【あびばのんのん/Tempalay】歌詞の意味を考察、解釈する。

Tempalayという3人組のバンドをご存知でしょうか。

彼らは爽やかさと変態さを同居させ、薬物に麻痺した頭の中で生まれた音を切り取り、パズルのように組み合わせたような曲を多く持っています。

このバンドの音楽を聞くと、人々の好みは分かれるかもしれませんが、彼らは間違いなく今後の邦楽界をリードする存在の1つであると私は考えています。

Apple Musicの現在のトップソングは、革命前夜が1位で、次がそなちね、その次があびばのんのん、そして次がどうしようという、カオスな並びです。

ちょっとした驚きですね。

新曲はいつも通り素晴らしい完成度であり、Tempalayとはどのようなバンドだったか再確認しながら、音楽素人の視点で紹介していきます。

EP『EDEN』でメジャーデビュー

2014年に小原綾斗(Vocal&Guitar)、竹内祐也(Bass)、藤本夏樹(Drums)で結成された3人組バンドです。

2018年6月13日、竹内が脱退し、同年7月7日、元々サポートメンバーとして活動していたAAAMYYY(synthesizer/chorus)が加入し、現在のメンバー構成となりました。

藤本夏樹は「John Natsuki」としてソロ活動を行っており、AAAMYYYもまたソロのシンガーソングライターとして活動しています。

話を戻しますと、Tempalayは結成してからまだ時間が経っていないにも関わらず、2015年にはフジロックやりんご音楽祭に出演し、さらにはアメリカで開催される音楽の大イベントであるサウスバイ・サウスウエストにも登場しました。

そして、2020年にはEP『EDEN』でメジャーデビューを果たし、その勢いは現在も続いています。

伝統音楽を取り入れたモダンな作品

9月に新しいEP『あびばのんのん』が発売されました。

タイトルからは、ドリフターズの曲を彷彿とさせるような陽気な雰囲気が感じられますが、これはボーカルの小原の手腕によるものでしょう。

このEPは、テレビ東京のドラマ「サ道2021」のエンディングテーマとしても採用されています。

これまでの作品では、漫画『AKIRA』や楳図かずおの『わたしは真悟』など、さまざまなサブカルチャーがTempalayや小原のフィルターを通して取り入れられてきました。

今回はサウナがテーマとなっており、その心地よさが曲に反映されています。

ドラマのタイアップもサウナをテーマにした作品なので、その雰囲気に合わせて制作されたのでしょう。

タイトルにはドリフターズへのオマージュが感じられますが、曲の内容は爽やかな夏の終わりを感じさせるものです。

和楽器が多用され、歌詞には文学的な要素があり、近年の音楽シーンで逆に珍しい自国の伝統音楽を取り入れたモダンな作品となっています。

歌詞のフレーズも繊細で、感情豊かな抑揚が見事に表現されています。

ミュージックビデオは完全にアニメーションで構成されており、PERIMETRONのOSRINがディレクションを務め、佐々木集がプロデュースを担当しています。

また、Eテレの番組「シャキーン!」のアニメーションを手がけた土屋萌児と、日本のアニメーション業界を支える水江未来も制作に携わっています。

楽曲には、スープを飲ませてくれる屋台引きの老人との心温まるやりとりが描かれ、ほっこりしながらも悲しいストーリーが込められています。

この楽曲を聴いた後にミュージックビデオを観ると、曲の雰囲気がさらに深く理解でき、二重の楽しみが味わえます。