2004年にリリースされたレミオロメンの名曲「3月9日」は、いまや卒業式や別れの季節に欠かせない定番曲となっています。多くの人がこの楽曲を耳にした瞬間、学生時代の記憶や大切な人との思い出が蘇るのではないでしょうか。
しかし、この曲には単なる「卒業ソング」という枠に収まらない、深い意味と背景があります。本記事では、歌詞の中に込められた詩的な表現、曲の誕生背景、そして現代でも愛され続ける理由までを丁寧に解説します。
「3月9日」はなぜ卒業ソングとして語られるのか?
「3月9日」が卒業ソングとして広く認識されるようになったのは、歌詞の内容というよりも、その温かくも切ないメロディと、春という季節感が背景にあります。
- 歌詞には「卒業」や「別れ」といった直接的な言葉は登場しませんが、「流れる季節の真ん中で」「桜のつぼみが春を待っている」といった表現が、春=旅立ちのイメージと重なります。
- 特に3月は日本の卒業シーズンであり、曲名自体が「3月9日」であることから、卒業との結びつきが自然に形成されていきました。
- 多くの学校で卒業式の合唱曲として採用されたこともあり、世代を超えて「卒業の歌」として定着していきました。
実は “卒業” だけではない:結婚ソングとしての背景
「3月9日」の誕生には、あまり知られていない心温まるエピソードがあります。
- この楽曲は、実はレミオロメンのメンバーの友人の結婚を祝うために書かれた曲です。
- 「3月9日」という日付も、その結婚記念日であり、曲はその祝福の気持ちから生まれました。
- 藤巻亮太はインタビューで「卒業ソングとしては作っていない」と語っており、むしろ**「大切な人への感謝」や「共に歩んでいく未来」**をテーマにしていると明かしています。
- この背景を知ると、歌詞にある「手をつなぐことができたなら」という一節の意味が、恋人や夫婦の絆としても捉えられるようになります。
歌詞の象徴表現と詩的モチーフの意味を読み解く
「3月9日」の魅力のひとつは、その詩的で象徴的な表現にあります。具体的にいくつかのキーフレーズを解釈してみましょう。
- 「流れる季節の真ん中で」:人生の変化の途中にいること、そしてその移ろいに身を委ねている様子を表しています。
- 「桜のつぼみは春へと続いてく」:これからの成長や未来への希望を象徴。咲く前の“つぼみ”である点に、可能性と不安の入り混じった感情が込められています。
- 「光の粒がふわり空に浮かんでいるよ」:希望や記憶、または亡き人への思いの象徴とも解釈できます。空や光のイメージは、歌詞全体を通して“心の広がり”を表しています。
- 「つむじ風」:不意に訪れる変化や、感情の揺れ動きを指しているとも考えられます。
これらの比喩表現が、聴く人の状況によってさまざまな意味に変化し、共感を生み出しているのです。
歌詞のストーリー構造と時間・記憶の流れ
「3月9日」の歌詞は、ただ情景を描写しているだけではなく、時間の流れと記憶の重なりを意識した構成になっています。
- 曲の冒頭では現在の情景が語られ、「流れる季節」から始まることで、リスナー自身の今と向き合う導入になっています。
- そこから「つぼみ」「光の粒」「手をつなぐ」といったフレーズで、過去の記憶や未来への期待が交錯します。
- 特にサビでは、「大切な人に届けたい気持ち」が前面に出ており、過去・現在・未来の感情が一曲に織り込まれているのがわかります。
- ラストの「新たな世界の入り口に立ち 気づいたことは一人じゃないってこと」は、時間の流れの終着点であり、新たな始まりでもあります。
なぜ今も多くの人に響くのか:共感性・普遍性を支える要素
「3月9日」は、発売から20年近く経った今も、なぜ多くの人に愛され続けているのでしょうか。その理由は、“個人の物語”が誰にでも起こりうる感情と重なるように描かれているからです。
- 特定の出来事(卒業・結婚・別れ)を描いているようで、実は**「誰かを思う気持ち」「ありがとうと伝えたい感情」**が軸にあります。
- そのため、聴く人によって曲の意味が変化し、「自分のための歌」として受け止められるのです。
- また、歌詞にはネガティブな表現が少なく、前向きで包み込むような優しさが感じられるため、多くの人の「節目」に寄り添う存在になっています。
- SNSや卒業式での合唱など、共に歌うことで共有される体験も、共感を深める大きな要因となっています。
【まとめ】“3月9日”が与える普遍的な感動
レミオロメンの「3月9日」は、卒業ソングとしての地位を確立しながらも、結婚や感謝、大切な人との絆を歌う普遍的な楽曲です。歌詞には、聞くたびに新しい気づきや共感が生まれる詩的な表現が多く使われており、季節を超えて人々の心に残り続けています。
あなたにとっての「3月9日」は、どんな記憶と結びついていますか? ぜひ改めてこの名曲の歌詞に耳を傾けてみてください。


