「犬夜叉シリーズ」の続編である「半妖の夜叉姫」のアニメ第二期が決定しました。
これから「半妖の夜叉姫」を楽しむためにも、今一度「犬夜叉」について振り返っていきたいと思います。
今回は漫画「犬夜叉」の最終回、そして特別編である「あれから」の感想を述べつつ、考察していきましょう。
四魂の玉とかごめの関係性
「犬夜叉」という作品は、ものすごく乱暴に言ってしまうと四魂の玉に振り回される物語です。
実際に、四魂の玉の存在によって円満に結ばれるはずだった犬夜叉と桔梗が引き裂かれ、奈落という悲しきモンスターが生まれてしまったわけです。
その因縁が巡りにめぐって、桔梗の生まれ変わりであるかごめも四魂の玉に振り回されることになります。
印象的なのが最終回では、かごめが四魂の玉に取り込まれてしまっているという部分です。
もともと四魂の玉というのはかごめの体の中にあったものです。
かごめの体の中から出てきて散々多くのものを振り回してきて、最終的にはかごめを取り込んでいるわけです。
これだけでも四魂の玉がかごめを恐れているというのがよくわかります。
それはかごめが「唯一の正しい願い」を知っていたからなのでしょう。
四魂の玉にとって自分の存在を脅かす可能性のある人間、それがかごめだったのです。
このように考えていくと、犬夜叉一行は奈落を追いかけていましたが、それと同時に奈落の中にあった四魂の玉もずっとかごめに追われていたことがわかります。
四魂の玉と人々の欲
四魂の玉と人々の欲というのは、切っても切り離せないものです。
「犬夜叉」の最終回でもそれが浮き彫りになりました。
四魂の玉はかごめに対して、「現実世界に戻りたいならそう願え。さもないとお前は闇の中にたったひとりだぞ」と悪魔のように囁きます。
かごめはかごめで、玉が浄化され、この世から消え去る「唯一の正しい願い」が何なのかを理解します。
ただ、理解できてもそれを願ったとして自分はどうなるのかという恐怖が出てくるわけです。
言ってしまえば、「自分がどうなるかわからないまま世界を救うのか」「この世界がどうなるかわからないけど自分だけを救うのか」というふたつの選択肢を突き付けられている状態です。
ここでしっかりと悩むのがある意味では人間らしいなと思います。
殺生丸の変化
「犬夜叉」最終回と特別編の「あれから」で共通しているのが、やはり殺生丸の変化です。
犬夜叉の兄という属性に加えて、圧倒的な美形です。
多くの女性の心を鷲掴みにしました。
もともとは冷徹な性格だったのですが、りんとの出会いをきっかけに柔らかく、優しく変わっていきます。
最終回でもりんのためにあれこれと持ってくる殺生丸が描かれており、そのギャップにやられた方は多いでしょう。
かごめから「お義兄さん」と呼ばれて、嫌そうな表情を浮かべるのもぐっと来ます。
殺生丸だからこそ、こういった人間味が出てくるのがいいわけです。
特別編の「あれから」でもしれっとりんを守っており、口には出さない優しさといったものに心が揺さぶられます。
「助けに行くぞー!」「俺が守ってやんぞー!」とガツガツするわけではなく、優しさですらもスマートで美しい……まさに殺生丸様です。
言葉にせず基本的には行動で示し、本当に大事なところで最低限の言葉を添える……最高としか言いようがありません。
世の男性は殺生丸様を見習ったほうがいいかもしれません。
制服から巫女の姿へと変わったかごめ
「犬夜叉」では犬夜叉とかごめのツーショットの描写が圧倒的に多いのですが、そのほとんどでかごめは制服を着ています。
当たり前と言えば当たり前なのですが、制服姿のかごめというのが「犬夜叉」という作品ではひとつのシンボルになっていました。
あくまでも別の時代を生きている人間が一時的にタイムスリップしているだけだということをアピールしているとも言えます。
ただ、最終回と特別編「あれから」ではかごめは制服ではなく、巫女の姿に変わっています。
実際にかごめが現実世界ではなく、犬夜叉のいる時代で共に生きたいという覚悟を決めているわけです。
このように考えていくと、それまでずっと制服だったかごめが巫女の姿で犬夜叉と一緒に景色を眺めているシーンを見ると「ああ、本当に終わったんだな」と思わされます。
犬夜叉とかごめのちょっとした掛け合いなどは昔とそう変わらないのに、そこにいるかごめの覚悟は確実に変わっています。
遠距離恋愛をしていた相手と結婚して、結婚にあたって相手のところに引っ越すという単純な話ではなく、かごめの場合には後戻りができないのです。
かごめの強さと犬夜叉への愛情には脱帽です。