漫画「鋼の錬金術師」を知らない方はいないでしょう。
2001年から連載がスタートし、2010年に完結した作品ですが、今年2021年で20周年を迎えます。
連載終了後もアニメから映画までその熱が冷めることはありません。
今回はそんな漫画「鋼の錬金術師」より作中の名言を名シーンと共にご紹介していきたいと思います。
「『ありえない』なんて事はありえない」
エドワードの弟であるアルフォンスは、ホムンクルスのグリードに拉致監禁されてしまいます。
このエピソードでは本当に名言&名シーンが盛りだくさんなのですが、今回はその中からあえてグリードの「『ありえない』なんて事はありえない」をピックアップしたいと思います。
鎧に魂を定着させているアルの存在自体も冷静に考えるとあり得ないのですが、そのアルから見てもホムンクルスやキメラの存在はあり得ないものでした。
アルの中での常識が崩れ去るのと同時に、アルの視野が広がり、成長するシーンでもあります。
「『ありえない』なんて事はありえない」というこの考え方は、今の時代にも必要なものなのかもしれません。
「だけど不自由である事と不幸である事はイコールじゃない」
鎧に魂を定着させたその体のことをスカーに指摘されたときのアルの名言です。
「たしかにこの身体だと不自由な事はたくさんある だけど不自由である事と不幸である事はイコールじゃない 哀れに思われるいわれは無いよ!」……シンプルな言葉ではありますが、はっと気づかされたという方も多いのではないでしょうか?
漫画「鋼の錬金術師」の世界の中だけではなく、読者が生きている世の中でも言えることです。
賢く、前向きに生きているアルから学ばされることはとても多いです。
「―――いかん 雨が降って来たな」
作中でもマスタング大佐の親友であるヒューズの死は、本当に多くの読者の心をえぐりました。
ヒューズは知りすぎてしまったがゆえに、ホムンクルスに殺されてしまいます。
殉職による二階級特進によって、上司であったマスタング大佐を階級的には追い越してしまいます。
ヒューズの墓前でのマスタング大佐とホークアイ中尉のやり取りでは、誰もが涙腺崩壊したはずです。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ ―――いかん 雨が降って来たな」
「雨なんて降って…」
「いや 雨だよ」
すっと一筋の涙を見せるマスタング大佐に心揺さぶられた方は多いでしょう。
「貴方はそちらに堕ちてはいけない…!」
マスタング大佐にとって、ヒューズの死というのはとても大きなものでした。
もちろん、ヒューズが死んだからこそ余計に立ち止まるわけにはいかないのですが、その中でマスタング大佐はヒューズを殺した犯人への復讐心がどんどん大きくなっていきます。
物語の終盤でマスタング大佐はヒューズを殺したのがホムンクルスのエンヴィーであることを知ります。
同時に、その残酷な手口までをも知ってしまいます。
そこでマスタング大佐の復讐心に火がつき、ただただ復讐のためにエンヴィーに攻撃を仕掛けるのです。
そこでホークアイ中尉がマスタング大佐に銃口を向け、「貴方はそちらに堕ちてはいけない…!」と言うのです。
このセリフによって、マスタング大佐は踏みとどまることができたのです。
「ぬくぬくとした安全地帯から戦場を眺める貴様らのような者が——— 『痛み』とかいうものをさも崇高であるかのように仕立て上げ利用する!」
ムキムキマッチョのアームストロング少佐の姉であるオリヴィエ・ミラ・アームストロング少将は、美しいだけではなく、強くてかっこいいです。
物語の終盤で、腐りきった上層部に対して「ぬくぬくとした安全地帯から戦場を眺める貴様らのような者が——— 『痛み』とかいうものをさも崇高であるかのように仕立て上げ利用する!」と言い放つシーンにはゾクゾクした方も多いでしょう。
これは今の世の中にも言える名言です。
アームストロング少将のような人がいてくれればいいのにと思わざるを得ません。
「貴方 美しくない」
紅蓮の錬金術師として知られているキンブリーは作中でもたびたび登場するのですが、終盤ではホムンクルスのプライドに食べられてしまいます。
食べられて終わりか……と思いきや、食べられた後にもキンブリーはプライドの中で自我を保っていました。
キンブリーの美学に反するような動きをするプライドを制止し、「貴方 美しくない」というセリフとともに去っていきます。
キンブリーは敵キャラではあるのですが、自分の美学というものを持っているとても魅力的なキャラクターです。
残酷な一面もありつつ、紳士的で相手にも敬意を払うといういかにもキンブリーらしい散り方で大好きな名言&名シーンのひとつです。
「なめるなよ あれは私が選んだ女だ」
圧倒的な強さとかっこよさで人気のブラッドレイなのですが、その最期に心をぐっとつかまれたという読者は少なくありません。
死に際、ランファンに言い残すことはないのかと問われたときのセリフです。
「なめるなよ あれは私が選んだ女だ 私とあれとの間に余計な遺言など要らぬ 王たる者の伴侶とはそういうものだ」……敵キャラではあるものの、その潔さに痺れます。
夫人に関しては過去にも言及しているシーンがあるのですが、「自分で選んだ」という部分を強調しているあたりそこに特別な思いがあったことがうかがえます。
ホークアイ中尉には「家族ごっこ」と言われたこともありましたが、そこには確かな愛情があったのでしょう。
「格の違いってやつを見せてやる!!」
これは本当に漫画「鋼の錬金術師」を代表する名言とも言えるでしょう。
最初に登場するのは物語の初期の頃です。
賢者の石を使って人々を騙しているレト教の教祖との戦いのとき、エドが「降りて来いよ ド三流 格の違いってやつを見せてやる!!」と言い放ちます。
そして、最後のお父様との戦いのときにもこのセリフが出てきます。
満身創痍のエドが「立てよ ド三流 オレ達とおまえとの格の違いってやつを見せてやる!!!」と言うのですが、いろいろなものがこみあげてくるセリフです。
エドの成長、ともに戦ってくれる仲間たち……これぞハガレンです。
「必要とか理屈とかじゃないんだ おまえ達が何より大事なんだ 幸せになってほしいんだ」
最後の戦いでは、アルがエドの右腕を取り戻すために自ら向こう側に持っていかれるという選択をします。
戦いを終えたエドは当然アルを取り戻したいわけですが、賢者の石は使いたくありません。
どうすればいいのかというときに、エドとアルの父親であるヴァン・ホーエンハイムが自分の命を代償にアルを取り戻せばいいと提案します。
それに反発するエドに対して、ホーエンハイムは「必要とか理屈とかじゃないんだ おまえ達が何より大事なんだ 幸せになってほしいんだ」と言うのです。
この後のエドの「バカ言ってんじゃねぇよ クソ親父!!」、そして、ホーエンハイムの「やっと親父と呼んでもらえた」も含めての名シーンです。
個人的にホーエンハイムは大好きなキャラクターで、その懐の大きさや愛情深さが一番伝わってくる名シーンだと思っています。