【冬の花/宮本浩次】歌詞の意味を考察、解釈する。

宮本浩次が『冬の花』と表現した内容には、人生の長さと短さ、そしてその中での思索が込められています。
彼が歌詞で探求しているのは、この一生の旅路において、何を追い求め、どんな思いで歩んでいるのかです。

ドラマ「後妻業」の主題歌

2019年の冬に、宮本浩次と小林武史がコラボレーションし、『冬の花』という楽曲を制作しました。
この曲はドラマ『後妻業』の主題歌として話題となりました。
宮本の特徴的なダイナミックなMVと、楽曲の美しさに多くの人が感動したことでしょう。

宮本は作詞の際、「木村佳乃さん演じる小夜子の姿を思い浮かべながら書いた」と語っています。
一方で、彼自身の人生観や哲学も歌詞に反映されていると感じる人もいます。

この歌詞にはどんな思いが込められているのか、彼らの想いや意図が気になるところですね。

冬の花と重ねる人生

いずれ花と散る わたしの生命
帰らぬ時 指おり数えても
涙と笑い 過去と未来
引き裂かれしわたしは 冬の花

情熱的なピアノの旋律と共に流れるメロディ。
そこには、最初から心をつかまれる言葉が並んでいます。

歌詞は、自らがいつか命を散らす枯れ際の花のようだと語る人物の心情を描いています。
彼は人生の意味や本質について深く考えているようです。

経験を積み重ねてきた彼は、喜びと苦しみを人一倍知っているのかもしれません。
年齢を重ねながら、人生の喜びや悲しみを知り尽くしてきたことでしょう。

彼は自分自身の人生を「冬の花」と称しています。
彼が寒さに耐え、季節に関わらず美しく咲き続ける姿は、まさにその表現にふさわしいものです。

人生は旅のようなもの

旅みたいだね
生きるってどんな時でも
木枯らしの中 ぬくもり求め 彷徨う

泣かないで わたしの恋心
涙は“お前”にはにあわない
ゆけ ただゆけ いっそわたしがゆくよ
ああ 心が笑いたがっている

旅路を続ける者は、出会いと別れを繰り返しながらも前進し続ける使命があります。
その道は時には厳しく辛くても、新たな出会いを求めて歩き続けなければならない。

多くの別れが訪れる中で、心に涙を抱えながらも笑顔を見せなければならないこともあります。
この歌詞の中で語られる、「自分の心に涙は似合わない」という言葉は、そうした状況から生まれたのかもしれません。

「心」が嘆き悲しんでいても、自らを奮い立たせ、前に進むことが求められます。
自分の心をリードし、自らの足で歩み続けるのです。

なんか悲しいね 生きてるって
重ねし約束 あなたとふたり
時のまにまに たゆたいながら
涙を隠した しあわせ芝居

そうして新たな人と出会い、共に歩む約束を交わしても、全てが幸せに繋がるとは限りません。

結局、旅はひとりで続くこともあります。
幸せを見つけたとしても、全ての苦難を解消するわけではありません。

心の奥に秘めた笑顔を押し殺しつつ、ただ幸せを求めて進んでいく。
この歌詞はどこか寂しさを帯びているかもしれませんが、多くの人々が乗り越えてきた辛い経験に共感することでしょう。

すべてを受け止める

悲しくって泣いてるわけじゃあない
生きてるから涙が出るの
こごえる季節に鮮やかに咲くよ
ああ わたしが 負けるわけがない

人は生きているからこそ涙が溢れる。
この曲は、そのような真実を歌っているのかもしれません。

幸せを求めて歩み、手に入れたとしても、それは過去の悲しみを完全に癒すことはできないかもしれません。
時には心のままに涙を流したくなる瞬間もあるでしょう。

しかし、それが人生に敗北したというわけではありません。
辛さや悲しみを抱えながらも、私たちは自らの生を全うし、花のように美しく咲き誇るのです。

先に述べられた「泣かないで」というフレーズとは対照的に、涙を流すことを肯定してくれるような優しさが歌詞に感じられます。

ひと知れず されど誇らかに咲け
ああ わたしは 冬の花

目立つことはないかもしれません。
何も特別なことではなく、ありふれた人生かもしれません。
でも、彼は厳しい冬にも咲き誇ることを選んだのです。

もし生きることが辛く感じる時があれば、この曲を聴いてほしいです。

人生には辛いこともたくさんあります。
喜びや悲しみ、すべてを受け止めなければなりません。
それが繰り返しの中での人生です。

何も恐れることはありません。
恥じることもありません。
無理に涙を隠す必要はありません。

この曲は、不器用で優しい励ましを与えてくれるので、心に寄り添ってくれることでしょう。