Da-iCEの楽曲「I wonder」は、2024年放送のドラマ『癒やしのお隣さんには秘密がある』の主題歌として書き下ろされた一曲です。エモーショナルなメロディと繊細な歌詞が印象的で、心の内面に静かに寄り添ってくるような不思議な魅力があります。
この記事では、「I wonder」の歌詞に込められた意味や象徴的な表現を丁寧に読み解きながら、この楽曲がどのようなメッセージを届けようとしているのかを考察していきます。
「楽曲リリース背景とドラマ主題歌としての位置づけ」
「I wonder」は、Da-iCEの柔らかくも芯のあるボーカルと、ミニマルで洗練されたサウンドが特徴のバラードナンバーです。この楽曲は、ドラマのストーリーに合わせて「人の心の揺れ」や「関係性の不確かさ」を繊細に描くことを意識して制作されたとされています。
主題歌としての役割を果たしつつ、ドラマと切り離しても独立した感情世界を展開しているのが「I wonder」の魅力。恋愛だけでなく、「自分とは何者なのか」という普遍的な問いかけが内包されており、聴き手の心に静かに語りかけてきます。
歌詞冒頭〜サビ:「音が止まった 色が変わった」の描く情景
楽曲の冒頭で描かれるのは、突然すべてが“静止”したかのような情景。「音が止まった」「色が変わった」という表現は、感情の喪失や世界の違和感を象徴しています。
音が止まった 色が変わった
急に世界が静かになった
ここでは、ある出来事をきっかけに、今まで当たり前だった日常が一変する様子が描かれています。それは恋人との別れかもしれないし、自分自身との向き合いかもしれない。明確に言葉にされていないからこそ、多くの人が自身の経験に照らし合わせて共感できる構造になっています。
サビでは「本当の色を知らない」というフレーズが登場し、「見えていたはずのものが、実は見えていなかった」という葛藤が強調されます。
「八方美人で誤魔化した」から「素直なままの君」へ:自己と他者の関係性
このパートでは、主人公が「自分を偽ってきたこと」に気づき、素直な他者=“君”の存在に揺さぶられる描写が見られます。
八方美人で誤魔化した
素直なままの君が眩しかった
ここには、他人に合わせすぎて自分を見失っていた主人公と、飾らずに生きている“君”の対比があります。社会の中で多くの人が感じる「自分らしく生きることの難しさ」と、「本当の自分を見つけたい」という願望が、静かに浮かび上がってくる部分です。
この対比が楽曲全体のテーマでもある“アイデンティティの再発見”を支えています。
色・ガラス・キャンバスなどの象徴表現を読み解く
歌詞の中で頻出するのが「色」「ガラス」「キャンバス」といった視覚的で象徴的な言葉たち。これらは主人公の心情や世界の移ろいを視覚的に伝える装置として機能しています。
- 色:感情の状態を象徴。色が「変わる」ことは心の動揺や成長を示す。
- ガラス:壊れやすさ・透明さの象徴。繊細でありながら、ある種の距離感も表す。
- キャンバス:自己表現の場。白紙から始まる可能性や未来を意味する。
このように、歌詞全体はまるで一枚の絵を描くように設計されており、聴く人それぞれの“人生の色”を投影できるような構造になっています。
まとめ:「I wonder」が伝えたいメッセージと聴き手への問いかけ
「I wonder」というタイトルには、「私は不思議に思う」「私は考える」といった意味が込められています。つまりこの楽曲は、「本当の自分って何だろう?」「この感情はどこから来たんだろう?」と、自分自身に問いかけるプロセスを描いたものとも言えるでしょう。
最後のフレーズにかけて、主人公はまだ答えを見つけていません。それでも“問い続けること”自体が、前に進むことと同義であると、この曲は静かに語りかけてきます。
Key Takeaway
Da-iCEの「I wonder」は、恋愛だけでなく“自分らしさ”を見失いそうな現代人への繊細なメッセージが込められた一曲です。色の象徴を通して感情の機微を描きながら、聴く人それぞれの「私は何者か?」という問いに寄り添ってくれる楽曲です。


