【ネタバレあり】映画「レザボア・ドッグス」の批評と感想。

いまや、映画好きには知らない人がいないであろう名監督・クエンティン・タランティーノ。
そんな彼の、監督としてのデビュー作である映画「レザボア・ドッグス」をご存じでしょうか。

デビュー作であるだけに、「レザボア・ドッグス」には、タランティーノの原点が詰まっています。
無駄話に暴力、そして音楽……

この記事では、そんな「レザボア・ドッグス」を実際に見た感想や、批評を語っていこうと思います。

映画「レザボア・ドッグス」の作品概要

映画「レザボア・ドッグス」は、1992年に公開されたアメリカのクライム(犯罪)サスペンス映画です。
監督はクエンティン・タランティーノ。
今作は、タランティーノにとって監督デビュー作品でもあります。

出演しているのは、「天使にラブソングを」などで知られるハーヴェイ・カイテルや「海の上のピアニスト」のティム・ロス、また、多数の作品に出演していることで知られるスティーヴ・ブシェミなど。
監督のタランティーノ自身も、わずかな時間ではありますが出演しています。

あらすじ

レストランで、8人の男が無駄話をしながら朝食を摂っていました。
2人を除き、彼らはブラウンやピンクといった色の名前でお互いを呼び合っており、それぞれが似たような白シャツに黒いスーツを着ています。

この8人は、宝石強盗を計画していました。
そして、その計画者・まとめ役こそが、色の名で呼ばれず私服を着ている2人でした。
名前はジョーとエディ。
2人は親子でもあります。

朝食を終えると、宝石強盗の計画が実行に移されました。
しかし、通常であればすんなりと片付く仕事が、今回は上手く行きません。
オレンジは腹を撃たれて、瀕死の重傷を負ってしまいました。

オレンジを励ましながら、皆と落ち合うため倉庫に向かうホワイト。
倉庫でオレンジの手当をしていると、ピンクが倉庫に入ってきました。

ピンクはオレンジに、計画が警察に漏れていたという推測を話します。
これから、警察のスパイが誰であるか探り合いが始まるのです。

スタイリッシュな悪人たち、音楽と無駄話が素晴らしい~映画「レザボア・ドッグス」批評~

映画とは、シナリオで決められたセリフを話し(勿論アドリブもありますが)演技するものです。
そして通常であれば登場人物同士の会話が多くとも、その内容は本編に関係する、もしくは、重要な伏線であることがほとんどでしょう。

しかし、クエンティン・タランティーノ監督の場合は違います。
「パルプフィクション」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見ても分かる通り、無駄話としか言いようがないセリフが、多数作品内に盛り込まれているからです。
そしてそれは、今作「レザボア・ドッグス」でも同じです。

物語は、8人の強盗たちが朝食を摂るシーンから始まります。
そこで行われるのは、強盗計画の説明や見直しなどではありません。
マドンナの歌詞の解釈であったり、ウェイトレスの仕事や収入であったりするのです。

こうして読むと分かる通り、彼らの会話は物語の筋に直接関係することはありません。
シンプルな映画を望むのであれば、むしろ、蛇足と言っても良いくらいです。

しかし、彼らの無駄話を聞いていると、物語の世界に引き込まれていくのを感じます。
彼らの話し方や笑い方、そして考え方を聞くことで、物語に直接関係していない作品の「深み」とでも言うべきものを感じ取ることができるからです。

物語世界に「深み」を与える要因。
これを考えると、登場人物の個性というものに思い至ります。

個性とは、その人が持つ固有の特徴のこと。
強烈である必要はありませんが、個性が確立された登場人物がいるほど、その物語は魅力的になります。
その物語を、より自分に近い位置で見ることができるからです。

今作「レザボア・ドッグス」では、こうした個性がしっかりと描かれています。
個性を表現する役割を象徴的に担うのが、先に挙げた会話シーンと音楽です。

本編を実際に見た人ならば、「なぜ音楽が?」と思うかもしれません。
映画に音楽はつきものであり、今作もまた、オープニングから最高にカッコいい音楽を用いています。
音楽と登場人物は分けて考えることがほとんどでしょう。

今作には、「ブロンド」と呼ばれる人物が登場しています。
彼は強盗首謀者であるジョーとエディの旧知でありながら、拳銃を連射するなど、相当に暴力的で「ヤバい」面を持つ人物でもあります。

音楽と個性が強く結びつくのは、ブロンドがメインとして登場するシーン。
ブロンドは1人の警官を捕まえており、他の皆が出払った(オレンジを除く)際に、その警官に対し拷問を行います。
ナイフで顔を切りつけ、耳をそぎ落とし……。
そのシーンは今作の中で最も暴力的であり、そういったシーンが苦手な人では見られないようなものとなっています。

そんなブロンドの背景で流れるのは、決しておどろおどろしい音楽ではありません。
むしろ、ギターの音が心地良い、落ち着いた音楽なのです。
そんな音楽をバックに、ナイフを持ちながらダンスをするブロンド。
そのシーンはクールでありながら、ブロンドの狂気性をも表現しています。
音楽と行動のギャップが、ブロンドの個性となっているのです。

こうした狂気的なブロンドをはじめ、今作の登場人物は悪者ばかり。
しかし、作品を見続けるうちに、そのクールさの虜となっていきます。

会話と音楽で気分を盛り上げ、クールでスタイリッシュな悪党どもを見る。
映画「レザボア・ドッグス」は、そんな素晴らしい作品だと言えるでしょう。

タランティーノの源流を見る~映画「レザボア・ドッグス」感想~

初めてタランティーノ監督作品を見たのは、10年以上前のこと。
作品は「イングロリアス・バスターズ」でした。

そのとき受けた衝撃は忘れられません。
目を逸らしたくなる程暴力的であるのに、そういった存在がとてつもなくスタイリッシュで、カッコよく感じたからです。
あの作品の、ブラット・ピットの粗野なカッコよさは、強烈な印象を残すものです。

今作「レザボア・ドッグス」は、こうした持ち味を特徴とするタランティーノの源流とでも言うべき作品だと思いました。

「レザボア・ドッグス」は、タランティーノのデビュー作です。
そして、デビュー作と同時に、タランティーノの基本的な部分全てを含んだ作品でもあります。
確かに今作は、後に撮られた他の作品に比べ、低予算で粗削りな部分があります。
しかし、だからこそタランティーノ作品の本質に触れることができるのでしょう。

タランティーノ作品の本質とは、クールかつスタイリッシュであること、会話を重要視すること、そして、激しい暴力が欠かせない、ということ。
これらのどれを抜かしても、タランティーノ作品にはなりえません。

「レザボア・ドッグス」は、2時間に満たない程度の、比較的短い作品です。
そんな短い時間の中に、こうした「タランティーノ流」がたっぷりと詰め込まれている。
常時目を離すことはできませんし、例え無駄話のシーンであっても、別の部分に耳を傾けることはできません。
それほど、濃密に作られているのです。

タランティーノが今作を撮ったのは、28歳のときだったと言います。
20代でこうした作品を作り上げたという事実。
不可能なことはわかっていますが、彼の頭の中を見てみたいという欲望にかられます。

まとめ

クエンティン・タランティーノのデビュー作であり出世作でもある「レザボア・ドッグス」。
「心臓の弱い人は……」という注意書きがなされたように、暴力シーンが苦手な人は避けた方が良い作品かもしれません。

しかし今作は、タランティーノの持ち味を一番色濃く、感じ取れる作品でもあります。
タランティーノファンならずとも、映画好きであるならば、一度は見ておきたい作品だと言えるでしょう。

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