【ヒミツ/ポルカドットスティングレイ】歌詞の意味を考察、解釈する。

ポルカドットスティングレイの楽曲「ヒミツ」は、映画「スマホを落としただけなのに」の世界観をインスパイアした歌詞が特徴です。
今回はそのスリリングな歌詞の背後に隠された意図に迫ります!
主人公が遭遇している困難とは、一体何なのでしょうか?

「スマホを落としただけなのに」の主題歌

ポルカドットスティングレイ(以下、ポルカ)の楽曲「ヒミツ」は、2018年10月15日にリリースされました。

この曲は、映画「スマホを落としただけなのに」の主題歌として制作されました。

ポルカらしい特徴的なメロディが堪能できる一方で、その魅力は楽曲のクオリティだけにとどまりません。

実は、「ヒミツ」には映画「スマホを落としただけなのに」の世界観やストーリーが反映されている部分があります。

映画の予告編を見ることで、「ヒミツ」の持つ意味やメッセージに更なる理解が深まることでしょう。

これをきっかけに、ポルカの音楽と映画の相乗効果を楽しんでみるのもおすすめです!

スマホの中には秘密がたくさん

物語が思わぬ展開を見せる、「ただスマホを落としただけ」という状況から始まる楽曲「ヒミツ」は、身近なテーマに対する恐怖を描き出しています。

婚約関係にあるカップルが「とある男性」によって翻弄されるという物語は、身につまされるものがあります。

普段の何気ない日常で、スマホの中身が他者に見られることを考えることはほとんどないかもしれません。
しかし、スマホを電車や飲食店に置き忘れた瞬間、初めて恐怖を感じることでしょう。

それまで当たり前に使っていた「安全」だと思っていたスマホが、「危険」なツールとして姿を変える瞬間です。

スマホには個人情報が詰まっており、それが引き出されれば、何だってできてしまうかもしれません。

「ヒミツ」は、スマホの中に秘められた個々の秘密に焦点を当てて制作された楽曲であり、私たちにそれを考えさせる機会を提供してくれるのです。

一瞬にして凶器となるスマホ

MVのストーリーも見逃せない要素です。

映像をよく観察すると、メンバー全員の小指に「赤い糸」が結ばれていることに気づきます。

通常、「赤い糸」とは運命の相手と結ばれていることを象徴しますが、この「赤い糸」は「糸」というよりもむしろ「コード」のような硬い材質に見えます。

ここでは「赤いコード」と呼んでみましょう。

ボーカルの雫が「赤いコード」に引き寄せられ、迷い込んだ先には、とある男性の姿があります…。

男性は不気味な笑みを浮かべており、とても怖さが感じられます。

彼の部屋には雫を始め、メンバーの写真が壁一面に貼られているのです。

まさに「ストーカー」のような情景です。

雫は男性から逃れるように必死に駆け抜けます。


必死に逃げるも行き止まりで追い詰められた雫。

男性はにやりとした怪しい笑みを浮かべながら、ゆっくりと近づいてきます。

雫は一瞬たじろぎましたが、勇気を振り絞り、思い切ってスマホを足で踏み潰しました。

すると男性の表情が青ざめ、周囲に表示されていた文字が次々と消えていきます。

男性が手に持っていた「赤いコード」はプツンと切断されたのです。

実は、男性の正体は「スマホ」を介して情報を盗み取るストーカーだったのです。

雫が気付かないうちに、自分のデータベースが他人の手に渡ってしまったのでしょう。

この映像は、現代における「運命の赤いコード」によって、望まない相手とも結ばれてしまう可能性を示唆しています。

信頼している「スマホ」が突然「凶器」となる瞬間を描いており、背筋がゾッとする内容ですね。

秘密がばれてしまう時の恐怖

インタビューにおいて、雫は楽曲「ヒミツ」が映画「スマホを落としただけなのに」の内容を反映した歌詞であると語っています。

ネタバレになりますが、映画「スマホを落としただけなのに」にはある殺人鬼が登場します。

殺人鬼の男性がスマホを拾い、主人公カップルの女性に興味を持ってしまうのです。

突然何者かが女性を追いかけてくるようになりますが、その追っ手はとある「特徴」を持つ女性たちを狙う殺人鬼なのです。

このような状況下で女性の心情が歌詞に綴られているとのことです。


秘密が秘密でいられない
あなたの笑顔も無意味でしょう
逃げ場なんて最初からなかった
こうなることを知っていたら
地獄をくぐって逃げたでしょう
今もそっと溶け出す命とか

「秘密」とされていた情報が漏洩してしまうという状況が、スマホによって「知られるべきでない情報」が広まってしまうという恐怖を表現しているのでしょう。

女性はますます追い詰められ、逃げ場がなくなっていく様子が描かれています。

もし事件が起こる前に予知できたのならば、「どんな手段を使ってでも対策を講じたでしょう」と歌詞に示されています。

「地獄」という表現が、非常にリアルで厳しい状況を表しているようです。

つまり、絶望的な状況を回避するためには、「地獄」を味わってでも取らねばならない厳しい選択があるということがうかがえます。

最後の行では「命の危険」を匂わせるような内容になっています。


夢か現実かさえもう
私に判断できないの
黒い長髪を引く両手さえ見えなくて

映画に登場するキーワードとして、「黒い長髪」という特徴が重要な役割を果たしています。

殺人鬼は「黒い長髪」という特徴を持った女性を殺害の対象にしているのです。

映像では、殺人鬼が「髪」を引っ張る場面が描かれています。

恐ろしい比喩として、後ろからグイグイと髪を引っ張るように女性を手繰り寄せている様子が表現されています。

この状況にある女性はパニック状態に陥り、現実かどうかの区別すらつかなくなっているのでしょう。

破壊される未来

逃げられない
内緒の砂漠でそっと踊りましょう
もう一回あの日に戻れたら
後ろの正面が誰だか
ああ魔法をかけてよ 声が枯れてゆく
もう見えない何もかも
きっと人肌の疑惑が溢れ出す
開けてしまったって気付いたの

スマホを拾った「誰か」によって追い詰められる物語。

女性にとっては、見えない敵によってどこから狙われているか分からず、恐怖に包まれています。

彼女は恐怖の深みに落ちてしまったのでしょう。

最後の「開けてしまった」とは、「誰かがスマホのデータを見てしまった」という意味だと思われます。

誰にも知られるべきでない情報が、次々と彼女に突きつけられている状況です。

平穏だったあの頃に戻りたいと願い、全てから逃れたい…そんな思いが彼女の心にはあることでしょう。


堂々巡っている走馬灯
あなたが笑って手を引いて
連れ出してくれると思ってた

「あなた」とは婚約者のことを指しているのでしょうか?

結婚して幸せな未来を描いていたのに、2人の関係は何者かによって徹底的に破壊されてしまいます。

本来ならば、あなたと一緒に生きるべき幸せな日々が待っていたはずです。

しかし、今では辛い現実に苦しんでいるのです。

この歌詞には、心の奥底からの叫びが込められているのではないでしょうか。

本当は何も知らないのかも

さよならしたいと願うときに限って
痛いくらいにあなたの顔が浮かぶ
知ってるようで知らない 何も
足取りがおぼつかない

映画のテーマの中で特に興味深い点があります。

「あなたの全てを知っている存在、それはスマホです。」

家族や恋人同士はお互いをよく理解しているつもりでも、本当にそうなのでしょうか?

借金問題や浮気、犯罪など、思いもよらない真実が明らかになることで、信頼している相手との「裏切り」を感じることがあるかもしれません。

スマホは家族や恋人以上に私たちの情報を知っている存在かもしれません。

この事実を歌詞では「知らない」と表現しているのです。

私たちは信頼している「あなた」のことを全て「知っている」わけではないのです。

自分の誰にも知られたくない事実が公開されると同時に、あなたの事実も明らかになってしまう。

心の支えが失われていく様子が伝わってきます。


のぞき穴
私が誰だか知っているのでしょう?
視界が晴れるほどあなたが
次第に遠くなってゆく
ねえ最後の最後でそっと抱き締めて
もう全部見せるから
宝が詰まって見えるその箱を
開けてしまったって気付いたの
溢れる愛情で溺れそう

物語の展開により、まるでのぞき穴を覗くかのように、女性自身の過去が殺人犯によって解き明かされていきます。

女性の「秘密」はもはや秘密ではなくなってしまいました。

彼女はこれまで隠し続けてきた「とある過去」を抱えていたのです。

しかしそれはもはや隠す必要がなくなりました。

全てをさらけ出して見せる決意をしました。

これは映画のクライマックスで描かれる女性の心情を表現しているのだと思います。

物語が進むにつれて明らかになっていく女性の「秘密」に、どんな結末が待っているのか。

続きはぜひ、映画を観て確かめてください。

映画も必見

「ヒミツ」に込められた意味は、映画の世界観を忠実に再現しながらも、怖いテーマを通して現実として同じことが起こり得る可能性を示していると感じられます。

雫のミステリアスな要素を持った歌声とルックスが楽曲の魅力を一層引き立てています。

この素晴らしい作品は、現実世界で起こりうる恐怖を描きつつ、映画の世界観を見事に表現しています。

「ヒミツ」が持つ怖いテーマは、観客にとって考えさせられる要素となっていることでしょう。

ぜひ映画もご覧になり、この楽曲の魅力をより深く堪能していただけると嬉しいです。