【夏なんです/はっぴいえんど】歌詞の意味を考察、解釈する。

今回のテーマは「夏なんです」です。

この曲が収録されている「風街ろまん」は、邦楽ロックの歴史において高い評価を受けており、日本語でロックを成功させた作品として称賛されています。
初めて聴いた時、正直言って、「これが何で評価されているのかわからないな」と思いました。
曲は陰鬱で重苦しく、ロックとはどうやら違うように感じられました。

しかし、その後、私はこのアルバムに魅了されました。
まさに、音楽の宇宙に浸っているような感覚に陥りました。
それは紛れもなく、音楽の進化と成熟の証と言えるでしょう。
このアルバムは、まるでサージェント・ペパーズのように感じました。

特に、「夏なんです」は私にとって特別な意味を持ち、まさに私の夏のサウンドトラックとなりつつあります。

安定感のない軽やかな導入部から始まります。

細野さんは、この導入部を制作する際に、60年代の西海岸サイケデリックバンドであるMoby Grapeの「He」を参考にしました。
興味深いことに、細野さんはこの導入部について「特に秘密にするつもりはありません」とコメントしています。
それがまた魅力的ですね。

そして、「夏なんです」という楽曲は、次の歌詞から歌い出されます。

田舎の白い畦道で
埃っぽい風が立ち止る
地べたにペタンとしゃがみこみ
奴らがビー玉はじいてる

私は田舎で生まれ育ち、現在も田舎に住んでいます。
一応平成生まれで、比較的発展した時代で育った世代です。
それでも、なぜかこの風景(風街)がぼんやりと頭に浮かびます。
子供の頃は外でよく遊ぶ子供でしたが、ビー玉をはじいたことはありません。

昔の作品が「古さを感じさせない」と褒められることはよくありますが、これはどう聴いても古く、それでいて不思議なほど懐かしさを感じます。
自分が生まれる何十年も前の光景なのに、なぜか心に深く刻まれています。

そして、何よりも、本当に素晴らしいと思うのは、これです。

ギンギンギラギラの
太陽なんです
ギンギンギラギラの
夏なんです

ホーシーツクツクの
蝉の声です
ホーシーツクツクの
夏なんです

モンモンモコモコの
入道雲です
モンモンモコモコの
夏なんです

それぞれの擬音語や擬声語に「~夏なんです」を付けると、驚くほどうまく調和しています。
日本特有のオノマトペを巧みにロックの世界に組み込んだ松本隆の才能は本当に素晴らしいです。

そして、これまであまり注目されてこなかった「なんです」の力についても感じます。
優しい言葉でありながら、非常に強い主張が込められています。

「夏なんです。」

言葉に「夏なんです」と付け加えれば、何でも通りそうですね。

この夏、猛暑の中で、私たちはけだるい日々を楽しんで過ごすことにしましょう。
だって、夏なんですから。

はっぴいえんど「夏なんです」 歌詞全文

歌詞全文

田舎の白い畦道で
埃っぽい風が立ち止る
地べたにペタンとしゃがみこみ
奴らがビー玉はじいてる
ギンギンギラギラの
太陽なんです
ギンギンギラギラの
夏なんです

鎮守の森は ふかみどり
舞い降りてきた 静けさが
古い茶屋の 店先に
誰かさんとぶらさがる
ホーシーツクツクの
蝉の声です
ホーシーツクツクの
夏なんです

日傘くるくる ぼくはたいくつ
日傘くるくる ぼくはたいくつ
ルルル…

空模様の縫い目を辿って
石畳を駆け抜けると
夏は通り雨と一緒に
連れ立って行ってしまうのです
モンモンモコモコの
入道雲です
モンモンモコモコの
夏なんです

日傘くるくる ぼくはたいくつ
日傘くるくる ぼくはたいくつ
ルルル…