レミオロメンの代表曲として、いまや「卒業ソングの定番」とまで語られる『3月9日』。
しかし、実はこの曲が作られた背景は“卒業”ではなく、「友人の結婚祝い」がきっかけだと言われています。
それでもなお、卒業式や門出の場面で多くの人の心を揺さぶり続けている理由とは何なのか。
歌詞に散りばめられた象徴表現や、レミオロメンが込めたテーマを丁寧に読み解いていくことで、この曲が長く愛される理由が見えてきます。
本記事では、『3月9日』の歌詞の意味を深く考察 していきます。
『3月9日』はなぜ“卒業ソングの定番”になったのか
『3月9日』は、リリース当初から卒業をテーマにした曲だったわけではありません。
にもかかわらず卒業シーズンになると学校で流され、SNSでも毎年のように話題になる理由は、大きく以下の3点にあります。
- 歌詞が「別れ」よりも「旅立ち・前向きさ」を強調していること
別れを直接描かず、希望のイメージを広げる表現が多いため、卒業の“前向きな瞬間”に自然と寄り添う。 - 音の温かさ・優しさが式典の雰囲気に合うこと
アコースティック中心のサウンド、柔らかなボーカルが、感動の場とマッチしやすい。 - 2000年代後半のテレビドラマや学校行事で広まった文化的背景
メディア露出が多く、当時の世代にとって“卒業ソング=3月9日”というイメージが形成された。
こうした背景が積み重なり、曲本来の意図を超えて“卒業式の象徴曲”として定着したのです。
レミオロメンが込めた“出会いと感謝”という曲のテーマ
『3月9日』の核となっているテーマは「出会いへの感謝」。
卒業や別れだけに限定されない、人生全体に通じる普遍的なメッセージが込められています。
特に印象的なのは、
“あなたに出会えたことで、世界の見え方が変わった”
という語り手の気持ちです。
歌詞全体には、相手の存在が自分を成長させ、前向きにしてくれたという感情が繊細に描かれています。
そのため、恋愛・友情・家族など、どんな関係性にも当てはまる“普遍性”を帯びており、広い世代に共感され続けているのです。
歌詞に登場する「雨」「光」「風景描写」が象徴するもの
『3月9日』には、情景描写が非常に多く登場します。
特に「雨」「光」「風」の表現は、曲の情緒を左右する重要なモチーフです。
- 雨 → 過去の悲しみや孤独の象徴
しかし、作中では“雨が上がっていく”イメージとして描かれ、過去を乗り越える前向きさにつながっていきます。 - 光 → 出会いがもたらす希望
“もらったもの”という言い回しから、相手から受け取った明るさ、人生の方向性を示す存在を象徴しています。 - 風景描写 → 時間の移り変わりと成長
流れる景色や季節の移ろいが、語り手の心の変化を自然に重ね合わせている。
これらの象徴表現が重なることで、歌詞に“劇的なドラマ”がなくても、聴く者の胸を打つストーリーが自然と浮かび上がります。
〈サビ〉に隠された再生・前進のメッセージ
『3月9日』のサビ部分は、特に感情のピークを担っています。
そこで描かれているのは、悲しみや孤独から抜け出し、“新しい自分として歩き出す決意”。
サビは“あなたに出会えたことで、世界が輝き出した”という明確な転調点であり、
聴く人の胸に強い高揚感をもたらします。
特に
「瞳を閉じればあなたが まぶたの裏にいることで」
という一節は、遠く離れても心に存在し続ける絆を象徴する名ライン。
卒業式や門出のシーンで熱く共感されるのは、この“前向きな再生の歌”という本質があるからです。
制作背景と誕生日のエピソードが示す本来の意味
『3月9日』は、メンバーの友人の結婚式を祝うために書かれた曲とされています。
その友人の誕生日が3月9日だったことからこのタイトルが付けられました。
つまりこの曲は、
“人生の大切な節目に寄り添い、幸せを祈る歌”
として生まれたのです。
卒業を意識して制作されたわけではありませんが、
誕生日や結婚式など、人生の節目の出来事に寄り添う内容だからこそ、
卒業シーズンの情緒とも自然に重なる結果となったのでしょう。
結婚式・卒業式で愛され続ける理由とは
『3月9日』が式典での定番曲として根強く愛される理由は、以下の3点にまとめられます。
- 歌詞の意味が多様なシーンに当てはまる“汎用性”
出会い・感謝・希望という普遍的テーマは、結婚式にも卒業式にも自然にフィットする。 - サウンドの透明感が感動の空気を引き立てる
優しいメロディと温かな歌声が、儀式の印象をより美しく彩る。 - 世代を超えて共有される“文化的な積み重ね”
ドラマ・学校行事・SNSなどを通じて“記憶に刻まれる曲”となり、次世代へも継承され続けている。
これらの要素が強く作用し、「人生の節目」に最も選ばれる楽曲の一つになりました。
『3月9日』が聴く人の人生に寄り添う“普遍性”について
『3月9日』には、恋愛だけでなく、友情や家族、人との出会い全般に通じるテーマが散りばめられています。
そのため、聴く人それぞれが自分の経験に置き換えて解釈できる「余白」が多く残されています。
- 大切な人との出会いへの感謝
- 過去を乗り越えて前へ進む勇気
- 新しい人生が始まる瞬間のまばゆさ
こうした、誰もが人生の中で何度も味わう感情が丁寧に表現されているからこそ、
この曲は“世代を越えて愛される普遍的な名曲”として存在し続けています。


