【本当はね、/ヤングスキニー】歌詞の意味を考察、解釈する。

2023年3月15日、注目の新進気鋭なロックバンド・ヤングスキニーが、初のフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』をリリースしました。
今回は、そのアルバムに収められた曲の一つ、『本当はね、』の歌詞の意味を考察してみたいと思います。

ヤンスキの代表曲

「ヤンスキ」として親しまれる若手ロックバンド、ヤングスキニーは、10代を中心に多くの共感を呼び起こすリアルな思いを綴った歌詞で大きな人気を博しています。
ヤンスキは、かやゆー(ボーカル&ギター)、ゴンザレス(ギター)、りょうと(ベース)、しおん(ドラム)の4人からなるバンドであり、東京で結成されたグループです。

彼らは2023年3月15日に、初のフルアルバム『歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた』を配信リリースしました。
このアルバムには、「本当はね、」という人気曲も含まれています。

「本当はね、」はヤンスキの作品の中でも特に人気が高く、MVの再生回数は2023年3月30日現在で1400万回を超えています。
この曲の作詞作曲は、ボーカルのかやゆーが手がけており、感情豊かな歌詞が多くの人々の心に響いています。

さらに、「本当はね、」はTBSの人気番組「王様のブランチ」の10月度(2022年)エンディングテーマとしても起用され、大きな話題となりました。

ヤンスキの代表曲として知られる「本当はね、」の歌詞には、どのような意味が込められているのか、その魅力に迫ってみたいと思います。

外見とは違う本当の私

本当はね、あなたが好き
最低なことを言っちゃってごめんね
ちょっとだけ素直になれない
思ってもないこと言っちゃってごめんね

本当はね、あなたが好き
余計なことまで言っちゃってごめんね
ちょっとだけ構ってちょーだい
面倒だなんて言わないで、ごめんね

歌の冒頭、「本当はね、あなたが好き」という一言から、この曲の主人公は「想いを伝えられない女性」であることが窺えます。

彼女は相手との距離が近く、「最低なこと」や「余計なこと」を口にしてしまうこともあるようです。
内心では大好きで、相手に気を遣って欲しいと願っているものの、照れくさくて素直になれないでいます。

歌詞の中で何度も繰り返される「ごめんね」からは、主人公の優しさや切なさが伝わってきます。

また、「面倒だなんて “思わないで” 」ではなく「言わないで」となっているのは、主人公が自分の弱さを自覚しているため、相手に言われることを恐れているのかもしれません。

このように、歌詞を通して主人公の複雑な気持ちや心情が表現されており、彼女の内面を描いた歌となっています。

照れ隠す子供みたいだ私
恥ずかしい気持ち全部捨てて
「今から会いに行ってもいい?」

「照れ隠す子供みたい」という言葉は、主人公が本心を隠すために心にもないことを口にする様子を絶妙に表現しています。

しかし、そんな主人公も最近になって「今から会いたい」という思いを何とか口に出せるようになったようです。

音楽のビートが高まり、心の鼓動とリンクして、ついにサビの部分に突入します。

メイクもヘアセットも全部あなたのため
あなた好みの可愛い女になりたいわ
意地張っちゃって強がっちゃって
嫌われてないかな?
本当はね、私もか弱い女の子

主人公は大切な「あなた」のために、「メイクもヘアセットも」頑張っています。

相手の好みが「可愛い」女性のようで、それを知ってからは、主人公は「可愛い女になりたいわ」と言っているものの、心の奥底では「可愛い」を甘く見ているようなニュアンスが伝わってきます。

自分の雰囲気と好きな人のタイプが違うからこそ、主人公は意地を張ったり強がったりしてしまうのかもしれません。
それでも、心の中では「嫌われてないかな?」と常に心配してしまいます。

外見から見えるイメージとは裏腹に、主人公の本当の姿は「か弱い女の子」なのですね。

様々な解釈ができる

本当はね、あなたが好き
酔っ払ったふりして電話かけてごめんね
「本当はさ、寝れないんだろ?」
「そんなわけないわ」嘘ついてごめんね

照れ隠す子供みたいだ私
恥ずかしい気持ち全部捨てて
今から気持ちを伝えてみようかな

「酔っ払ったふりして」電話をかけたのは、主人公が普段は見せない「か弱い女の子」の一面を見せたかったからでしょう。

MVでは、「酔っ払ったふりして」と歌われるタイミングで、電話掛夫『酔っ払ったふりして』という本が登場します。
このことから、電話をかけたのは男性の方であり、実は2人とも互いに「本当は好き」なのに、なかなか素直になれないでいる様子も考えられます。

主人公は「本当はさ、寝れないんだろ?」と図星を指されたような反応を見せますが、ふざけた調子にも聞こえる問いに対して、「そんなわけないわ」と強がります。

「嘘ついてごめんね」と続く部分からは、せっかく相手が本心を察してくれたのに素直になれなかったことへの小さな罪悪感が伝わってきます。

相変わらず「照れ隠す子供」のような態度をとる主人公ですが、このままではいけないと思い、「今から気持ちを伝えてみようかな」と心が揺れ動いているようです。

この前買ったあのファッション誌も
全部あなたのため
あなた好みの可愛い女になりたいわ
可愛い子ぶって上目遣いで
甘えてみようかな?
私だって、私だって

主人公は「可愛い女」を演じることなんて、やろうと思えばできるはずなのに…。

そのもどかしさが、歌詞を通じて伝わってきます。

「私だって、私だって」と、満たされない気持ちが増幅される一方で、物語は最後のサビへと進んでいきます。

メイクもヘアセットも全部あなたのため
あなた好みの可愛い女になりたいわ
意地張っちゃって強がっちゃって
嫌われてないかな?
本当はね、私もか弱い女の子
本当はね、私気づいてほしかったの

主人公は「ファッション」「メイク」「ヘアセット」と見た目を変えることで、「あなた」にヒントを出そうとしてきました。

これは、好きな人を思って自分磨きをし、外見を変えることに力を入れるのは、最終的には「ありのままの自分(内面)を好きになってほしい」という思いがあるからかもしれません。

そして最後の歌詞は「本当はね、私気づいてほしかったの」という形で綴られています。

これは、「私」の気持ちを相手が察して、自分から動いてほしかったという意味を込めているのでしょうか。

タネ明かしをするような過去形の表現は、実らなかった恋への心残りや、吹っ切れたふうを装う最後の強がりなど、さまざまな解釈ができるでしょう。

MVも必見

今回は、ヤングスキニーの楽曲『本当はね、』の歌詞の意味について考察してみました。

歌詞には「本当の気持ち」と「外に出す態度」とのギャップが印象的に描かれており、タイトルに読点「、」があることも考慮すると、女心の中に言葉には出さない深い思いが隠れている可能性も感じられます。

さらに、MVでは今回の考察とは異なる「狂気じみた愛」の要素が描かれているようです。

このように、歌詞とMVが互いに補完し合い、新たな味わいを生み出していることも分かります。

それぞれの歌詞やMVの世界を広げることで、楽曲の奥深さや多面性を楽しむことができるかもしれません。

ぜひこの機会に、ヤングスキニーの『本当はね、』をより深く探求してみてください。