スポーツ漫画の不朽の名作『SLAM DUNK(スラムダンク)』を振り返ってみましょう!
涙を誘う感動のストーリーで知られ、数々の名場面や感動的なセリフがあります。
特に山王戦だけでなく、他の試合でも素晴らしいシーンが盛り沢山です。
ただし、一部ネタバレを含むので、未読の方はご注意ください。
いまだ人気が衰えないスポーツ漫画の傑作
1990年代のジャンプ黄金期を築き上げた漫画、『SLAM DUNK(スラムダンク)』。
その人気はすでに広く知られており、スポーツ漫画の中でも特に有名です。
単行本(第21~23巻)の初版発行部数は当時の最高記録を塗り替え、累計発行部数も1億2000万部を超える大ヒットとなりました。
連載が終了してからもその人気は衰えず、海外でも高い評価を受け、今でも多くのファンが増え続けています。
当時の人々にとって、この漫画がきっかけでバスケットボールを始めた方も少なくなかったでしょう。
『SLAM DUNK(スラムダンク)』はバスケットボールの漫画として深く根付き、連載終了後も他のスポーツ漫画(特にバスケットボールを題材としたもの)が制作される際には必ずと言っていいほど比較される存在です。
そのため、本作品はスポーツ漫画界で重要な位置を占めており、未だにこの作品を超えるスポーツ漫画が存在しないという声も聞かれます。
特に1980年代~1990年代に生まれた世代にとっては、青春時代に読んだ忘れられない漫画として深く愛されています。
最終回から20年以上経った今でも、続編を期待するファンは多数存在し、時折連載再開の噂も広がっています。
そこで、もしかしたらの時のためにも、この作品の名言や名シーンを振り返ってみましょう!
陵南高校戦(練習試合)
『SLAM DUNK(スラムダンク)』の完全版1巻では、主人公の桜木が「フンフンディフェンス」を初めて試合で実践します。
この特殊なディフェンスを初めて試す場は陵南高校との練習試合でした。
前半は出番がなく、後半になってようやくケガをした赤木の代わりにコートに立つことになりました。
初めての試合で緊張のあまり、桜木はトラベリングなど初歩的なミスを連発してしまいます。
しかし、彼は自分の持つポテンシャルを信じ、自身のディフェンスを全力で発揮しました。
そのディフェンスによって相手チームに強烈なインパクトを与えたのです。
通常、犬猿の仲である桜木と流川はお互いにほぼパスを送り合うことはありません。
しかし、『スラムダンク』のラストゲーム・山王戦のクライマックスシーンでは、2人のパスが印象的に描かれています。
しかし、その前に、流川が勘違いから花道にパスを渡す場面もあります。
流川のパスによって、直後に桜木が見事なレイアップを決め、点数を逆転させる大興奮のシーンとなりました。
このパスのおかげで、桜木が湘北の主力として成長していく可能性が示唆される瞬間でもあります。
翔陽高校戦(インターハイ予選)
中学時代にはMVPを獲得するほどのスーパースターだった三井。
しかし、ブランクの影響で体力が相当に低下しており、試合の後半ではかなりバテてしまっていました。
そんな状態でも、精度の高い3Pシュートは健在です!
ゴールを決める前に入ることを確信し、自らの手をグッと上げる仕草は非常にカッコいい!
このポーズが、ミッチーの代名詞として知られています。
インターハイ予選の別の試合でも、桜木は5つのファウルを連発して退場の危機に直面しました。
そして翔陽戦でもファウルを犯し続け、残り1つで退場してしまう厳しい状況に立たされました。
そのプレッシャーの中で、桜木は思わず身を縮こませてしまいます。
そんなときに流川が立ち上がり、力強い言葉で檄を飛ばしました。
「らしくねーんじゃねーのか」
この一言によって、桜木のやる気が引き出され、本来の力を発揮するきっかけとなりました。
ゴールに頭をぶつけたり、相手選手の頭に叩きつけたりと、桜木はなかなかダンクを成功させることができませんでしたが、この試合でついにキレイなダンクを決めることに成功しました!
しかし、そのダンクにより5つのファウルを取られてしまい、退場となってしまいました。
もちろん、ダンクの得点も無効となりましたが、会場は大歓声に包まれ、周囲の人々は彼を称賛していました。
翔陽との壮絶な戦いの結果、激しい一戦で体力も気力も使い果たしたメインスタメンの赤木・三井・宮城・流川・桜木の5人はロッカールームで疲れ果てて爆睡していました。
流川を除く3人が赤木にもたれかかっている姿は微笑ましく、それぞれの個性が寝方にも表れています。
このイラストカットはポスターやグッズなどでも人気のある名シーンとして知られていますね。
海南大付属高校戦(インターハイ予選・決勝リーグ)
試合の前半、予期せぬケガを負った赤木。
左足首がひどく腫れてしまい、マネージャーの彩子が試合に出ずに精密検査をするよう説得しますが…。
「いいからテーピングだ!!」
3年生としての高校最後のインターハイのチャンス、1年の頃から夢見ていた海南との戦い、そんな想いが重なって、試合に出たいという気持ちを感情的にぶつける場面がありました。
シュート練習をしていたとはいえ、まだゴール下ではダンクかレイアップしかできない桜木は試合中でも海南選手に何度もシュートを阻まれてしまいます。
それでも後半終了間際、宮城の見事なプレーによってゴール下にいる桜木にボールが届きました!
フェイクを使って相手選手のディフェンスを抜き、見事にダンクを成功させる瞬間がありました。
スタミナ切れでベンチに下がっていた流川も思わず「ぶちかませ!!」と叫び、その光景は非常に印象的でした。
試合終了間際、逆転のチャンスが訪れましたが、花道のフリースローや三井の3Pシュートが残念ながら外れてしまいます。
しかし、花道は決死の覚悟でリバウンドを奪い取ります。
そして、その直後に赤木にパスを送り、得点を狙う場面が訪れましたが、思いもよらぬパスミスが起こってしまいました。
切羽詰まっていた場面での痛恨のミスでした。
試合が終了した後、自分のミスを責めて涙を流す桜木の頭を、赤木がしっかりとつかみました。
「インターハイ予選の決勝リーグはまだ終わっていない」という言葉をかける赤木の姿があります。
後ろから声をかけているにもかかわらず、花道の泣き顔を見ずに「泣くな」と言っているその光景に、見ているこちらも感動して涙がこぼれそうです…!
陵南高校戦(インターハイ予選・決勝リーグ)
安西先生の不在時、湘北バスケットボールチームの中核である赤木がしっかりとリーダーシップを発揮しなければならない状況で、彼らしくないプレーが続いていました。
そのため、チームメイトたちは心配になり、タイムアウトを要求します。
そんな緊張の中、桜木が思い切って赤木に向かって頭突きを行います。
「目ェ覚めただろうゴリ?」という桜木の無邪気な言葉が、赤木を目覚めさせるきっかけとなりました。
三井は試合中に体力不足で倒れてしまいます。
原因は水分不足による脳貧血でしたが、彼はもはや試合に復帰することはできない状態になります。
彼は裏でポカリを飲みながら、後悔の念を抱えて思わず涙を流します。
「なぜオレはあんなムダな時間を…」
三井の姿からは、彼がバスケットボールに対して深い愛情を抱いていることが伝わってきます。
あのブランクがなければ…と彼は自分自身の過ちを悔いています。
三井の負傷離脱により、途中出場したメガネくんこと小暮が土壇場で見事な3Pシュートを決めました!
この1つのシュートには、赤木と共に3年間頑張ってきた努力と情熱が込められていました。
相手校の田岡監督も
「あいつも3年間頑張ってきた男だ。侮ってはいけなかった」
と自らの戦術ミスを認め、湘北の勝利へと近づけたプレーに敬意を表します。
その後、桜木の
「メガネくん、引退がのびたな」
というセリフも感動的で心に響きます。
海南戦では自らのミスに悔しさを抱え、男泣きしていた桜木に、赤木が後ろから声をかけました。
しかしこの陵南戦では、試合が終わった直後にコートに立ち尽くしているのは赤木であり、桜木が彼に近づき、肩を組んで支えます。
「さあ、整列だ」
と桜木が声をかけると、
「おう」
と赤木は応えながら泣いています。
立場が逆転したこの感動的なシーンは、心に深く残ります。
豊玉高校戦(インターハイ)
「高校生のうちには到底 彼に追いつけないよ」
「彼のプレイをよく見て…盗めるだけ盗みなさい。そして彼の3倍練習する。そうしないと…」
と、理想のシュートを打つ流川に悔しさを覚えた桜木に対し、安西先生は冷静に助言します。
桜木への期待と共に、具体的な目標を示したことでしょう。
バスケットボールはゴールとの距離感が重要なスポーツであり、片目が見えない状態ではシュートが非常に難しいとされています。
しかし、流川は自分の目を頼るのではなく、体の感覚を信じています。
片目が見えない状態でも彼は美しいシュートを決めることができるので、周囲から驚きを持って見られています。
「何百万本もうってきたシュートだ」
と彼は軽く語りますが、それが湘北のエースである流川らしい余裕のある態度です。
山王高校戦(インターハイ)
強豪校・山王との試合が始まり、安西先生が桜木と宮城に特別な奇襲作戦を伝えました。
2人は独特な表情で合図をし合い、読者も興奮しながら次の展開を迎えます。
そして、その作戦とは意外なアリウーププレー!
誰もが驚きのシーンに目を見張りました。
後半に入り、山王の執拗な守りに対処できない湘北に、安西先生が攻撃の作戦をチームに伝えます。
その中で、ポイントガードの宮城はボール運びの「切り込み隊長」として期待を寄せられます。
宮城はその重要な役割に対して責任を感じながらも、どうすればよいか悩んでいます。
そんな時、宮城の心情を察した彩子が彼に近づき、手のひらにメッセージを書きました!
「NO.1ガード」
宮城への想いが込められたそのメッセージに、ニヤニヤせずにはいられません。
「晴子……お前が見つけてきた変な男は…」
かつてバスケット素人でワガママな問題児だった桜木には、赤木は手を焼いてきました。
しかし、山王戦で彼が主力として試合の流れを作る存在に成長していることを実感し、
「湘北に必要な男になったぞ……」
と赤木は心の中でつぶやきます。
その瞬間、赤木は桜木が湘北にとってなくてはならない存在になったことを認めたのです。
1対1の勝負で山王・沢北に苦戦していた流川。
しかし、仲間へのパス回しを相手に見せることによって、今度は沢北を抜くことに成功します!
ところが、沢北を抜いた直後に流川は進行方向にいた桜木と正面衝突してしまいます。
せっかくのチャンスが台無しになり、自分に非があることを認め落ち込む桜木でしたが、
「おめーのヘマはもともと計算に入れてる……つっただろ、ど素人」
と流川なりの挑発とフォローを入れます。
なんて珍しいやりとり!
しかし、桜木はその言葉に怒りを覚えています。
不器用な2人ならではの交流です。
スタミナ不足が三井の一番の課題であり、予想通り山王戦の途中で彼はフラフラになってしまいます。
相手選手たちにも「あいつはもう限界だ」と思わせるほど、苦しそうな表情を浮かべていました。
しかし、その直後に流川からのパスを受けた三井は、美しい弧を描く3Pシュートを放ち、見事に得点を決めます。
ゴールネットを揺らす音を聞いて、
「静かにしろい この音が……オレを甦らせる。何度でもよ」
と彼は語ります。
この言葉から、三井がどれほどの精神力でプレーしているのかが伝わってきます。
「左手は添えるだけ」
試合終了まで数秒、クライマックスのシーンが訪れます。
流川が初めて桜木のプレーを信頼し、パスを渡す瞬間がこの場面です。
桜木が狙っていたのは特訓で一番成功率の高かった右45度のシュート。
残り数秒の試合展開は、セリフがなくイラストだけで描かれているので、非常に感情的な演出となっています。
一度読み始めると、ラストまで目が離せないことでしょう。
誰もが知る『スラムダンク』の最も印象的なシーンといえば、この場面でしょう!
以前はわずかな接触でも「手が腐る!」と騒ぎ、手をゴシゴシ拭いたりするほど険悪だった2人が、初めて喜びを共有した瞬間です。
しかし、すぐに我に返り、お互いを無視する姿も見せます。
それでも、彼らの歩みを読み続けてきた読者にとっては究極の感動シーンとなります。
この場面は通常版ではなく完全版で見開きカラーで描かれており、その迫力と熱気に思わず鳥肌が立つことでしょう!
ぜひ、このシーンを自分の目で確かめてみてください。
その他の名言・名台詞
男同士のプライドがぶつかり合う競技の世界では、名言が数多く生まれるのは理解できることでしょう。
しかし、『SLAM DUNK』には試合中だけでなく、作中のさまざまな場面で名セリフや名言があふれています。
これらの言葉は漫画の枠を超えて、読者の人生のさまざまな場面で勇気づけられること間違いありません。
多くの人が様々な苦境を乗り越える際に、『SLAM DUNK』の名シーンや名言に励まされたことでしょう。
ここでは全ての名言を紹介しきれませんが、特にインパクトが強いものや多くの人が共感できるものをいくつか挙げてみます。
何人たりともオレの眠りを妨げる奴は許さん
流川 楓
バスケットボールの時間以外は、寝ることが多い男・流川楓。
彼が最初に登場した際も、屋上で寝ているところを起こされ、このセリフを口にしていました。
寝ることへの執着心は本当に強いですね…!
リバウンドを制する者は試合を制する
赤木 剛憲
赤木の特訓とこの言葉が、桜木のリバウンド力を高めるきっかけとなりました。
このセリフによって、とにかくたくさんの得点を決めた方が試合に有利になる、という考え方が覆された人も多いのではないでしょうか。
あきらめたらそこで試合終了だよ
安西 光義
言葉はいらない!
『スラムダンク』の名言といえば、このフレーズを思い出すファンがほとんどでしょう。
誰でも、どんな状況でも、この言葉には勇気づけられることでしょう。
バスケがしたいです……
三井 寿
暴力事件を起こした直後に、泣きながら心の叫びを訴えた三井の名言。
彼のくしゃくしゃな泣き顔と共に、この言葉も多くの人の心に深く刻まれています。
骨が折れてもいい…歩けなくなってもいい…!!
赤木 剛憲
やっとつかんだチャンスなんだ…!!
名シーンでも紹介された「いいからテーピングだ!!」の直後に漏らした名セリフ。
海南戦でケガをしてしまった赤木の強い想いが感じられた瞬間です。
とりあえず…君は日本一の高校生になりなさい。
安西 光義
もっとバスケの実力を高めたい一心で、アメリカ行きを安西先生に相談する流川。
しかし、反対された直後に言われたこの言葉は重みがあります…!
お前のためにチームがあるんじゃねぇ。チームの為にお前がいるんだ!!
安西 光義
またまた、安西先生の名言。
彼がかつての教え子にかけた言葉ですが、チームプレイが大切なスポーツをしている人なら、誰もが心に響く発言なのではないでしょうか。
大好きです。今度は嘘じゃないっす
桜木 花道
試合中にケガを負い、意識が朦朧とする中、桜木は自分のバスケットボール人生を振り返ります。
バスケを始めるきっかけになった晴子の「バスケットはお好きですか?」という言葉が頭に浮かび、彼は思わずその言葉を口にしますが…。
一瞬、誰もが告白かと思ったことでしょう。
まとめ
『SLAM DUNK(スラムダンク)』の名シーンや名言、いかがでしたか?
過去に漫画やアニメを見たことがある方であっても、「そうそう、こんなシーンがあった!」と思い出し、再び読み返したくなることでしょう。
この漫画は少年誌で連載されていたものですが、男女年齢を問わず幅広い層の方々が夢中になるほどの魅力を持っています。
主人公の成長や仲間との熱いストーリー、物語を盛り上げる個性豊かなキャラクター。
魅力を数えればキリがないですが、チームスポーツをする方はもちろん、そうでない方でも共感できるシーンが多いと思います。
限界を超えて努力する姿や、信念を持ってまっすぐ突き進む姿は格好良いですよね。
作中に登場する数々の名言は、自分が悩んでいる時や行き詰まった時に背中を押してくれることでしょう。
今も色あせない名作『SLAM DUNK(スラムダンク)』。
涙なしでは読めない感動的なシーンも、思わず吹き出してしまうようなユーモアあふれるシーンも、絶妙にミックスされていて、気が付けば寝る間も惜しんで一気に読んでしまうこともあるでしょう。
まだ読んだことがない方、また一から読み直したいという方は、ぜひ全巻セットを手に取ることをおすすめします!