【Squall/04 Limited Sazabys】歌詞の意味を考察、解釈する。

04 Limited Sazabysの楽曲「Squall」に関する歌詞の解説を試みたいと思います。

シングル曲への自信とその背景:『タイトル曲』に込めた制作哲学とノンタイアップ曲としての魅力

Twitterにおいて、GEN自身が以下のように言及していました。

Squallの歌詞はリード曲で使いがちな『君』とか『あなた』といった二人称を使ってません。この曲は「自分自身に生まれ変われ」というテーマなので、聴く人の意識がより内側に向かうように書き上げました。是非刺さっていただきたい。

この曲は、シングルの名前をそのままCDのタイトルとして使用するのは初めての試みであり、過去にはEPのような要素が感じられる作品もあったが、この曲に関しては「シングル曲」としての自信があり、そのため直接タイトルに採用されたことを彼は述べています。

また、CMでの使用はされていますが、基本的にはタイアップを意識せずに作られた力作であることも伝えていました。

この楽曲に対する考察を深めたいと思います。

内向きの視点を超えて:「太陽負けんなよ」に見るポジティブ変革への誘い

この曲は、一般的な楽曲と異なり、二人称を使用せず、さらには「自分が」という表現以外での一人称も使われていない点が特徴的です。

このような構成は比較的珍しいと言えます。

楽曲が自己対話の形をとっているため、本質的には内省的な性質を帯び、視点が内向きになりがちですが、サビの部分でこの傾向を打破し、視線を空へと向ける仕掛けが施されています。

結果として、聴く者の目線を自然と上向きにし、ポジティブな視点へと導く設計がなされています。

ただし、この空が単純な希望の象徴ではなく、「五月雨」として現在の雨を描写している点は、一転して現実的な挑戦を示唆しています。

しかし、この雨は内面の不安を清め、希望へと繋がるものとして描かれ、前向きな変化を促すのは聴く者自身の意志にかかっているというメッセージが込められています。

「太陽負けんなよ」というフレーズには、このような深い意味が込められており、不安や挫折を経験することは誰にでもあるが、無駄なことは何もなく、諦める必要はないと伝えています。

行動に移すことで再生や変革が可能であると強く励まし、リスナーに勇気を与える楽曲だと感じます。

変遷と脱皮:楽曲に込められた心情の旅路と音楽的表現

歌詞の精緻な分析から見えてくるのは、各フレーズごとに主人公の心情が変遷し、最終的には新たな自己へと脱皮していく物語の構造です。

初めに示されるAメロでは感じられる否定的な感情から、Bメロで自己への疑念、そしてサビへと移行するにつれて徐々に肯定的な方向へとシフトしていきます。

特に、二番のAメロでは、その否定的だった理由を明かし、サビではさらにその肯定への傾斜を強化しています。

Cメロでは、確固たる自己変革が示され、最終的なサビでは、まるで生まれ変わったかのような主人公を見ることができます。

この楽曲の背景には、音楽的な表現も大きく寄与しています。

ギターのノイズから始まり、不確かな心情を音で表現しているかのようです。

Aメロの抑えられたメロディと楽器の音数は、主人公が内向きの感情に囚われている様子を示唆しています。

一方で、Bメロでは楽曲の動きが大きくなり、感情の揺れを音楽的に表現しています。

サビでは感情の爆発を通じて、聴く人にエネルギッシュな印象を与えますが、歌詞への注意を促すために、意図的にテンポは控えめに保たれています。

この曲は、単なるフェス向けの盛り上がりだけを追求した作品ではなく、深いメッセージを込めて制作された重要な楽曲であることが伺えます。

特に二番のAメロでは、変化したメロディが歌詞の内容と密接に結びついており、主人公の心情の変化をサポートする音楽的なアプローチが取られています。

また、Bメロのカットや、Aメロとサビ間の無縁構造は、主人公の心の動きを巧みに表現しています。

これらの要素から、この楽曲が歌詞に深く根差し、丁寧に作り込まれた作品であることが明らかになります。

そのため、GENはこの曲をシングルリリースすることに対し、大きな自信を持っていたと考えられます。