人気漫画である『銀魂』。
作者の空知英秋氏の言葉選びがとても面白く、数々の名言を残しています。
今回はその名言を名シーンと共に紹介していきます。
星海坊主篇
細けーことはよくわからねーや
けど 自分を想ってくれる親がいて
他に何がいるよ
俺ァほしかったよ アンタみてーな家族が
皮肉なもんだな ホントに大事なモンってのは
もってる奴よりもってねー奴の方がしってるもんさ
これは銀魂8巻での主人公の坂田銀時が言ったセリフです。
神楽の親父の星海坊主が神楽を故郷に連れ帰そうと登場し、少しギクシャクしていました。
そして帰り際に、銀時が星海坊主に神楽が書いた手紙を渡し、去り際に銀時が言った言葉です。
銀時には家族の描写がなく、この発言から本当に家族はいないと考えられます。
その銀時が親子喧嘩を見ている心情と、娘をとても大事に思っている星海坊主が重なっている描写がグッときます。
星海坊主も、神楽からの手紙を読みながら、銀時の言葉をきっかけに神楽を連れ戻すことをやめるのも、ジーンとしてしまいました。
最後の2行はとても有名で、ないものねだりという言葉をこれだけ分かりやすく、心に響く文章にするのはすごいなと感心させられました。
八郎篇
八郎へ
まず一つ アンタまだ箸の使い方がなってませんね
直しなさいっていったでしょう 母さんスゴク気になりました
あと ものを食べる時クチャクチャ音を立てない 母さんスゴクイライラしました
最後に・・・ 細かいことはよくわからないけども
母さんアンタが元気でやってくれればそれでいいです
たとえどんなんなったって
アンタは私の自慢の息子です
これは銀魂13巻で狂死郎の母が狂死郎に向けて送った手紙の内容です。
No.1ホストである狂死郎はホストになるために顔を変えており、親に顔向けできないままでいました。
ですが、狂死郎の母は顔が変わっても普段の癖から狂死郎を見つけ、煮物と手紙を送りました。
たとえ息子がどんな風になっても元気でいてくれればそれでいいという言葉がとても胸に刺さります。
この手紙を見終わった後、泣きながら煮物を食べる様子は今までの思いともあいまってとてもグッときました。
吉原炎上篇
年老い己が来た道を振り返った時 我らの道にはなにもない
本当に欲しいものを前にしてもそれを抱きしめる腕もない
爪をつきたてることしかできぬ
引き寄せれば引き寄せる程 爪は深く食い込む
手を伸ばせば伸ばす程 遠く離れていく
これは銀魂26巻での夜王鳳仙が言ったセリフです。
銀時らとの戦闘で敗れた鳳仙が神楽の兄である神威に向かって言っています。
鳳仙は日輪という花魁を手にいれるためにさらって、自分の手中に収めるためにアキレス腱を切って歩けないようにしています。
鳳仙が日輪に対する歪んでしまった愛情表現とも捉えることが出来ます。
また、年老いたという表現を使っていることで、今まで手に入れてきたものが全て虚像で、本当に手に入れたいものは手に入れられなかったという悲しい表現と勝手ながら感じてしまいました。
このセリフの後、日輪の膝の上で安らかに息を引き取る鳳仙の描写がとても印象的です。
年老いていく鳳仙と年老いていく自分とを重ね合わせることで、生き方や行動について考えさせられます。
地雷亜篇
オメーが捨てたモンの中には大切な荷も混ざってたんだよ
仲間を捨てた? 違う 仲間を失うことが怖かったんだろう
一人で戦ってきた? 違う 最初から一人であれば孤独になる苦しみもねェからだろう
己を捨てた? 違う てめーは背負う苦しみも背負われる苦しみからも逃げた
ただの臆病者だ
これは銀魂30巻での銀時が言ったセリフです。
隠密活動のために自分の顔を焼き潰して自分の存在を消したり、仲間を殺すことでずっと一人で戦ってきた地雷亜が弟子の月詠を自分と同じ道に進めさせるために月詠の顔の皮を剥ごうとしていました。
そこで、銀時が助けに入り、地雷亜との戦闘シーンに入ります。
一度仲間を失っている地雷亜、師弟の大切さを知っている銀時の2人の背景を考えると、どちらの立場に立っても考えさせられる言葉になります。
銀時は師匠に育てられてきて、師匠を本当に大切に思っているので、漫画内では常に本気の顔をしており、かなりの思いを持っているのかなと感じました。
尾美一篇
いいか二人とも
涙っつーのはな 流せば辛い気持ちや悲しい気持ちも
一緒に洗い流してくれる便利な代物だ
だがいつか二人が大人になったらしる
人生には
涙なんかじゃ流せん大きな悲しみがあることを
涙なんかじゃ流しちゃいかん大切な痛みがあることを
だから 本当に強い人間ってのは 泣きたい時程笑うのさ
痛みも 悲しみも全部抱えて 笑って奴らと一緒に歩いていくのさ
今は泣きたい時に泣けばいい でもいつか二人も
そんな強い 侍になれ
これは銀魂46巻での志村新八の兄、尾美一が言ったセリフです。
一度事故で死んだ尾美一が毘夷夢星人(びいむせいじん)によって半身を機械化されてしまいました。
その毘夷夢星人(びいむせいじん)が地球に向かってビーム砲を打ってきた際にそれを防ぐために、尾美一が攻撃してビーム砲を防いだ時に言った言葉です。
新八、姉の志村妙にとっては死んだと思っていた兄が帰ってきた喜びと、その兄が機械となり、敵に操られているという2つの事実を知らされ、成長した自分を見せるシーンは印象的です。
このセリフの後に、まるで尾美一の言葉が聞こえているかのように笑っている2人の姿を見るとグッときますね。
兄の教えを経て一歩前へ踏み出す場面を見ると、一つ成長していったんだなと感じました。
死神篇
罪を犯し鬼となり果てた人間を人へと還すことができるのは人だけだ
だから俺にお前を斬る資格はない
鬼に鬼を斬る資格はない
これは銀魂53巻での先代夜右衛門が銀時に言ったセリフです。
銀時が朝右衛門の実の父が幕府に捕まりそうになっていた際に娘を差し出すから助けてくれ、と逃げようとしていました。
そこで、銀時が他の人間へ危害を加えないことを約束に、自分の首と朝右衛門の父親の首を差し出しました。
この一連の流れを見ていた先代夜右衛門が銀時を逃がす際に言った言葉です。
先代夜右衛門は数々の人を処刑してきた自分を鬼と表現し、逃がす口実を作ったと考えられますね。
この行動があるから、銀時が万事屋になることに繋がっている場面もあるので、名シーンだといえます。
快援隊篇
わしゃ商人じゃ
金さえ払えば船だろうがバッグだろうが笑って売ってやる
だが何ぼ大金積まれてもその石ころの価値も解らん客に
仲間の価値も解らんクズに
くれてやるもんなんぞ何もねえ
お帰り願えますかお客さん
これは銀魂54巻での坂本辰馬が敵に向かって言ったセリフです。
これは商人の坂本辰馬にしか言えない言葉ですね。
捕まってしまった仲間の陸奥を助けるために、普段ふざけているように見えている辰馬が本気で怒っています。
辰馬が仲間思いな面と、商人として本気で商いをしている面の2つの良い面を持っている辰馬の魅力がつまった言葉ですね。
おわりに
銀魂の名言、名シーンを紹介してきましたが、どうでしたか。
登場キャラクターの背景や今までの流れを考えてこの言葉を見るとまた違った見方が出来るのが楽しみの1つですね。
この他にも、まだまだ銀魂には名言、名シーンがたくさんあるので、気になったら読んでみるのもいいですね。