【シーグラス/ストレイテナー】歌詞の意味を考察、解釈する。

「ストレイテナー」の「シーグラス」という楽曲は、夕焼けに寄り添うような切なさが漂います。
これによって、楽しい夏の思い出が一層輝くような気がします。
これからも訪れるであろう夏が今から恋しくなるのは、きっとこの曲の影響なのでしょう。
大切な人と共に過ごした夏の思い出が、いつまでも心に残るように、「シーグラス」は存在しているのかもしれません。


ただ一つ気を付けていただきたいのは、この曲を夏の始まりに聴いてしまうと、切ない気持ちになる可能性があることです。
したがって、必ず夏の終わりに聴くことをおすすめします。

この曲は、バンドの初期の情熱を凝縮させたような、爽やかながらも疾走感溢れるメロディを奏でており、その点に驚かされます。
「ストレイテナー」は2003年にメジャーデビューし、当初はボーカルのホリエアツシとドラマーのナカヤマシンペイの2人だけでした。
その後、Nothing’s Carved In Stoneのベーシストとしても知られる日向秀和や、元ART-SCHOOLのギタリストである大山純が加わり、4人編成となりました。
彼らは数々の名曲を生み出し、2016年4月にリリースされたシングルに収められた楽曲も、ひとことで表現すれば「青い」という言葉がぴったりです。
その理由は、楽曲全体を通じて感じられる爽快なバンドサウンドだけでなく、青春時代の純粋な情熱や躍動感も表現されているからです。
もしシチュエーションで例えるなら、絶対に夏の終わりの夕焼けに染まる海の風景でしょう。

青春の一場面

ギターの音の奥行きは、確かにベテランらしいと感じます。
しかし、全体的に無駄を削ぎ落としたシンプルなアレンジは、まるで新進気鋭のバンドが演奏するような印象を受けます。
10年以上にわたるバンドの歴史を持つアーティストたちは、通常、より洗練された音を響かせる傾向にありますが、「シーグラス」はその逆を行く楽曲と言えるでしょう。

今年最後の海へ向かう 夕焼けが白いシャツを染める 二つの長い影を残して 夏が終わりを急いでる

非常に特定の状況を想像させる描写がありますが、この歌詞こそが若々しさを表現していると断言しても過言ではないでしょう。
夏休みの最後の日、大切な人とともに迎える夕日。
切なさを感じつつも、透明感あるギターサウンドが響き渡り、緩急のない疾走感ある楽曲が奏でられる。
これを青春の一場面と呼ばずして、何にたとえることができるでしょうか。

夏の想い出を永遠に刻む

夏が終わりを急いでるという表現が巧妙で、この歌詞はまるで季節の移ろいに対抗するかのように、まだ終わってしまってはいけないという思いを引き起こします。
『シーグラス』を聴くと、夏が終わる寂しさを感じて、そのためにこの曲を聴きたくない気持ちにもなります。
しかし同時に、夏の想い出を永遠に刻むためには、この曲の力が必要だとも感じます。
気がつけば、毎年夏の終わりには欠かせない一曲として心に残っていることでしょう。
もし「ストレイテナー」がこうした意図を込めているなら、その戦略は成功していると言えるでしょう。