【ふたり/井上苑子】歌詞の意味を考察、解釈する。

シンガーソングライター、井上苑子(イノウエソノコ)の楽曲「ふたり」は、青春の情熱が溢れ、深く愛する恋人への思いがリアルに描かれた素晴らしいラブソングです。
この曲は、若者独特の感性が鮮やかに表現されており、恋についての歌詞に注目です。

どこか繊細で不確かな青春の恋

アラームより早起きした六時二分前
寝ぼけ眼のあなたを
「おはよ」って迎える二時間前
夜遅くまで同じテレビ番組を見ながら 途切れぬやりとりもう二週間
想うだけの二ヶ月前とは違うの

二年ぶりのショートカットはまさにあなたのため
毛先は跳ねるし 友達に朝一番に囲まれるし
でも答えない 教えない 二日前にあなたに言われた
「きっと似合うよ」の一言が理由なのは二人だけの秘密

「ふたり」の歌詞では、かねてから憧れていた相手と恋人になった女性のワクワクする瞬間が描かれています。
かつての片思いの苦しみから解放され、今では遅い時間まで相手とのコミュニケーションを楽しむことができるようになった主人公の成長が表現されています。

「アラームより早起きした」という描写は、毎朝学校や仕事に行くことが楽しみで、その日に再び相手に会えることを心待ちにしている主人公の気持ちを表しています。
さらに、些細な一言が主人公を感情的に動かし、長い髪を切りショートカットにするほど、相手への深い愛情が伝わります。


甘いのは苦手なあなたが 少しだけ口付けたキャラメルフレーバーより
クリームが残る口元 それ見て笑う瞬間が
わたしにとっては 何よりも甘い時間で

二つに伸びる影が一つに
二人の息が止まる
好き 好き 好き過ぎる
あなたには照れた顔隠すけど
もう 怖いくらい もし嫌われたらとか…
いつでも あなたの「好き」でいたいの

「ふたり」の歌詞から伝わるのは、主人公にとって、一緒に過ごす時間が何よりも特別で大切な瞬間であることです。
これは、二ヶ月前、主人公が一人でその瞬間を切望していたことと比べると、今では夢のような毎日になっていることを示しています。

サビでは、「影」という表現を使って、高校生の恋人同士の初々しいキスが描かれています。
この瞬間は、主人公にとっては非常に感情が高まる瞬間であり、同時にこの幸せを失うことへの不安も浮かび上がります。
新たな恋愛が始まり、揺れ動く女性の感情がリアルに描かれています。


二歩先を歩く背中越し まだ見えない二年先も今と同じように
あなたとわたしの好き嫌いを 二人で分かち合えてるのかなあ?
二番線まで見送ってくれた すぐ二分後にそんなのメールしたら
重いかなあ…
なんて にらめっこしてる画面に あなたから先に届いて
「思った通り、短いの可愛かった」って
短い髪じゃ照れた顔隠せていないじゃん
もう…

この部分では、「二歩」「二年」「二番線」「二分後」といった、数字2に着目した言葉が連続しています。
ここで描かれているのは、「あなた」が少し前を歩いている様子で、まだ一緒に歩くことに照れくさい初々しさが表れています。

この曲が収録されているアルバムのタイトルである「#17」は、17歳の青春時代を象徴しているでしょう。
そして、「ふたり」の歌詞も、この17歳の恋を背景に描かれているのかもしれません。

17歳の人々にとって、二年後は高校を卒業し、それぞれの未来に向けて新たな一歩を踏み出す時期です。
まだ具体的にどうなるか分からないけれど、やがて訪れる未来。

この未来を想像しながらも、「あなた」からの些細なメッセージによって、幸せな「今」を感じずにはいられない主人公のかわいらしさと同時に、その幸せが脆いことも印象的です。


二言目にはあなたの名前
「本当にバカなの」とか
そうからかいながら自慢したいの
許してね

二つに伸びる未来 お願い 二人の未来になれ
好き 嫌い ごめん 好き 繰り返して 甘過ぎないくらいでさ
もう 怖くない…とはまだ言えないけど
いつでも あなたの「好き」でいるから
いつまでも わたしのこと 好きでいてね

友達との会話の中で、大好きな恋人について話すことが頻繁にあります。
このような経験は、多くの人に共感を呼ぶことでしょう。
普段から相手を思ってしまい、何気ない会話でもつい「あなた」について話題が及ぶのです。

このからかいや笑い話は、実は「あなた」のことを思い続けていて、それを照れ隠ししている結果と言えるでしょう。
楽しくて充実した「今」や未来への不安が入り混じりながら、新たな恋愛の始まりに主人公も戸惑いを感じているようです。

それでも、主人公はただ「好きでいるから、あなたも好きでいてほしい」という願いを込めて、全身全霊で愛を捧げています。
このように、甘酸っぱく、そしてどこか繊細で不確かな青春の恋が歌詞に描かれています。

まとめ

「ふたり」の歌詞に描かれる初々しい恋愛模様は、多くの人にとって高校時代の思い出を蘇らせるものでしょう。
また、現在学生生活を送っている人々も、自分自身の体験と重ね合わせながら共感することができるかもしれません。

このリアルな歌詞は、青春の情景を鮮明に描写しており、井上苑子が自身の青春時代を生きたからこそ書き出せたものと言えるでしょう。

「ふたり」は、明るくキャッチーでありながら、少し切ない要素も含むラブソングです。
自分の感情と重ね合わせながら、ぜひ聴いてみてください。
これは、青春時代や恋愛の美しい一瞬を称賛する素晴らしい楽曲です。