【悪魔の子/ヒグチアイ】歌詞の意味を考察、解釈する。

女性シンガーソングライター『ヒグチアイ』が、大ヒットアニメ『進撃の巨人』のエンディングテーマ曲として、楽曲『悪魔の子』を特別に制作しました。
この曲は配信開始からわずか3週間で1500万回以上ものストリーミング再生回数を記録し、話題となりました。
今回は、この曲の歌詞に焦点を当ててみましょう。

「帰る場所」を見つけようとしている

鉄の弾が 正義の証明
貫けば 英雄に近づいた
その目を閉じて 触れてみれば
同じ形 同じ体温の悪魔

『悪魔の子』という楽曲は、歌詞からは戦争や闘いの雰囲気が漂っており、シンガーソングライターのヒグチアイが、アニメ『進撃の巨人』のエンディングテーマとして特別に制作した楽曲です。
この歌詞がどのようなストーリーを描いているのか、次の歌詞を見てみましょう。

僕はダメで あいつはいいの?
そこに壁があっただけなのに
生まれてしまった 運命嘆くな
僕らはみんな 自由なんだから

鳥のように 羽があれば
どこへだって行けるけど
帰る場所が なければ
きっとどこへも行けない

ただただ生きるのは嫌だ

特筆すべきは「生まれてしまった」という歌詞です。
この楽曲の主人公は、自由を楽しんでいるように見えますが、実際には「生存しているだけ」という制約を感じているようです。
その状況に不満を抱き、自己の意志で生きたいと思っているようです。

世界は残酷だ それでも君を愛すよ
なにを犠牲にしても それでも君を守るよ
間違いだとしても 疑ったりしない
正しさとは 自分のこと 強く信じることだ

以前の歌詞において、「帰る場所がなければどこにも行けない」という部分が歌詞に含まれていました。
この部分から考えると、帰る場所がないと個人は自由を享受できないというメッセージが伝わります。
主人公はおそらく、「君」を守ることを通じて、自身の「帰る場所」を見つけようとしている可能性があるでしょう。

葛藤や矛盾

鉄の雨が 降り散る情景
テレビの中 映画に見えたんだ
戦争なんて 愚かな凶暴
関係ない 知らない国の話

その後の歌詞には、自分自身には関係のないかのように争いを見ている感情が表現されています。
内心では「戦争は非情なことだ」と思いながらも、「私には関係がない」と考える一方で、主人公は自身の内にも憎しみや恨みといった暗い感情を抱えていることに気づく瞬間が描かれています。

それならなんで あいつ憎んで
黒い気持ち 隠しきれない理由
説明だって できやしないんだ
僕らはなんて 矛盾ばっかなんだ

他人の行動を客観的に評価することはできる一方で、自身の行動については主観的になりがちで、その本質を見失いがちです。
他人が他人を傷つけることを非難する一方で、自分が誰かを傷つけることに対しては客観的な判断が難しい瞬間があります。
特に、誰かを守るための行動がらみだと、葛藤や矛盾が生じやすく、主人公もおそらく「君」を守るために誰かを傷つけてしまったことに対して複雑な感情を抱いているのかもしれません。

自らが「悪魔の子」

この言葉も 訳されれば
本当の意味は伝わらない
信じるのは その目を開いて
触れた世界だけ

ただただ生きるのは嫌だ

主人公は誰かを守るための戦いに対する葛藤を経て、自己信頼を取り戻す決断をしたことが歌詞から伝わります。
しかし、自身に対して厳しい一面も見受けられ、最後のサビの歌詞にその姿勢が現れています。

世界は残酷だ それでも君を愛すよ
なにを犠牲にしても それでも君を守るよ
選んだ人の影 捨てたものの屍
気づいたんだ 自分の中 育つのは悪魔の子
正義の裏 犠牲の中 心には悪魔の子

誰かを守るための正義は、別の誰かにとっては否定的に捉えられることもあるという複雑な現実が描かれています。
それでも、主人公は自身の信じる正義を貫く決意をし、自らを「悪魔の子」と位置づけて、慎重に自己戒めの心を育てようとしているようです。

まとめ

楽曲『悪魔の子』のインパクトあるタイトルは、深い意味が込められているようですが、その解釈は個人によって異なる可能性があります。
楽曲のメロディやアニメのストーリーとの結びつきを考慮しながら、各自が独自の解釈を楽しんでみることで、『悪魔の子』やアニメ『進撃の巨人』をより深く理解し、楽しむことができるでしょう。