【ネタバレあり】漫画「極主夫道」9巻の批評と感想。

2022年3月9日に発売された「極主夫道」9巻。

本作は元極道・現主夫の龍の日常を描いた、シュールなギャグ漫画です。

この記事では「極主夫道」9巻の批評と感想を紹介!

ネタバレを多分に含むので、未読の方はご注意ください。

「極主夫道」9巻の感想

単行本は春発売ですが、本誌掲載時期は夏だったのでしょう。

「極主夫道」9巻は、プライドが邪魔して炎天下でもスーツを脱げないヤクザたちや、怖いのか怖くないのかよくわからない怪談対決など、夏にまつわるエピソードが多かったです。

今回も日常の些細な出来事をスケールの大きなギャグにうまく変換しており、現実離れした面白さがありました。

しかし9巻では、少し中だるみする印象を受けたことも事実。

「極主夫道」はシンプルな感嘆オチでエピソードをふわっと終わらせる手法がよく用いられますが、今回はオチのパンチ力が弱まっているように感じました。

もしかすると、何度も同じ手法のオチを読むことで、筆者に飽きが生じてきたのかもしれません。

とはいえ、キャラクターの個性はあいかわらず際立っており、トータルとしては楽しく読めました。

「極主夫道」9巻の内容と見どころ

ここからは「極主夫道」9巻のなかで、特に面白いと思った見どころを紹介します!

雲雀姐さんと羊毛フェルト

主婦友から「羊毛フェルト」の存在を教えてもらい、偶然出会った雲雀姐さんとなりゆきで一緒に羊毛フェルト制作をすることになった龍。

ちなみに羊毛フェルトとは、羊毛を専用の針で刺し固める手芸の一種です。

何にでも興味を持ち「美久にあげたら喜ぶやろか」とパートナー優先で物事を考える龍の主夫力の高さは流石としかいえません。

そして龍と雲雀姐さんは、羊毛フェルトキットを使って「猫ちゃん」を作ることにしました。

雲雀姐さんは以前も猫カフェを訪れるエピソードが描かれており、猫好きキャラが定着しつつありますね。

しかし製作開始からほどなくして、雲雀姐さんの手先が猛烈に不器用なことが判明!

雲雀姐さんの猫ちゃんは、猫というよりもクマとクリーチャーを融合させたような生き物です。

雲雀姐さんはいつも発想がぶっ飛び気味ですが、まさか羊毛フェルトのセンスまでぶっ飛んでいるとは…。

奇想天外な雲雀姐さんが登場する回はいつも面白く、個人的には「極主夫道」9巻で1番好きなエピソードでした。

雛見沢症候群のすず

龍はある日、主婦友のママさんから「娘のすずが野菜を食べない」と相談を受けました。

すずの野菜嫌いを克服するため一肌脱ぐことにした龍は彼女の家を訪れますが、すずは龍が「ニンジン」という言葉を口にしただけで、まるで別人のように表情を一変させます。

死んだ魚のような目をして、じっと龍を見つめるすず。

かつて極道の世界で多くの人から恐れられ、主夫になってからもあらゆるピンチに立ち向かってきた龍ですら、すずの威圧感に思わず恐れおののいています。

すずが相当の手練れであると感じ取った龍は、細かく刻んだ玉ねぎやペースト状のニンジンを仕込んだ特製お子様ランチを作成!

しかし、すずは出されたお子様ランチを見た瞬間、恐ろしい表情と冷静な口ぶりで次々と龍の野菜トリックを見破りました。

龍はそれでも何とか取り繕おうとしましたが、すずから「じゃあこの玉ねぎは何かな?…かな?」と極めつけの一言を浴びせられ、返す言葉もなく完敗。

すずのこの言い回しはアニメ「ひぐらしのなく頃に」のオマージュですが、迫力たっぷりの大ゴマで描かれ、面白さの中に背筋が寒くなるような恐怖をも感じます。

「極主夫道」では定期的に他作品のパロディネタが登場しており、元ネタを探りながら読めるところも楽しいです。

心配になる雅の私生活

「極主夫道」9巻では、本編とオマケ漫画にて雅の家のエピソードが登場しました。

まず本編は、雅の家の生活臭について。

雅の家の生活臭が気になった龍が、ハーブの力を使って消臭を試みる話でしたね。

人間が暮らす以上、室内干しや生ごみから出る生活臭を完全になくすことはできません。

しかしゴキブリが出ても驚かず「よく出る」と発言していることから、もしかすると雅の家は普段から衛生的ではない可能性があります。

そしてオマケ漫画では、YouTube動画風に雅のモーニングルーティンが描かれているのですが、これがまたひどい!

夕方に起床し、突発的に流しそうめんをしようと思い立ったものの、途中でそうめん台が崩落し全てが嫌になったという雅の一日。

この一連の行動がルーティンになるほど、雅の毎朝は荒んでいるのでしょうか。

最終的に雅はぐちゃぐちゃになった暗い部屋のなかでどんより沈んでしまっていて、もはや私生活を通り越して彼の精神状態まで心配になってきます。

龍や美久のとばっちりを受けてもいつも明るい雅ですが、9巻では意外な一面を見た気がしました。

「極主夫道」9巻の総評

今回も笑えた「極主夫道」9巻。

前巻よりかは少し面白みに欠けたかな?というのが正直な感想ですが、相変わらずのテンポの良さでサクッと最後まで読めました。

1話完結型なので読み終わった後のモヤモヤ感もなく、読後はシンプルに「楽しかった!」と思えるところも魅力ですね。

9巻で少し物足りなかったところは次巻で巻き返してくれると信じつつ、10巻発売を待ちたいと思います。

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