー
襟をつまんで揺らしてる 生ぬるい風で汗は渇いてく

「ぶちまけたサイダー」という爽やかさと、「生ぬるい風で汗は渇いてく」というジメジメ感が組み合わさった、夏を思い出させるような歌詞がとても素敵ですね。

「キンモクセイ」の歌詞は、若かった頃の感情をわかりやすい言葉で丁寧に表現しているため、人気があるのかもしれませんね。
一般的に言われる「感動的で共感できる」という感覚が、直接心に響いてくるように思います。

信号のない十字路2人で話した
日が暮れるくらい 呆れるくらい
信号のない十字路
君は反対方向を見ていた ずっと見ていた

日が暮れるくらい 呆れるくらい

二人の関係性からは、彼らがたくさん話し合えるほど仲が良いことがうかがえます。

君は反対方向を見ていた ずっと見ていた

主人公は、自分には彼女の好意が向いていないことを自覚していますが、彼はそれを何も変えるつもりはなく、ただ二人の関係に満足してしまっています。

やっぱビビッときてるよ 君のイメージ金木犀よ
香りまで妄想しちゃうなんてバカね
夏の終わりの初夏の気温は 気持ちをとっくにのせてた
最高 あんた最高
グッときた心臓バンっと割れる

サビは、重要な要素が多く含まれているため、一括して解説します。

やっぱビビッときてるよ 君のイメージ金木犀よ

冒頭でキンモクセイの花言葉について言及したように、主人公にとって彼女は初めての恋の相手であり、彼は彼女に酔いしれていると描写されています。

香りまで妄想しちゃうなんてバカね

主人公の初恋が、金木犀の花が秋に咲く時期と関連していることが示唆されていますね。

夏の終わりの初夏の気温は 気持ちをとっくにのせてた

「夏の終わりの初夏の気温」という表現は、多くの人にとって興味深いものだと思われます。
通常、夏の終わりは涼しくなる季節ですが、主人公の心情は初夏の暑い時期のように熱く高まっているということを表現しています。

グッときた心臓バンっと割れる

恋をしていると、相手の一つ一つの仕草が心臓に負荷をかけることがありますよね。
少し顔が近づくだけでドキドキし、他の人と話しているとなぜかモヤモヤしてしまいます。
このような青春の光景が、上記のフレーズだけで的確に表現されていることは本当に素晴らしいと言わざるを得ません。

恋が始まり恋が終わる

前髪で隠さないで 君はいつも言う
目つきの悪い僕の目 みるのは少し斜め
ゴミで溢れた部屋で思った
握っていたいのはスマホじゃない あんたの右手だ

前髪で隠さないで 君はいつも言う
目つきの悪い僕の目 みるのは少し斜め

ここからも主人公の控えめな性格が描写されています。
彼女が主人公の目を見ようとしているのに、主人公は照れくさくて恥ずかしくなり、彼は目を逸らしてしまっています。
彼は「少し斜め」を見つめて、目をそらしてしまうのです。

握っていたいのはスマホじゃない あんたの右手だ

この段落では、主人公の気持ちが進展しています。
彼は単に彼女とのラインのスマートフォンを握りたいのではなく、「彼女の右手」を握りたいと思っています。

言うことは単純だけど 今じゃ出来てるアイコンタクト
体温すらも 一目で分かる
夏の終わりが寂しいなんては とっくのとっくに消えてた
最低 すら最高
ギュッとなる心臓パっと晴れる

言うことは単純だけど 今じゃ出来てるアイコンタクト

そして、主人公は彼女と目を合わせることができるようになります。
主人公の内向的な性格にとって、それは大きな進歩ですね。

夏の終わりが寂しいなんては とっくのとっくに消えてた

主人公にとって、夏の終わりに感じる特別な寂しさは、既に過去のものとなってしまいます。

ギュッとなる心臓パっと晴れる

彼の心は明るく晴れている様子が描写されています。

ハルが酔ってみているような 黄色っぽい映画のその先を
君の歩いたスピードを 思い褪せて焦っていく空

ハルが酔ってみているような 黄色っぽい映画のその先を

「ハル」は春夏秋冬のうちの春を指し、そして「黄色っぽい映画のその先」とは現在の恋愛の将来を指しています。
両方の表現からは、主人公の恋が終わりへ向かっていることがほのめかされています。

君の歩いたスピードを 思い褪せて焦っていく空

彼女との帰り道を振り返っても、すでに鮮やかさが失われてしまっています。

若い年代に刺さる「エモさ」

主人公は内向的な性格であるにもかかわらず、関係を進展させようとする姿勢が描写されています。
その細やかな描写により、多くの高校生を中心に「エモさ」と「共感」の要素があり、人気が高まっているのです。