2023年1月7日に発売された「極主夫道」11巻。
元ヤクザ・現主夫である龍の日常はあいかわらず波乱万丈で、今回も抜群の面白さです。
この記事では、そんな「極主夫道」11巻の批評と感想をネタバレ込みでお届けします。
「極主夫道」11巻の感想
主役の龍たち夫婦だけでなく、魅力的な脇役の活躍が特に印象的だった「極主夫道」11巻。
11巻は、弟分の雅にライバル的存在の虎二郎、雲雀姐さんやお馴染みの町内会メンツも登場し「準レギュラーの脇役勢ぞろい」といっても過言ではない巻でした。
「極主夫道」は、龍と周囲の人たちがどう動くかによって面白さがかなり左右されると思うので、脇役が多数登場し派手に物語をかき回してくれたのが嬉しかったです。
また、ギャグのおもしろさ、ストーリーのテンポの良さなどは今回も安定しています。
「極主夫道」は、雑誌掲載時に話題となっている時事ネタを盛り込むことがよくありますが、今回はヤクルト1000をイメージしたであろう「ヤクミルY」が登場し、必死にヤクミルYを探す龍の姿にクスっとしました。
あと意外と参考になったのが、龍直伝の「おいしいインスタントラーメンの作り方」。
茹で汁に重曹を使うと麺がもちっと仕上がるとのことで、龍の主夫力の高さを改めて感じました。
「極主夫道」11巻の内容と見どころ
ここからは「極主夫道」11巻のなかで、特におもしろいと思ったエピソードや見どころをピックアップして紹介します。
カタギーランドを楽しむ元ヤクザたち
11巻は、龍夫婦と虎二郎兄妹が遊園地「カタギーランド」でばったり鉢合わせるエピソードからスタート。
謎の敵対心で張り合いつつ意外と息が合っている龍&虎二郎と、そんな男たちに冷めた視線を送りつつ和気あいあいとする美久&虎春の組み合わせが、個人的にとても好きです。
カタギーランドで偶然出会った龍と虎二郎は、さっそくよくわからない理由で言い争いを始めます。
しかし、そんな2人の間に入りものすごい圧で争いを止めたのが初登場の「ワン太さん」。
ワン太さんはカタギーランドのマスコットキャラクターで、普段は語尾に「ワン」をつけて可愛らしく振る舞っているものの、オマケ漫画では中に超絶コワモテのおじさんが入っていることが判明。
ワン太さんに諭された龍と虎二郎はその後、小競り合いながらもカタギーランドを全力で楽しんでおり「おじさんズがはしゃぐ姿」が微笑ましい回でした。
激ヤバ1万円物件
巻を追うごとにヤバい人物へと進化していっているキャラクターといえば、雅。
一見従順な舎弟のように見えて、実は誰よりも発想が突飛な彼は、今回も期待を裏切ることなくヤバかったです。
雅は家賃を滞納しすぎたことにより、大家さんから追い出し宣告を食らっていました。
そこで、今よりも家賃の安い家を探そうと、龍と一緒にどう見てもヤクザの風体ながら実は良心的な不動産屋さんを訪れます。
「1LDK」「風呂トイレ別」「駅近」など注文をつけまくった挙句「家賃1万」という条件を出す雅。
普通に考えれば絶対無理な条件ですが、イケると信じて本気で家探ししているあたりが、雅のヤバさを的確に表しています。
最終的に、床に血痕、窓に弾痕、霊の存在を感じさせる家なりがあるものの、雅の条件を全て満たす家が見つかりました。
雅が契約したかどうかまでは描かれませんでしたが、ヤバい雅にはちょうどいいヤバい家なのではないでしょうか。
ちなみに、この家の間取り図は今回のカバー裏に掲載されており、家そのものは広くてとても住みやすそうです。
バー営業を始めた仁義亭
「極主夫道」11巻は、龍が時たま臨時で働いているカフェ・仁義亭がたくさん登場しました。
お昼は普通のカフェとして営業している仁義亭ですが、夜は雲雀姐さんが切り盛りするバーとして営業することにしたそうです。
ある夜、バー営業をする仁義亭に辿り着いたサラリーマンのおじさん。
おじさんは、姐さんや龍、酉井組の組員という従業員メンツを見て思わず「ぼったくりバー?」と考えますが、疲れていたこともありそのまま一杯飲んでいくことに。
酒を欲する客にミルクを出す、軽食を注文されてギガ盛りチャーハンを出すなど少々ぶっ飛んでいますが、姐さんの接客は客の心に寄り添おうという努力が見え、行ってみたくなる魅力があります。
ミルクを飲みながら姐さんに愚痴を聞いてもらい、お腹がはちきれそうになるほどギガ盛りチャーハンを食べたおじさんは、きっと明日からまた頑張れるはずです。
「極主夫道」11巻の総評
11巻もスピード感あるギャグで最後まで楽しく読めた「極主夫道」。
龍の周りに個性的な脇役が多数登場したことで、龍の存在感が少し弱まったようにも思いますが、だからこそマンネリ化しにくくおもしろさが続いているのかなと考えます。
また、龍と美久は休日にお互いをカメラで撮り合ったり、ふるさと納税で手に入れた高級肉に2人で浮かれたりと相変わらず仲良しで、読んでいてほっこりします。
圧倒的なギャグセンスで笑わせてくれつつ、時たま本当に役立つ生活の知恵が得られる「極主夫道」、12巻の発売が今から楽しみです。