漫画「憂国のモリアーティ」14巻の批評と感想。

2021年4月2日に発売された『憂国のモリアーティ』14巻。

犯罪卿逮捕を依頼されたシャーロック、最終段階にまで進んだモリアーティプラン、そして自らの死で全悪魔を掃討しようと考えるウィリアム、全ての展開が大詰めを迎えた中で始まる14巻の感想をお伝えします!

ちなみに、酷評寄りの意見となるため、14巻絶賛派の方とは異なる見解があるかもしれません。

憂国のモリアーティ14巻の感想

「最後の事件」と銘打って続いてきたストーリーは、ウィリアム陣が巻き起こすモリアーティプランと、ウィリアム&シャーロックの友情にスポットが当てられ、2本柱で進行します。

経済的に追い詰められたロンドンに火が放たれ、市民たちはついに階級関係なく手を取り合うことに。

ウィリアムは満足していないかもしれませんが、自ら「市民共通の敵」に化け、市民の結束を生んだモリアーティプランは間違いなく成功を収めたといっていいでしょう。

しかし個人的に、ウィリアム&シャーロックの友情物語には大きな違和感を持ちました。

もちろん2人がこれまで「友達兼ライバル」のような関係で、お互いに惹かれ合っていたことは百も承知です。

ですが、シャーロックはわりと早い段階からウィリアムを犯罪卿だと睨んで近づいていましたよね。

だからこそ「友達兼ライバル」であり、犯罪卿と探偵という立場上、絶対に「ただの友達」にはなれないという関係性が魅力でした。

ところが14巻からウィリアム、シャーロック両名共に「自分たちは友達だ」と主張するようになります。

これが自分にはとても唐突に感じられ、13巻までの関係性からズレてしまったように思いました。

ただし、物語はまだ続くので、14巻で説明されなかった真実やキャラクターの心情は次巻以降で描かれるかもしれません。

憂国のモリアーティ14巻で違和感を持った点

ここからは、さらに詳しく『憂国のモリアーティ』14巻で違和感を持った点を掘り下げていきます。

1巻冒頭のシチュエーションではない

『憂国のモリアーティ』1巻は、原案である『シャーロック・ホームズシリーズ』のストーリーを彷彿とさせる滝のシーンから物語が始まります。

物語冒頭にラストバトルを連想させるシーンを入れることで全体の流れが把握でき、いつも冷静なウィリアムが「悪魔は貴様だ!」と凄まじい形相でシャーロックに迫るまでの過程を楽しみにしていました。

しかし、実際に描かれたシーンは滝ではなく建設中のタワーブリッジ。

「悪魔は貴様だ!」という台詞も飛び出しましたが、それも本当に心から出た言葉ではなく、市民感情を動かすためのパフォーマンスでした。

これまで、原案の見せ場は派手な脚色なしでしっかり描かれることが多かっただけに、原案及び1巻で登場したシチュエーションを無視した展開は少し残念に思います。

ウィルとシャーロックのBL感がすごい

『憂国のモリアーティ』は、もともと「BLっぽい演出」が多い作品でしたが、14巻はその演出が特に顕著に感じられ少し胸やけしそうでした。

例えば、タワーブリッジからテムズ川に身を投じようとするウィリアムをシャーロックが救うシーン。

落下したウィリアムを追って同じく落下したシャーロックはウィリアムに「やっと捕まえたぜ。リアム、生きよう。生きて俺達は…」と囁きます。

落下するウィリアムの頭を抱きかかえながら落ちていくシャーロックは、さながらお姫様のピンチを救う王子様のよう。

もちろんこういった演出も読者獲得には欠かせないものだと思いますが、物語の核となるシーンで大ゴマを使ってまでやる必要があるのかは疑問です。

憂国のモリアーティ14巻の見どころや良かった点

全体の感想としてはやや辛口となりましたが、もちろんよかった点もありました。

ここからは『憂国のモリアーティ』14巻の見どころや良かった点を紹介します。

モリアーティ陣の覚悟が美しい

アルバートとルイスは、モリアーティプランを始動させた当初から「最期は3人で迎える」と考えていました。

しかし、そう考えていたのはアルバートとルイス2人だけであり、ウィリアムは最初から自分1人が死んで幕を下ろすことを計画していたのです。

13巻ではその事実に気づいてルイスの感情が揺れるシーンがありましたが、14巻ではアルバートもルイスもその事実を受け止め「なら自分はどうするか」という答えを見つけています。

「弟一人に罪を背負わせはしない」と自らに罪を課し幽閉を望むアルバートと、兄が残した美しい世界を維持するため、女王陛下直属の秘密情報部に入ることを決意するルイスの覚悟は、思わず3兄弟の絆を感じて胸が熱くなりました。

少しずつ変わり始める大英帝国

アルバートにより放たれた炎は、貴族と庶民を繋ぐきっかけを生み出すことに成功しました。

市民たちは「”持てる者の勤め”に階級もへったくれもない」という考えのもと、自分たちの街・ロンドンを共に守ろうと動き出したのです。

これまで貴族と庶民は憎しみ合ってばかりだったので、お互いが歩み寄る14巻は市民感情に大きな変革があったのだと感じて嬉しくなりました。

しかし、史実ではヴィクトリア朝以降、大英帝国は失速していくため今後の展開に注目ですね。

まとめ

『憂国のモリアーティ』14巻の批評と感想をお伝えしました。

「最期の事件編」が完結まで収録され、読みごたえバツグンの一冊だったと思います。

しかし、ウィリアム、シャーロックの言動や感情にうまく付いていくことができず、心から楽しめなかったことも事実。

15巻から始まる「空き家の冒険編」にて、今回の不足感が補われることを願っています!

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