1. 「ラヴィ(Lavie)」は#コンパスの“ラヴィ・シュシュマル”のテーマソング
「ラヴィ」は、スマホゲーム『#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜』に登場するキャラクター「ラヴィ・シュシュマル」のテーマソングとして制作されました。作詞・作曲はすりぃが担当し、ラヴィ・シュシュマルの小悪魔的で吸血鬼らしいキャラクター性を巧みに音楽として表現しています。
曲全体を通して彼女の「可愛さ」と「残虐性」が融合しており、ゲーム内のビジュアルと併せて聴くことで、より世界観が深まるように設計されています。ラヴィ・シュシュマルは、見た目はあどけない少女でありながら、非常に高い攻撃力と不敵な性格を持つキャラクターです。この楽曲は、そんな彼女の本質を「音」と「言葉」で描写しているのです。
2. 擬音語で描かれる“吸血”イメージと小悪魔的表現
「チュウ」「チュッチュッ」などの擬音語は、この楽曲の象徴的な要素の一つです。吸血鬼であるラヴィの「血を吸う」という本能的な行為を、あえて甘い口づけのような表現に置き換えることで、小悪魔的かつ魅惑的な雰囲気が強調されています。
また、「ラヴィ=love」や「ラヴィ=la vie(命)」という多義的な音の響きによって、愛と命を吸い取るという倒錯的なテーマが演出されます。こうした擬音語の使い方は、すりぃの音楽に見られる“遊び心”でもあり、リスナーに印象的なフレーズとして残ります。
3. 強気・煽りと弱気のギャップに表れる“二面性”
「ノーダメージだもん♪」という台詞のようなフレーズは、強気で挑発的なラヴィの一面を象徴します。一方で、「弱虫だ」「無能だ」などと自らを貶めるような語も散見されます。この二面性は、単なる悪役的キャラに留まらないラヴィの“人間味”を浮かび上がらせます。
特に注目したいのは、強気な表現の裏にある「構って欲しさ」や「認められたい」という欲求です。これにより、ただ怖いだけではなく、どこか哀しみや孤独も内包しているキャラクター像が浮き彫りになります。すりぃの歌詞は、このように表と裏、光と闇の間を巧みに行き来しており、聴く者に余韻を残します。
4. ラップパートで顕在化する“冷酷さ”と支配欲
この楽曲では、突如としてラップ調に変わるパートがあります。そこで使われるのは、「血を含んで」「弱音を吐くな」「死んでるか」など、非常に直接的かつ攻撃的な言葉です。これはラヴィが本性を剥き出しにした瞬間であり、聴き手に強いインパクトを与えます。
可愛らしいメロディから一転して、冷徹な支配者としての顔を見せる構成は、楽曲全体の緩急を演出する重要な役割を果たしています。このような演出により、リスナーは「見た目とのギャップ」に魅了され、より深くキャラクターに没入することができます。
5. フランス語「La vie(命)」の二重構造と歌詞の奥深さ
タイトルにある「ラヴィ(Lavie)」は、フランス語で「命(la vie)」を意味します。これを意識することで、歌詞に込められたメッセージは一層深く理解できます。すなわち、ラヴィは“命を吸う存在”であり、“命そのもの”でもあるという二重の存在なのです。
また、愛(love)と命(life)が交錯するこの言葉遊びは、吸血鬼が持つ「不死」と「死をもたらす」二面性とも重なります。このような言語的・文化的背景を踏まえると、単なるキャラクターソングではなく、一つの寓話的作品としても捉えることができます。
🔑 まとめ
「ラヴィ」は、可愛さ・狂気・孤独・支配欲といった複数の感情が巧みに織り交ぜられた作品であり、すりぃによる巧みな言語・音楽表現によって、キャラクターの内面が多層的に描かれています。ゲームを知らない人にも届く「音楽作品としての完成度」の高さが、この楽曲の魅力です。