タッチという有名な漫画作品がありますが、、久々に一気読みして感動を味わいました。
和也が亡くなることや、「浅倉南を愛しています」という名シーンはもちろん覚えていましたが、再度読んでみると新たな気付きがありました。
この感動を忘れないように記しておきたいと思います。
タッチは二つの要素が主軸となっています。
一つは屈折した三角関係の話であり、もう一つは兄弟のコンプレックスを乗り越える物語です。
一般的に知名度のある名場面は三角関係に関わるものが多いですが、兄弟のコンプレックスについても描写が素晴らしいと感じました。
物語の中で、ヒロインの南ちゃんと双子の達也と和也の三角関係が描かれます。
中盤で和也が亡くなってしまい、その後は甲子園を競い合う新田がライバルとして立ち上がりますが、実はそれは見せかけでした。
和也が亡くなった後も三角関係が続いている様子が、物語を引き締める要素となっているように感じます。
タッチは全26巻とラブコメにしては長めですが、その長さが気にならないのは野球という別の要素が物語に組み込まれているからです。
南と達也がくっつくことなく進む関係性は、読者にストレスを感じさせずに物語を楽しむことができました。
特に達也の亡くなった和也に対する複雑な感情が、二人の関係の進展を後押ししているように感じました。
甲子園出場の夢を果たし、その後に達也が一時的に芸能人にモテる場面もあり、最終的に南に向けた「愛しています」というセリフが放たれるクライマックスは見事なものでした。
そしてもう一つの要素である兄弟のコンプレックスも、物語の中で一貫して描かれていました。
中盤に登場する柏葉英二郎の存在が物語に深みを与えています。
彼は達也が所属する学校の監督として登場し、元々優秀な兄に比べられて落ちこぼれた過去を持つOBであり、初めは悪意を持って野球部を指導していました。
しかし、徐々に選手たちからの信頼を得て、達也と南も彼の真意に気づきます。
その結果、監督代理を依頼されるほどに信頼を勝ち取り、達也のメンターとして野球への想いを叶える展開が美しく描かれていました。
以上のような感動を味わえるタッチは、ぜひ読んでいただきたい素晴らしい作品です。