【ネタバレあり】漫画「よふかしのうた」13巻の批評と感想。

「週刊少年サンデー」で2019年から連載されている『よふかしのうた』はコトヤマさんによる漫画作品だ。
2022年6月の段階で電子版を含む累計発行部数は250万部を突破するほどの人気作で、アニメも絶賛放送中。
人間と吸血鬼の恋愛が描かれ、笑えるコメディーから複雑な人間模様のシリアスまで、とても奥行きのある作品となっている。

今回は13巻の批評と感想を紹介する。
12巻の巻末の次回予告で、キクとマヒルがマヒルの自宅に行くという展開が気になって仕方なかったが、今回その続きが読めるということでワクワクというよりかは怖いもの見たさで読み進めていた。
お気に入りキャラクター「ススキ」の出番が多かったのも個人的には嬉しいポイントだ。

実はコミカルキャラだった「ススキ」

12巻から登場した新キャラ「ススキ」。
謎の女吸血鬼で、同じく新キャラのアザミを倒してしまうなどの相当な実力の持ち主だ。
目代を狙っているため、夜守と対決することになるが、まさかの夜守の圧勝で終わる。
負けたことが悔しいススキは思わず泣き出してしまう。
ここが今までのシリアスな展開から一変、コミカルに表現されている。

先ほどまでは口数が少なく、冷静な印象だったススキだが、一気にコメディー感が増す。
悔しいと駄々をこねる姿はただの子どものようだ。

彼女の正体について、アザミは自警団かなにかだと推測していたが、ススキ曰く、吸血鬼の治安維持のために個人的に動いているだけだそうだ。
てっきり背後に巨大な組織があるかと思っていたので、少し意外だった。

自分を打ち負かした夜守に恋をしてしまい、彼のことを「ぴっぴ」と呼ぶなど、かなりの変わり者。
登場時の印象とはギャップがあり、そこにすっかりやられてしまった。
12巻からのお気に入りにキャラだったが、さらに好感度がアップしている。
今後も彼女の活躍を期待したい。

思わずページをめくる手が止まる。キクのマヒル家訪問。

キクがマヒルの両親に挨拶をしたいと言い出し、2人はマヒルの家へとやってくる。
何気ない言葉のはずなのに、キクが言うと意味深になるので不思議なものだ。
それと同時に嫌な予感もするため、キクが登場しているパートはどこかサスペンス的な雰囲気を感じる。

「た ただいま…」

マヒルが家の扉を開けた瞬間のコマで私の手は止まった。
次のページをめくるのが怖いのだ。
おそらくキクは何か企んでいる。
もしかしたらマヒルの母親は殺されているのではないかとか嫌な想像ばかりしてしまう。

意を決して、ページをめくっていくと、マヒルの母親は健在だった。
ただし、相変わらずマヒルには興味を示さない。
そんなマヒルの母に対してキクは「マヒル君を私にください」と言う。
「…マヒルがそれでいいと言っているなら」と返すマヒルの母親。

異様なやり取りが続き、話はマヒルの兄の話に。
キクはマヒルの母親が、息子が死んだことを受け入れたくなくて壊れたふりをしていたことを暴く。
マヒルの母親はマヒルに対して今までないがしろにしたことを謝罪するが、マヒルは心底どうでもいいと突っぱねる。
普通だったら、昔は嫌いだったが、今は好きだよと返すところだが、この作品はそんな甘い展開はない。
ぞっとするようなリアルさとシビアさが容赦なく描かれる。
改めて、良い意味で読者の展開を裏切ってくる恐ろしい作品だと感じる。

キクの思惑

今まで朧気だったキクの思惑が13巻にて明確になってきたので、整理したい。
キクは16世紀以前から生きているようで、様々な国をまたいでは眷属を増やし続けている。
そのため、眷属の数は他の吸血鬼に比べて異様に多い。

11巻の冒頭で見せた吸血したあとの悲しげな表情があったが、あれは「吸血鬼が惚れた人間の血を吸うとその人間が死ぬ」という噂が影響しているのではないかと考えられる。
血を吸った相手が眷属になってしまうということは、自分が相手を好きでなかったという証拠になってしまう。
そのため、悲しげな表情を見せたのだと推測される。

キクがマヒルに言った「普通に恋をしたいだけ」という言葉や夜守やアザミの推理を元に考えると、マヒルの死をもって自分の恋を証明しようとしていると思われる。

中盤、キクが夜守に言った「君の友達は私のために友達も家族も捨ててくれたのに」という高揚した様子で言った言葉がすべてを物語っているのかもしれない。
大切なものをすべて捨てて、自分を選んでくれたという事実に固執しているのだろう。

目代の父親にも同じことをしていたのかもしれないと思うと、改めてキクの行動の異様さにぞっとする。

長い時を生きているキクの行動原理の一部はわかったが、まだ全貌は見えていないような気がしてならない。
何かまだ明らかになっていないことがあると推測する。

深まる謎

ここまでも多くの謎はあったが、ここにきて気になる点がいくつか出てきたので紹介したい。

まず、一番気になるのが、夜守の強さの秘密だ。
半吸血鬼化という特殊な条件がこの強さを生み出しているのか?
それともナズナに血を吸われたことが影響しているのだろうか?
強いはずのススキを倒すほどの力を持っていたり、キクを驚かせるほどの透過能力が高かったりと吸血鬼としての能力全般が高いようだ。

次に気になったのはキクとナズナの関係だ。
キクがナズナとあったときの「七草さんの…」という言い方はひっかかる。
ナズナの母を知っているのかと勘ぐってしまう。
ナズナの母親も謎が多い人物だ。
キクと面識があっても不思議ではない。
ナズナの出生の秘密にキクが関わっていてもおかしくないだろう。
ナズナが自分の言葉遣いを正してくるキクに対して、カブラのような印象を受けているのも何かの伏線なのかもしれない。

キクがナズナと話したかったこととは一体何だったのかも気になるところだ。
それに加えて、キクはナズナの弱点を夜守に渡しているのも不思議だ。
これらの謎は徐々に明らかになっていくのだろう。

まとめ

今回もコメディーとシリアスのバランスが良くて非常に緩急のある巻だった。
夜守とキクとの戦闘シーンもあり、見ごたえも抜群だ。

マヒルの自宅訪問は、サスペンスやホラー映画のような印象があり、キクの異様さが際立っていた。
マヒルとマヒルの母親との決別も読んでいて複雑な思いにさせられる。

夜守とキクの対面は肝心なことが聞き出せずに時間切れと、キクの勝利で終わる。
ナズナの弱点や意味深なキクの言動など、謎は深まるばかりだ。

13巻では夜守の能力の高さ、ナズナとキクの関係性など謎が多くあり、読者をよりアヤシゲな魅力が詰まった『よふかしのうた』の世界に誘う。
14巻の発売を楽しみにしながら、13巻を読み返して考察を深めていきたい。

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