【ON THE ROAD/竹原ピストル】歌詞の意味を考察、解釈する。

竹原ピストルの「ON THE ROAD」の歌詞は、彼の生きざまと情熱が表現されています。
この記事では、歌詞の感情を詳しく分析し、燃え尽きる寸前で立ち止まる男性の物語をお楽しみいただきます。

竹原ピストルという強烈な個性

竹原ピストル、日本中でギターと歌声だけで人々を魅了するアーティストです。
その中でも「ON THE ROAD」という楽曲は、湿っぽさと乾いた感情の両方を巧みに表現し、彼の葛藤や任侠精神のような要素が鮮明に伝わってきます。
竹原ピストルの歌声も非常に素晴らしく、どんな音程でも彼独自のハスキーボイスで表現します。
伝統的な発声方法を使わないスタイルが、彼の個性を際立たせているのでしょう。
ギターと歌声だけで魅了するアーティストは希少であり、竹原ピストルはその中でも一際輝いています。
そして、彼の歌詞も素晴らしく、彼自身の強烈な世界観を表現しています。
主人公の人生に思いを馳せることができ、その空想に引き込まれます。
この記事では「ON THE ROAD」の歌詞の奥深い世界を詳しく解説し、竹原ピストルの魅力を共有します。

葛藤の中で揺れ動いている

雲と雲との切れ間から
また雲がこちらをのぞいている
燻んだ川面にひっくり返る
鈍い舌打ちと赤いトンボ

最初の行から、主人公が逆境に立たされていることが明らかになります。
曇り空を心の状態に例えるなら、雲が晴れることはなく、問題が次から次へと現れるイメージでしょう。
進展や明るい兆しは見当たりません。
主人公は心の負担が軽くならないことを悟っています。
彼が目にする景色も全てネガティブな印象です。
例えば、濁った川で死んだトンボが描かれています。
歌詞は言葉を遊ばせていますが、想像される情景は楽観的ではありません。
主人公は更に苛立ちを募らせます。
通常、街中で川を眺めると心が癒されることが多いでしょうが、彼にとっては逆に不快な光景が目に入ります。
彼の現状は打破の道筋が見当たらず、全てが行き詰まっているようです。
彼がどのような生活を送っているのか、興味が湧きます。
おそらく、彼は自分自身を死んだトンボに重ね合わせているのかもしれません。
将来に対する希望が薄く、結局は挫折しか待っていないと感じているのかもしれません。
竹原ピストルのハスキーボイスは、このような感情風景を表現するのにぴったりです。
主人公の状況が好転する可能性はあるのでしょうか?


旅支度と帰り支度の境目を失った道の上
君のためならなんでもするさ
但し 君が会ってくれるなら
ON THE ROAD

歌詞には主人公の具体的な状況が描かれていませんが、大切な人から離れ、帰る道を見失ったことが分かります。
故郷を出て都会で成功を目指したものの、計画が上手く行かず、自身が置かれた状況に行き詰まっているようです。
そのため、何度か別の場所に転居し続けている可能性があります。
しかし、本当は故郷に戻りたいと願っており、当時の約束や目標を果たせなかったことに対して恥じているようです。
歌詞の主人公は、この葛藤の中で揺れ動いています。

歌詞には、成功を約束したことや、君に対する約束が含まれているかもしれません。
しかし、君は再び会いたくないと言っていることが示唆されています。
主人公が約束を果たせなかったことだけでなく、他に理由がある可能性も考えられます。
君が別の人と結婚しているかもしれませんし、既に別々の人生を選んでいる可能性があるため、主人公は君に会いに行くことに葛藤しているかもしれません。
また、主人公が社会的に受け入れられない商売に関わってしまった可能性も考えられます。
このような場合、歌詞の中に表れる任侠的な要素が共鳴します。
トンボを自分と重ね合わせる表現も、主人公の夢や目標から遠ざかり、あこがれた生活とはかけ離れた現実に直面していることを示唆しているかもしれません。

自分の美学を守り、逆境に打ち勝とうとしている

街と街との切れ間から
また街がこちらをのぞいている
たるんだ電線を五線譜に
月は今 G♯のあたり

主人公は望んでいたものが、都会の中で遠くにあるかのように感じられ、社会からの圧力を感じているようです。
歌詞は街を通じて社会を象徴しており、主人公は何か目指していたにもかかわらず、それが実現できずに社会の困難に立ち向かっていることを表現しています。

1番では空を見上げると雲しか見えないと述べていましたが、2番では高いビルに視界が塞がれている印象が描かれています。
どちらの場面でも、主人公は困難に立ち向かう姿勢を示唆しています。
夜には電線が空を覆い、これからも波乱に満ちた生活を送るのか、売れないミュージシャンとしての苦境を歌っているのか、竹原ピストル自身の経験を反映している可能性があります。
電線に音符を描きたい気持ちが、月がG#の位置にちょうど来ている瞬間に表現されているのかもしれません。

歌詞は依然として主人公の苦悩を歌っていますが、聴衆はこれを映像化しやすく、竹原ピストルの音楽と歌詞の組み合わせが印象的です。
なお、G#の音をハイライトした瞬間での曲の部分転調は、竹原ピストルの遊び心が垣間見える瞬間であることが言えます。


恩返しと罪滅ぼしの境目を失った道の上
金のためならなんでもやるさ
但し 金でなんでも買えるなら

最初は、大切な人に感謝の気持ちを伝えるために何かを始めたようです。
しかし、今では自分自身が何をしているのか理解できない状態にあるようです。
最初の行からは、相手との関係が絶たれているような印象が伝わります。
本来、恩返しは相手との交流を通じて行われるものですが、現在はそのような繋がりがないため、むしろ自己償還の意味合いが強いのかもしれません。
主人公の行動が原因で、関係が破綻した可能性が高いです。

また、主人公は自身の金銭に対する価値観についても言及しており、お金では得られないものがあることを理解しているようです。
苦しい状況にあっても、彼は自分の美学を守り、逆境に打ち勝とうとしていることが示唆されています。

今更迷うことはない

群れを反れたのは てめーだろ
途方に暮れるのは筋違い
いやはやこいつはどうしたものかと
空きっ腹こすって薄ら笑い

他人と異なる生き方を選んだにもかかわらず、今更迷うことはないと自分に言い聞かせているようです。
後悔することで、これまでの生き方が否定されてしまうかもしれないとの不安が心に漂っているようです。
かつての友人たちは社会の通常の道を進み、結婚し子供も育てて幸せに暮らしている現実が、主人公にとって重い負担となっているかもしれません。
この現実に直面し、自身の方向性に迷いが生じているようです。
しかし、強気の言葉で自分自身を奮い立たせています。
迷いを断ち切り、前進するために叫んでいるのかもしれません。


主人公が笑っている理由は、おそらく辛さが極限に達し、自分を笑うことしかできなくなったからでしょう。
苦境に立たされても、すぐに状況を打開するのは難しいことがあります。
むしろ、気持ちが後ろ向きになり、状況が悪化してしまうこともあるでしょう。
そのため、笑うことを選ぶことが良い選択かもしれません。
主人公はこの事実に気づいているのかもしれません。
ただし、笑っても楽しさは感じられず、むしろ自身の愚かさが際立っていることを自覚しています。
そのため、彼の笑顔は半ば皮肉っぽいものである可能性が高いでしょう。

唯一の生き方

主人公は明確な目標を持っています。
現在は逆境に立たされているかもしれませんが、まだ前進する道が残っています。
それが「ON THE ROAD(道の上)」なのかもしれません。


彼は命を懸けて生きています。
時折不満を漏らしつつも、自身を奮い立たせ、再び前進しています。
この繰り返しを通じて、いつかは夢を実現できると信じています。
どんなに遠く遠ざかっているように見えても、いつかその目標に到達すると確信しています。
ただし、気持ちは限界に達している可能性もあるでしょう。
野垂れ死ぬ可能性も依然として存在します。
それでも、彼にとっては唯一の生き方があるのです。

まとめ

竹原ピストルのライフスタイルがそのまま表現された「ON THE ROAD」。
捨てがたい美学が光る歌詞は、強烈な印象を与えました。
人々の生き方は多様であり、この歌詞に共感したなら、自分自身の生き方を振り返る良い機会かもしれません。
その時、竹原ピストルが伝えたかったメッセージがより明確に見えてくるでしょう。