【歌詞考察】カノープス / Novelbright|“ひとりじゃない”という光に救われた理由とは?

Novelbrightの楽曲「カノープス」は、2024年12月にリリースされたアルバム『CIRCUS』の収録曲であり、その歌詞とサウンドは多くのリスナーの心に深く響いています。
タイトルにある「カノープス」は星の名前ですが、それだけにとどまらず、本楽曲には“人生の迷いや葛藤、そしてそこからの再生”という普遍的なテーマが込められているようです。

本記事では、歌詞の背景や作者の思い、リスナーの心に訴えかける表現について、様々な視点から丁寧に考察していきます。


「カノープス」とは何か?タイトルに込められた“恒星”の意味

「カノープス(Canopus)」とは、全天で2番目に明るい恒星の名前。
古くから「航海の目印」や「道しるべ」として使われてきたこの星は、見える地域が限られており、日本では沖縄などごく一部の地域からしか観測できません。

この特別な星をタイトルに冠したことには、次のような意図が込められていると解釈できます。

  • 遠くにあるけれど確かに輝いているもの
  • 夜空という暗闇の中で“迷わないように照らしてくれる存在”
  • 簡単には見えないが、“信じること”で前に進める希望の象徴

曲中でも、何度も「光」という言葉が繰り返されることで、「カノープス=人生の中での導き手」としての役割が強調されているように感じられます。


竹中雄大の実体験が反映された歌詞の背景

ボーカルの竹中雄大は、あるインタビューでこのように語っています。
「実際に自分が精神的に落ち込んでいたとき、友達に助けられて、それを曲にした」と。

つまり、「カノープス」はフィクションではなく、**実体験から生まれた“誰かに救われた物語”**なのです。

  • 「自問自答を繰り返していた」=心の迷い・苦悩
  • 「僕の存在は何なんだろう」=自己否定や無力感
  • 「あなたがくれた言葉が今でも胸を焦がすよ」=救ってくれた“言葉”が光になった瞬間

これらの歌詞は、すべて竹中自身の経験から生まれたものであり、だからこそ多くの人が共感する“リアリティ”があるのです。


歌詞に見る「迷い/痛み」から「希望/救い」への転換

「カノープス」の歌詞構成は、序盤の苦悩から後半の希望へと、感情の流れが明確に描かれています。

  • 前半:自己否定、孤独、葛藤
    • 「誰も気づかないように泣いてた」
    • 「逃げ場所もない 虚しさばかりが増えてく」
  • 後半:言葉による救済、再生、希望
    • 「何度も思い出すよ あの日のあなたの言葉」
    • 「一人じゃないんだって気づけた」
    • 「いつかこの光を誰かに渡せるように」

これは、「誰かからもらった言葉」が人を救い、その言葉が次の誰かの光になる…という“希望のリレー”を象徴しているようです。


キーフレーズ解釈:『ひとりじゃないんだよ いつでも隣にいるんだよ』から読み解くもの

この一節は、おそらく「カノープス」の中で最もリスナーの心に残るフレーズでしょう。

  • シンプルだけど圧倒的な温かさと安心感
  • 実際に言葉として誰かに言ってもらった経験を持つ人が多い
  • 孤独の中にいるリスナーにとって“疑似的な救い”にもなる

この言葉は、単なる慰めではなく、「あなたの苦しみを見てくれている人がいる」「あなたは独りじゃない」と訴えかける力があります。

カノープス(星)は見えない場所にあっても確かに存在している。
それと同じように、「誰かがそっとそばにいてくれる」というメッセージが込められているのです。


MV/ライブ演出から読み取る「光を追う旅」のメタファー

「カノープス」のMVでは、暗闇の中を歩く人物が少しずつ光に向かって進んでいくシーンが象徴的に描かれています。

  • 薄暗い部屋から光が差し込むシーンへの切り替え
  • 歩みを止めずに進む人物=“自分自身”の象徴
  • 最後には明るい空間にたどり着く=“心の回復”の視覚的表現

また、ライブ演出ではステージ上に星空や光が映し出され、リスナーと「光を探す旅」を共有しているようにも感じられます。

これらの演出は、単なる映像効果ではなく、歌詞の世界観を視覚的に再現するための重要な要素です。


まとめ:見えなくても、確かにそこにある“光”の存在

「カノープス」という楽曲には、暗闇に差す“見えない光”のような、
誰かの言葉や存在が人生の支えになるという力強いメッセージが込められています。

竹中雄大の実体験がベースになっているからこそ、言葉の一つひとつが真実味を持ち、聴く人の心に響きます。
そして、この楽曲に救われたリスナーが、また別の誰かを救うかもしれない――。そんな“希望の連鎖”が続いていく、まさに現代の「道しるべ」となるような一曲です。