ゆるめのサイケポップで大人気の脱力系バンドTempalay(テンパレイ)。
初期の代表曲として多くのファンに愛されているのが、「革命前夜」という人気曲です。
これは、力強いメッセージソングではなく、純粋な恋愛ソングとして知られています。
歌詞の中では、告白を決意した一人の男性の心情が描かれており、その結末にはどんな展開が待っているのでしょうか?
中毒性のある楽曲
Tempalay(テンパレイ)は2014年6月に結成され、2018年7月に新体制となりました。
その後間もなく、フジロックやアメリカの大型フェスなどに出演し、逆輸入バンドとしても注目を集めました。
「革命前夜」というシングルは2017年6月にデジタル配信限定でリリースされました。
この曲はGAPの音楽プロジェクト「1969 RECORDS」のために特別に制作されたコラボ曲であり、テーマは「アポロ11号の月面着陸」に関連しています。
GAPが創業した1969年の出来事にインスパイアされているそうです。
また、「革命前夜」は2017年8月にリリースされたTempalayの2枚目のアルバム『from JAPAN 2』にも収録されている楽曲です。
この曲は、ベースの竹内祐也さんが在籍中の2018年6月に録音されたもので、コーラス&シンセのAAAMYYY(エイミー)さんがサポートメンバーとして参加しています。
Tempalayの楽曲「革命前夜」は、そのゆる~いローファイなサウンドが心地よく、聴く人を心地良い空間へと誘います。
曲の中では、途中でファンクっぽい要素が盛り込まれ、リバーブがかかったシンセが不思議な浮遊感を漂わせます。
しかし、終盤にはしっかりと地球に帰還するような展開があります。
その脱力感が魅力的なサイケデリックポップの特徴でもあります。
Tempalayの楽曲「革命前夜」は、サウンドだけでなく歌詞にも宇宙のかなたまでただよいそうな浮遊感が表現されています。
歌詞のチョイスはちょっぴり不思議で、エモーショナルであり、中毒性があると多くの人から話題になっています。
月面着陸とは何を表しているのか
「革命前夜」という楽曲のタイトルには、社会や政治体制の大きな変化を表す「革命」を連想させます。
しかし、この曲は強烈なメッセージソングとは異なり、意外にもがっつり恋愛ソングなのです。
作詞家の小原綾斗さんは「感情は常に変わるもの」という考え方を持っており、社会的なメッセージやストレートな感情をそのまま歌詞にはせず、恋愛ソングの形で表現することで本物の感情を描くというスタンスです。
したがって、この楽曲における「革命」は実は「告白」のことを指しており、「革命前夜」は恋人未満の女性に告白しようと決意した夜を意味しています。
男性の心情がどのように変化していくのか、楽曲の中で描かれているので、心躍る展開が楽しみですね。
「thank you for you.pump it up!」
オサレなフレーズに僕は戸惑うけど
今夜の君は今日までより美しい違った世界
冒頭の英語フレーズ「pump it up!」は、オサレでカッコいい表現ですが、直訳すると「吸い上げる」という意味になります。
これはネイティブが使うスラングで、ミュージシャンがライブの煽りで「気合い入れていこうぜ~」という感じで使ったりします。
ノリとしては「アゲアゲ~」という調子ですね。
また、筋肉を鍛える「パンプアップ」つまりワークアウトや膨らむが転じて元気になるという意味もあります。
ただ、この楽曲では「オサレなフレーズ」に男性が戸惑っているようで、どうやら女性の発言のようです。
「今夜は誘ってくれてありがとう。盛り上がっちゃおうね」と言われた感じでしょうか。
お相手の女性は今までより美しく見え、まるで「違った世界」にいるみたいだと感じています。
男性の恋愛感情は最高潮に高まり、まさに歴史的な革命前夜のようですね。
君をジャックしてしまいたい
惑星の片隅に
月にタッチして眺めたい
革命前夜の話
サビで印象的なフレーズとして登場する「ジャックする」は和製英語で、ハイジャックやバスジャックが転じて「乗っ取る、占拠する、支配する」という意味を持ちますね。
この表現から、恋愛感情の熱量がピークに達した男性の気持ちが伝わってきます。
彼はフランス革命で市民がバスティーユを占拠したくらいの勢いで女性とつきあいたいという強い思いが込められているかもしれません。
タイトルが「革命前夜」であることからも、この恋が彼にとって非常に重要で特別なものであることがわかります。
次の部分「惑星の片隅に」と続く箇所は、サビから一転して「ようこそサイケデリックポップの世界へ」という展開になります。
「惑星」とは太陽の周りを回る「水金地火木土天海冥」のような天体を指します。
そして、月は地球という惑星の周りを回る衛星です。
歌詞では「惑星の片隅くらい誰もいない遠くに君を連れていって独り占めにしたい」と、強い独占欲や恋愛感情が表現されています。
このように、楽曲では独特な世界観が広がり、聴く人をサイケデリックポップの魅力に引き込んでいます。
惑星の片隅に連れて行かれた後、次は月まで飛んで宇宙遊泳するかのようなイメージが浮かぶかもしれませんが、月は女性の象徴としても捉えられます。
とにかく楽曲では、恋愛感情が最大限に高まる「革命前夜の話」が描かれています。
サイケデリックポップの世界に誘われつつ、具体的な解釈をするのは難しいという考え方もあるでしょう。
また、「アポロ11号の月面着陸」がテーマだからこそ、深読みしすぎるよりも素直に楽しむべきだと言えるでしょう。
とにかく、楽曲の世界観に身を任せて、恋愛の舞台として月面着陸を楽しむのも素晴らしいアプローチです。
曖昧な表現で聴き手に余韻を与える
SOS 応答せよ あと少しで飛び立つロケットに乗り
銀河のはしっこ 昨日までのぼくもしばしお別れの時
Tempalayの小原綾斗さんは、メッセージや感情をそのまま歌詞にはしないスタンスを持っています。
楽曲では、革命やジャックといったメッセージ性の強い言葉を使い、高まる恋愛感情が表現されていました。
2番の冒頭では「SOS」という言葉が登場しますが、これは避難信号のことを指します。
宇宙飛行中に「助けてほしい」と応答を求めるようなシーンですね。
実際には宇宙飛行を指しているのではなく、この部分は革命前夜のデートのことを意味しています。
「SOS 応答せよ」は「君のことが大好きすぎて助けが必要なほどだから答えて!」と解釈できるでしょう。
つまり、男性がいよいよ告白したという意味合いですね。
デートが宇宙飛行に例えられた理由は、楽曲中に登場するロケットや銀河のシンボリズムによって明らかになります。
地球などの惑星は銀河系(天の川銀河)に含まれることから、宇宙の広大さや遠さを表現しているのです。
「惑星の片隅」よりも「銀河のはしっこ」のほうがはるかに遠いということで、告白した結果、さらに遠くへと飛んで「昨日までのぼく」とは「お別れ」になったという流れが描かれています。
この「昨日までのぼく」はどこへいったのか、詳細な答えは楽曲の進行に委ねられています。
その解釈は聴く人それぞれにゆだねられる部分であり、想像力をかき立てる要素となっています。
君をジャックしてしまいたい
絶滅危惧種の君を
月にタッチして眺めたい
革命の朝がくるね
2番のサビに突入すると、気になるフレーズが登場しますね。
「絶滅危惧種の君」という表現について、謎めいた意味が感じられます。
この表現には二つの解釈が考えられます。
一つ目は、「絶滅危惧種の君」が非常に貴重な存在であるという意味です。
その価値や大切さが歌詞に込められているのかもしれません。
もう一つは、「革命の朝」が訪れることで「昨日までの君」が絶滅するという意味です。
つまり、新しい展開によって過去の自分たちが変わってしまうという表現となります。
1番の「革命前夜」から2番では「革命の朝」に変わっているということで、新しい2人の姿や未来が想像できるでしょう。
これこそが「革命の朝」なのかもしれませんね。
こうした曖昧な表現が、楽曲の世界観と相まって余韻を残し、聴く人に深い感銘を与える要素となっています。
若者にとって恋の成就は革命
ロンリーナイト ワンダーランド
愛しくおもう日々も
さよなら 夢のまま
夏に溶けてくキッスの甘い香りよ
2番の歌詞では、最後に告白を決意した男性の結末が描かれています。
1人の夜や片想いとは「さよなら」できたようです。
女性は男性の告白を受け入れてくれたようですね。
「甘い香り」がただようことで、革命が成し遂げられたことがわかります。
もともと両想いだったのかもしれませんが、晴れてつきあうことになったようです。
ハッピーエンドですね。
めでたしめでたし~。
好きな人に告白することに不安があるときは、革命を起こす気合いを入れて挑戦してみると宇宙飛行のような経験ができるかもしれません。
もし勇気が出ないときは、「テンパレイっていいよね」と話しかけてみるのも良いアプローチです!
相手が「ああ革命前夜?」と答えてきたら、甘い香りがただようことでしょう。
自分の気持ちを伝える勇気を持って挑戦することで、素敵な出会いや恋愛が待っているかもしれませんね。
まとめ
熱い想いを抱きつつ女性に近づく男性。
恋愛においては、告白を決意した瞬間が最もドキドキする瞬間なのかもしれませんね。
Tempalayのゆるめのローファイサウンドとちょっぴり不思議な言葉のチョイスは、心地よい楽曲として多くの人に響いています。
「革命前夜」をきっかけにして、Tempalayのファンになる人も多いことでしょう。