漫画「よふかしのうた」は漫画家コトヤマ先生による作品で、「週刊少年サンデー」で2019年より連載中だ。
2022年12月の段階での電子版を含む累計発行部数は400万部を超えている大ヒット作。
2022年にはアニメも放送され、原作の雰囲気がしっかりと再現されている。
ストーリーは、不登校の中学生夜守コウが、夜中に外を出歩くところから始まる。
そこで吸血鬼ナズナと出会う。
夜守は吸血鬼になることを望むが、そのためにはある条件が必要だった。
それは吸血鬼に恋をすること。
夜守はナズナに恋をすることを目標に、様々なトラブルを乗り越えて成長していく。
今回は15巻の批評と感想について紹介していきたい。
前回の14巻の終わりに出てきた謎のキャラクターの正体が判明したり、マヒルとキクのエピソードが語られたり、見逃せない内容となっている。
迫力のバトルシーン
制服を着た謎の高校生ハルカの元に行ったクラスメイトのサキを連れ戻すために、夜守は一人、宿を飛び出した。
見張りの先生たちに見つからないように、耳にピアスを開け、出血、半吸血鬼となり建物の壁をすり抜けて外へ出る。
ハルカがいるバーにたどり着く夜守だったが、サキはハルカの催眠術のようなものにかかり、床に倒れていた。
ハルカの正体は吸血鬼で、サキの血を吸おうとしていたのだ。
サキを連れ戻すためにハルカと戦う夜守。
ここでのバトルシーンは見応えがあるので、ぜひ紹介したい。
サキが倒れているのを見つけた夜守は会話途中だというのにパンチを繰り出す。
拳の描写だがスピード感が表現されたぶれた線になっている。
効果音の「ボッ」もパンチの素早さが伝わってくる。
当たったら痛そうだなあと感覚に訴えかけてくるのだ。
他にも、見開き1ページの迫力満点なコマがあるのだが、私のなかで印象的で忘れられないシーンとなった。
空中で対峙する2人。
バーに置かれた酒瓶が宙を舞い、ハルカのどこか楽し気な笑い声が響き渡る。
ハルカの壁を使ったアクション、枠からはみ出した夜守の手など、とてもダイナミックな構図をしており、家にポスターとして飾りたいくらいだ。
14巻の次回予告にもなっていたコマなので、なんとなく覚えていた読者も多いのではないだろうか?
マヒルの身辺整理
修学旅行前日、夜守の友人のマヒルはキクと共に廃ホテルにいた。
吸血鬼は人間時代の私物が弱点になるため、マヒルは自分の私物を燃やして処分していたのだ。
ゲーム機、ペンケースなど、自分の思い入れのあるものを処分していく。
マヒルは吸血鬼になる前の身辺整理は自殺の準備みたいだとつぶやく。
自殺というキーワードに少し衝撃を受けたが、確かに、吸血鬼になることは人としての死なのかもしれないと考える。
スマホを取り出し、電源を入れて写真を眺めるマヒル。
夜守と朝井とマヒル、3人で撮った写真が出てくるが、読者は複雑な気持ちになるだろう。
マヒルはスマホを処分することができず、思わず自分のズボンのポケットに入れてしまう。
これが後々の大きな伏線になるのは間違いないだろう。
改めて、アンコの父親のライター、メガネなど、アイテムの使い方が印象的で物語を引き立てていると感じる。
また、キャラクターの背景を丁寧に語ることによって、そのキャラクターに感情移入しやすいのもポイントだ。
マヒルとキクは今後どうなってしまうのか。
キクが好むのは恋愛映画だが、最後、2人のうちのどちらかが死ぬという儚いものだ。
映画のように、マヒルは死んでしまうのだろうか?
13巻でも触れられていたように、吸血鬼は惚れた人間の血を吸うとその人間が死ぬという噂がある。
キクがマヒルに惚れているならば、マヒルの血を吸った場合マヒルは死んでしまうことになる。
そのため、読者は最後まで結末を見守りたいと思うのだ。
ハルとキク
ナズナの母親であるハルは、キクと何らかの関係性があったのではないかと推測されていたが、ハルカの回想シーンでハルとキクが親しい仲だったことがわかる。
互いに、ハァちゃん、キクちゃんと言い合う仲。
キクはいつもよりもどことなくリラックスしているような気がした。
人間に戻るための方法を議論していたが、話の内容から2人とも深いものの考え方ができるタイプなのだと感じた。
ハルはナズナとそっくりな外見をしているため、ナズナが小難しいことを言っているような不思議な感覚に陥る。
キクはハルと親しかったため、13巻で彼女はナズナのことを母親のように心配していたのかもしれない。
点だった情報が線で繋がっていく感覚が楽しい。
ハルの死因についてだが、7巻にてカブラの口から語られている。
ハルは人間と結婚してから血を吸わなくなった。
そして、ナズナを産んで衰弱した体にも血を取り込まなかったそうだ。
そのあたりの話も今後出てくるのだろうか?
まとめ
漫画「よふかしのうた」15巻の批評と感想を紹介した。
キクとハルの過去は非常に興味深い内容だった。
また、11巻での「それから マヒル君には 最後の時まで会えなかった」というセリフから、15巻の終わりでマヒルには近づけたが、逃げられてしまうということだろうかなど、考えてしまう。
次回予告を見る限り、キクとアンコが直接対峙するようで、どう物語が動いていくのか楽しみだ。
しかし、何かトラブルが起きることも匂わせているので、そこも含めて展開に期待する。
関連 【ネタバレあり】漫画「よふかしのうた」14巻の批評と感想。
関連 【ネタバレあり】漫画「よふかしのうた」13巻の批評と感想。
関連 【ネタバレあり】漫画「よふかしのうた」12巻の批評と感想。
関連 【ネタバレあり】漫画「よふかしのうた」11巻の批評と感想。
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