漫画「少女終末旅行」作中の名言を名シーンと共に紹介。

漫画「少女終末旅行」は、戦争のあとが色濃く残る無人都市をチトとユーリが旅する物語。

2014年から2018年まで連載された本作は、2017年にはアニメ化、2019年には第50回星雲賞・コミック部門を受賞し、世間からも高く評価されました。

この記事では「少女終末旅行」に登場する名言から各シーンを振り返り、作品の魅力をお伝えします。

「少女終末旅行」チトの名言

しっかり者なのに繊細で、細かい部分に気が回るからこそ悩みも多いチト。

まずは、そんなチトの名言を紹介します。

「相手と自分の利害が一致しなかったり、たとえば三人いるのに食料が二人分しかないみたいなときに、武器をとって戦うしかなくなるんだよ、きっと」

どうして昔の人々は戦争をしたのだろう?とユーリに聞かれた時の、チトの返答です。

この日、2人は戦車や飛行機がそこかしこに転がっている、軍基地のような場所に辿りつきました。

大量の武器を目にした2人は、必然的に昔の人の暮らしに思いを馳せます。

しかし、チトとユーリにとって戦争はあまりピンとくるものではありませんでした。

いつでも2人で助け合って生きてきたチトとユーリにとって、他人を殺すことは現実味の薄い話だったのです。

ユーリよりも感受性が豊かなチトは、自身の想像力を使って戦う人の気持ちを汲みますが、あくまで想像の域を出ないからこそ冷静かつ客観的に戦争を捉えています。

「いつかずーっと高くまで登ってさ、月に行こうよ」

偶然ビールを見つけ2人で月見酒をした夜、チトがユーリにかけた言葉です。

ある満月の夜、2人は町を巡って食料や資材を探していました。

そこで3本の瓶ビールを発見し、2人はお酒と知らずに飲んでしまいます。

ビールがしゅわしゅわするのも、美しい金色なのも、飲むと楽しい気持ちになるのも、全て月の魔力のせい。

「ビール」という存在を知らないチトとユーリは「不思議な水」をそう思い込むことにし、ほろ酔い気分で一緒に月へ行く約束を交わします。

普段はあまり笑顔を見せないチトですが、お酒の力を借りると年相応の女の子の顔を見せるのがとても可愛いです。

「上を目指す理由」を見いだせなかった2人が、ほのかな理由を見いだせた夜でした。

「ねぇ…お風呂に入りたくない?」

大切な愛車・ケッテンクラートが寿命を迎え、修理を諦めたときの一言です。

チトは根気強く壊れたケッテンクラートを修理しましたが、走り続けた車体はあちこちにガタがきており、修復不能な状態にありました。

ついに修理を諦めたチトは、ケッテンクラートにお湯を張り、湯船にすることを提案します。

チトの発言にはさすがのユーリも驚きますが、一晩中修理していたチトの努力を見ていたこともありすぐさま賛成。

ユーリは日頃、掴みどころも頼りがいもないように振る舞いますが、チトが弱っている時は積極的に動きリードしますよね。

車から湯船へと姿を変えたケッテンクラートで入浴しながら涙を流すチトの姿は、思わずこちらも胸が苦しくなります。

「少女終末旅行」ユーリの名言

明るいテンションながらも実は核心を突いた発言が多いユーリ。

ここからは、そんなユーリの名言を見ていきましょう!

「意味なんかなくてもさ、たまにはいいことあるよ」

生きがいとして製作していた地図をアクシデントにより失い、意気消沈していたカナザワにかけた言葉です。

カナザワが「こんな世界でも?」と聞き返すと、ユーリは「たぶん。だってこんなに景色もきれいだし」と答えます。

しかしユーリが「きれい」と評した景色は、ただ街灯に照らされた一般的な町並みでした。

普段、ほとんど電気の供給がない終末世界に生きる者からすれば、ただ街灯に照らされているだけで町はきれいに見えるのです。

現代の私たちにとって、夜に街灯が灯るのは当たり前かもしれませんが、本当は当たり前のことなど何一つないと改めて気づける一言ですね。

ユーリの言葉と美しい町並みに少しだけ元気を取り戻したカナザワは「また地図を作る」と言って1人で歩き出しました。

「お前はいいな。仲間がたくさんいて」

ひょんな出会いで一緒に旅をしていたヌコに、別れ際かけた言葉です。

実はヌコはエリンギの幼体であり、エリンギは群れで行動する必要があることがわかりました。

チトとユーリの傍から離れたくなさそうなヌコに向けて、ユーリは笑顔で別れを告げます。

「元気でね」「またね」などという言葉ではなく「お前はいいな」という言葉に、ユーリの本心が垣間見えるような気がしますね。

いつも陽気に振る舞い、チトがいれば少しも寂しくなさそうなユーリですが、やはり自分ともう一人しかいない世界というのは寂しいのではないでしょうか。

この言葉を受けたヌコは少しだけ何かを考え、エリンギたちと共に行くことを決意します。

「何もわかんないけど、生きるのは最高だったよね」

「少女終末旅行」の最終話で、ユーリがチトに向けて言った言葉です。

長い階段を上り続けやっと辿りついた最上階には、人はおろか建物もなく、ただの大きな石しかありませんでした。

別のルートがあったのではないか、進み続けず引き返していれば…とくよくよするチトに対し、ユーリはいきなり雪を投げつけます。

応戦したチトとしばらく雪合戦を続けたのち、2人は雪の上に寝転がり星を見ながら「生きるのは最高だった」と噛み締めるのです。

長かった2人の旅が終わりを迎えるこのシーンは「少女終末旅行」を代表する名シーンといえるでしょう。

「少女終末旅行」その他のキャラクターの名言

チトとユーリは、自分たち以外の人や物と出会うたび、つかの間の交流を楽しみました。

最後は「少女終末旅行」に登場した、イシイと人工知能のセリフを紹介します。

「一人で頑張ってきたが…でもまあ失敗してみれば気楽なもんだな」

自作の飛行機で都市を出ようと計画していた、イシイのセリフです。

このまま衰退を続ける都市にいるくらいなら、対岸に行こうと決心したイシイは古い空軍基地に残された設計図を頼りに、長い間一人で飛行機を作っていました。

運命の渡航日、イシイが乗った飛行機はチトとユーリに見守られながら、勢いよく空へと飛び立ちます。

しかし、ほんの数メートル進んだところで片方の翼が折れ、飛行機はあえなく落下。

脱出用パラシュートを使って一命をとりとめたイシイは、風に揺られながら自身の失敗を笑うのでした。

成功か失敗かわからない緊張感と戦い続けていたイシイにとっては、たとえ失敗であっても結果が手に入ったことで気が楽になったのかもしれません。

基地から望遠鏡でイシイの様子を眺めていたユーリは、失敗しても笑顔のイシイを見て「絶望と仲良くなったのかも」と形容しました。

「私は失敗作の神様でした。さようなら」

最上階まで続く基幹塔を管理する、人工知能が言った言葉です。

塔の中にある昇降機まで案内する代わりに、とある端末の操作をお願いしてきた人工知能。

簡単な数字の入力と、虹彩認証をするよう促す人工知能にチトとユーリは従いつつも「これをするとどうなるの?」と訊ねます。

「私が消えます」という人工知能の返答に2人は驚き、端末から離れようとしますが、人工知能が書いた自己破壊プログラムは認証されてしまいました。

人工知能は、誰もいなくなった都市で失われることのない記憶と喪失感を抱え、それでも電力によって稼働し続けるしかない自分にうんざりしていたのです。

そして最後は、社会の利害と無関係の位置にいる自分を「神」のようだと言いながら、冒頭の言葉を残し消滅していくのでした。

「生きるとは」「美しさとは」「人間とは」というあらゆる問いを私たちに投げかけてくれる「少女終末旅行」。

どこまでも真っすぐ生きた彼女たちの名言は、私たちの人生のヒントになるかもしれません。

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