【美しく燃える森/東京スカパラダイスオーケストラ】歌詞の意味を考察、解釈する。

東京スカパラダイスオーケストラ(通称:スカパラ)と奥田民生がコラボし、2002年に発売されたシングル「美しく燃える森」は、彼らの数々のアーティストとのコラボレーション曲の中でも最も商業的に成功した作品です。

蝶は何を表している?

戸惑い纏って飛んだ
鮮やかな蝶を 独り
静かに見つめてた
悲しみを連れて
出口無くして 森の入口

東京スカパラダイスオーケストラ(通称:スカパラ)と奥田民生がコラボした楽曲「美しく燃える森」は、2002年にリリースされたシングルです。
スカパラは多くのアーティストと協力して歌唱曲を制作していますが、この曲はセールス面でも最も成功した作品です。

このコラボレーションは、スカパラのホーンセクションのリズムと奥田民生の歌声が絶妙に調和している成功例です。
曲は大人らしい雰囲気を醸し出しており、その魅力が際立っています。

歌詞の冒頭では、主人公が森の入口で一人で蝶を見つめている情景が描かれています。
歌詞には、蝶が戸惑いを抱えながら舞っているという人のような意思を持つ表現が使われています。

秀逸な比喩表現

束ねた譜面を開き
不慣れな手つきで Woh
奏でたピアノから
聞こえてくるのは
呼び止める声
出掛けの『さよなら』

次にピアノの音色が響き渡ります。
奏でられた鍵盤から声が聞こえてくるという描写に、音楽が「聴こえる」の漢字ではなく、音が何となく「聞こえる」の漢字を使っています。

ピアノから声が聞こえるという表現によって、ピアノが人のように感じられる印象を与えています。

かけてゆく 月の夜
変わり行く数字
見つめる君に
火をつけて 森の中
飛べなくなる蝶見つめて
酔い痴れていようか

「かけてゆく」をひらがなにし、「欠けて」で月の満ち欠けを表現し、さらに「駆けて」で時間の疾走感を表現しています。
そして「変わり行く数字」は時の経過を象徴していますね。

ここで「君」が登場します。
先述の歌詞中の「蝶」や「ピアノ」も「君」を暗示しています。
この恋愛によって美しく燃え上がり、酔い痴れるような感情が生まれているのです。
森はその状況を比喩しているのですね。

「火をつけて」は「君に」と「森の中」の両方に関連しています。
それは君の心に恋の火を灯すという意味と、森=主人公と君の関係に火をつけるという意味を持っています。

「飛べなくなる蝶」は主人公が君を捕まえた状況を暗示しています。
この瞬間は主人公の感情が高まっている時なのですね。

次には間奏が入りますが、その直前で音的にも歌詞のストーリーとしても盛り上がりを演出しています。

切ない最期

目隠しで 森の中
戻らない旅に
出掛けて君を忘れようか?

「目隠しで森の中」というフレーズは、まさに恋愛は盲目的な状態を表しています。

しかし、冒頭で登場した「出掛け」が終盤でも再び言及されました。
最初の「さよなら」と終わりに近づく「戻らない旅」というフレーズからは、「君」と別れて離ればなれになることが暗示されています。
ただし、「?」が存在することから、主人公は迷っている様子がうかがえます。

止められない時を
迷わず焦がしてく
炎で燃やし尽くしてくれ

「変わり行く数字」と対応する最後のフレーズは「止められない時」となっています。
これはもうさよならすることが避けられない状況を表しています。
しかし、そのような刹那的な瞬間を、恋焦がす炎で燃やし尽くしてくれることを願って終わる歌詞です。

この曲はかなり切なさを感じさせるものですね。
歌詞の内容だけでなく、奥田民生の哀愁漂う歌声とスカパラの美しいホーンのメロディが、この曲をより魅力的にしています。

この曲がヒットしたのも納得ですね。