根強い人気がある「おおかみこどもの雨と雪」。
どんな物語なのか知っていますか。
「気になっているけど、自分に合っているか心配」
「全体のあらすじを知りたい」
そんな人のために、「おおかみこどもの雨と雪」のあらすじや魅力を分かりやすく紹介します。
読むだけで「おおかみこどもの雨と雪」について詳しくなれるはず。
「おおかみこどもの雨と雪」の世界観を、知っていきましょう。
「おおかみこどもの雨と雪」ってどんな物語?
花の娘「雪」の語りから、物語は始まる。
「花」は東京の大学に通う女性。
苦学生で、奨学金とバイトで得た収入を頼りに生活していた。
ある日、花が講義を受けていると、真剣にノートを取る「彼」に目が留まる。
花は男性を追いかけ、「教科書を一緒に見ませんか」と彼に話しかけるのだった。
大学での出会いをきっかけに、心を通わせるようになる2人。
次第に強い絆で結ばれるようになる。
彼「ただいまって言える家が欲しい。」
花「私がおかえりって言ってあげる。」
しかし彼は花に対して、重大な秘密を隠していた。
何と彼の正体はおおかみだったのだ。
彼がおおかみであるのを知っても花の気持ちは変わることなく結ばれ、娘の「雪」次に息子の「雨」が生まれる。
質素ながらも幸せに暮らす親子。
ある日、彼が帰ってこなくなる。
彼を探しに行こうとすると、アパートの扉の前に食べ物と免許証が入ったレジ袋があるのを発見。
子供たちを連れて彼を探しに行った花は、「おおかみの姿となって、川で死んでいる彼」を見つける。
東京での子育てに限界を感じ、田舎に移り住む母と子2人。
周囲の人々に支えられながら、子供たちはすくすくと育っていく。
そして嵐の日、親子はそれぞれに重大な決意をするのだった。
「おおかみこどもの雨と雪」の3つの魅力
親の恋愛模様が丁寧に描かれている
「おおかみこどもの雨と雪」の大きな魅力と言えるのが、親の恋愛模様がしっかりと描かれている点です。
親が出会い恋愛に至るまでの過程が描写され、感情移入しやすくなっています。
「親は最初から親ではない」
「独身時代がある」
当たり前だけど、普段は考えることが無いことを教えてくれます。
映像からリアルがにじみ出ている
「おおかみこどもの雨と雪」では、生活感が見事に表現されています。
たとえば学生の花がスーパーで買い物をする際に、すぐに商品を買おうとせずに悩む様子。
串焼きを普通のコップに入れたたれにつけて食べる様子も、リアルを感じました。
花は苦学生です。
「何も考えずに好きなものを買う」といったことはできません。
そのため夕飯に使う食材1つ買うのも、花にとっては真剣勝負です。
串焼きにつけるたれを入れるために、専用の器を購入するお金も無いはず。
身近にあるコップを串焼きのたれを入れる器として利用するのは、自然な行動といえるでしょう。
また花が暮らすアパートの様子を見ると、壁が傷だらけです。
恐らく家賃が格安のアパートに住んでいると思われます。
背景を見るだけで、人物たちが置かれている状況が分かるのが本作品のすごいところです。
シングルマザーの現実を丁寧に描いている
「おおかみこどもの雨と雪」に登場する雪と雨は、シングルマザーとなった花にとって生きがいであると同時に大きなリスクをもたらす存在でもあります。
雪と雨によるいたずらや夜泣きによって、花はいつでもてんてこ舞い。
花がどんなに注意してもおおかみの姿になったり、部屋を汚したりします。
おおかみの姿になって遠吠えすることも。
そのため花は近所の人たちに叱責される日々を送っています。
雪と雨の中には父親であるおおかみの血が入っているため、2人が病気になっても花が自分で解決するしかありません。
挙句の果てに子供を虐待していると疑いをかけられ、花は東京を離れ田舎に引っ越すことになります。
花にも東京で成し遂げたい夢や目標はあったはず。
子供を1人で育てることになって、花の人生計画は大きく狂ったと考えられます。
それでも花は子供を中心に生きる道を選び、子育てに邁進していくのです。
「おおかみこどもの雨と雪」に登場する主なキャラクター
「おおかみこどもの雨と雪」の人気が高い大きな理由と言えるのが、魅力的なキャラクターの存在です。
「ストーリーは大切だけど、キャラクターに魅力が無いとつまらない」と考える人も多いはず。
「おおかみこどもの雨と雪」に登場するキャラクターの魅力を知ってください。
花(宮崎あおい)
彼と出会ったことで、良くも悪くも人生が変わった女性。
大学の講義で明らかにほかの人たちと雰囲気の異なる彼と出会い、強い興味を抱く。
花が彼に興味を抱いたのは、彼がおおかみだと本能で感じ取っていたのか?
それとも一目ぼれだったのか?
本作品では、花が彼を好きになった明確な理由が語られることは無い。
父親は亡くなり、誰にも頼れない状況にある。
花の名前の由来は、生まれたときに裏庭にコスモスの花が咲いていたから。
花は父からの教えを守り、いつでも笑顔でいることを心がけている。
彼(大沢たかお)
100年前に滅んだとされるおおかみの末裔。
人間に引き取られ、自分がおおかみであるのを世間に隠し孤独に生きてきた。
花に出会ったことで孤独から解放され、「ただいま」「おかえり」を言い合える家庭を手に入れた。
雪(幼年期:大野百花)(少女期:黒木華)
活発でお転婆な女の子。
外の世界への興味が強く、小学校に通ってからはすぐに友達ができる。
多くの葛藤がありながらも、人間の世界で生きる決意をする。
雨(幼年期:加部亜門)(少年期:西井幸人)
内向的で繊細な心を持った少年。
幼年期は夜泣きがひどく、すぐに母親に甘える少年だった。
山の主との出会いや葛藤を経て、新たな山の主になりおおかみとして生きる道を選ぶ。
彼がアパートに帰らなかった・死んだ原因
彼が花・子供たちと暮らすアパートに帰らなかったのは、花や子供たちのために狩りに出ていたと考えられます。(死んだ彼の周りに、野鳥の羽が浮かんでいた)
彼が死んだ原因として考えられるのは、主に4つ。
公開当時、彼の死因をめぐり多くの議論が飛び交った。
「最後まで謎を残す」細田守 監督らしい演出だ。
それぞれの自立を描いた作品
「おおかみこどもの雨と雪」は単なる家族ものではなく、それぞれの自立を描いた作品です。
母親の花は子供に対するある種の執着ともいえる感情を、子供たちを送り出すことによって手放します。
子供たちも今までのように母親に頼るだけの人生を手放し、自分で考え望んだ道へと進んでいくのです。
親と子、それぞれの自立を丁寧かつ優しく描き出した見応えのある作品。
山や畑の作画が美しく、何度見ても飽きません。
「おおかみこどもの雨と雪」にちょっとでも興味を感じたら、ぜひ観てみてください。