漫画「チェンソーマン」第1部の名言を名シーンと共に紹介。

アニメ化も決定し、話題沸騰中の「チェンソーマン」。

あのキャラクターの声優さんは誰になるのだろうか?
主題歌は?
など、色々妄想しながら楽しんでいる。

漫画「チェンソーマン」第1部が完結したわけだが、改めて見返してみると、今作は伏線が見事に回収されており、シナリオの運び方が絶妙だ。
一周目にはさらっとながしていたセリフが、重要な意味を持っていたりする。

今回は漫画「チェンソーマン」第1部の名言を名シーンと共に紹介していきたいと思う。

一周目の感想と二周目の感想をのせるのでそれも比較してみて欲しい。

「食パンにジャム塗ってポチタと食って 女とイチャイチャしたりして 一緒に部屋でゲームして……抱かれながら眠るんだ……」

物語冒頭、デンジは倉庫のようなボロ小屋でポチタと二人、空腹で眠れぬ夜を過ごしていた。
デンジは今日寝たら見る夢を決める。
それがこのセリフだ。

一周目は「普通の幸せ」が彼にとってどれほど遠いものかを実感した。
女とイチャイチャなどは年相応の夢で、何だか妙にリアリティがあったのを覚えている。
ジャンプでは悲惨な状況から立ち上がる主人公が多く描かれているが、どうしてもデンジが同じ道を行くとは思えなかった。
果たして、どうなってしまうのかというハラハラ感でいっぱいだ。
そこでもう読者をこの独特な「チェンソーマン」の世界観に引き込むことに成功していると思われる。

二周目にこのセリフを見ると、ぐっとくるものがある。
11巻でもデンジがパワーに言っているように、デンジは公安に入ってから、借金地獄の時からは想像もつかないような夢のような生活ができたのだ。

食パンにジャムを塗って食べることもできたし、レゼとは一瞬だったが、イチャイチャもできた。
パワーとは一緒にゲームして楽しんで。
デンジは夢見たことをすべて実現したのだ。
しかし、それはすべてマキマの手のひらの上で踊らされているに過ぎなかった。
その空しさも一緒に襲ってくるどこか儚げなセリフだ。

「キミの親友はキミのなかで生きてる」

自分のせいでポチタが死んでしまったことを悔いるデンジに向けてマキマが言ったセリフ。

この言葉を聞いて、デンジは喜び、安心する。
ポチタは自分の中で生きていると。

一周目はマキマはなんて良い人なんだろうと思ったものだ。
どこの馬の骨ともわからないデンジの言葉を信じる優しさ。
仕事には厳しいが、根はやさしい人なのだろうと安堵したものだ。

二周目はまるで意味が変わってくる。
マキマはデンジではなく、デンジの中にあるチェンソーマンの心臓のことしか見ていない。
鼻が利くんだという伏線もここで初登場している。
気になるチェンソーマンの匂いだけ察知しているわけだ。
この鼻が利くという描写は一周目は変わった表現だなと思ったくらいで見逃してしまったが、まさか最終戦での伏線になるとは夢にも思わなかった。
二周目では意味が変貌してしまったセリフには寒気すら感じる。

「みんな偉い夢持ってていいなア!! じゃあ夢バトルしようぜ!夢バトル!!」

ヒルの悪魔との戦いの際に、デンジが叫んだセリフ。

パワーはニャーコを救うため、アキは復讐のため。
みんな戦う理由がある。
しかし、デンジはというと女性の胸を揉むというお世辞にも戦う理由には低俗なものしか持っていない。
地獄を見てきた彼にとってはこの夢は決してくだらないものではなく、憧れの1つであった。
ポチタにも話した普通の暮らしという大きな憧れ。
それが胸を揉むということだった。
それを馬鹿にされるのがどうしてもデンジは許せなかった。
そこで夢バトルを開催するわけである。

一周目は正直、無邪気で頭のねじがぶっ飛んでいる、ジャンプの主人公らしからぬ発言に驚いたものだ。
でも、自然と応援したくなるような気持ちにかられた。

二周目ではもう少し冷静にこのセリフをみることができた。
いきなりのこのセリフではなく、積み上げたものがあってからのセリフだということに気が付く。
普通がなによりも大きな夢であるデンジにとって、この夢は決して低俗なものではない。

難しいことを考えることもなく、ただ、素直に生きていた彼は、将来アキたち家族を失い、すべてが嘘だったと知らせれる未来が待っているとは思いもしないだろう。
それを思うと複雑な気持ちにかられる。

「私が早川くんを一番に信用してるからだよ」

何故自分の家にデンジやパワーと言った危ない連中を集めるのかというアキの問いに対するマキマの返答。

この言葉に、顔を赤らめて「はい」と答えるアキ。

一周目は、アキは信頼されているのだなと言葉通りに受け取った。
そして、すぐに次のコマへと移動してしまった。
あまり、重要なセリフではないと認識したのである。
それよりもパワーはこの早川家で上手くやっていけるのかなとそちらのほうが気になってしまった。

しかし、二周目はこれがぞっとするセリフに変わる。
私にはこのセリフがこう聞こえるのだ。

「私が早川君を一番に利用しているからだよ」

そう。
アキは散々マキマに利用されるのだ。
デンジを幸せにするためのお兄さん役として。
そして銃の魔人にさせ、デンジの手によって殺させ、その幸せをぶち壊させる。
マキマはその死すら利用するのだ。
この時のマキマの口元に注目してほしい。
明らかに笑っているのだ。
これは計画のことを思って思わず笑みがこぼれているのではないだろうか?

使えるものは何でも利用する。
マキマの歪んだ性格が見え隠れするセリフに思えて仕方がない。

「……マキマさんは俺に心ってあると思います?」

デンジとマキマのデートの帰りに、デンシがマキマに尋ねたセリフ。

サムライソードに心がもう人じゃないと言われたことを気にしていたデンジ。

するとマキマはデンジの胸に顔をうずめ、心臓の音を聞く。

突然のマキマの行動に慌てふためくデンジだが、マキマは「あったよ」とだけ答える。

一周目はマキマの優しさからくる行動で、心温まるシーンだなとしか認識していなかった。

二周目は良く考えると、ここではデンジの心臓の音を聞いているのではなく、チェンソーの心臓の音を聞いて、愛おし気な表情をしているだけなのだ。
デンジのことなど彼女は見ていない。
マキマにとって、大事なのはチェンソーマンだけだ。

マキマの表情の意味がわかり、ぞっとした瞬間だった。

「チェンソーマンに食べられ 彼の一部になる……それほど光栄なことはありません」

岸辺に銃を突き付けられながら、マキマが彼に言ったセリフ。

「私は彼のファンです」と前に言っており、チェンソーマンに心酔している様子がうかがえる。

一周目はおおげさなことを言っているが、それほどまでにチェンソーマンに入れ込んでいるのかと恐怖すら覚えた。

二周目ではそれがそのまま伏線になることにぞっとする。
チェンソーマンに食べられて、一つになることで、彼女の望みは叶ったのだ。
最後にデンジに食肉として食べ尽くされる。
見事な伏線回収だ。

「たくさん抱きしめてあげて」

ナユタとマキマが飼っていた犬たちと共に眠るデンジ。
夢の中でポチタと会話し、そこでポチタがデンジに言ったセリフ。

一周目は幸せそうなナユタの顔になんて素敵なハッピーエンドなのだろうと、マキマが幸せになって良かったという感想だった。

二周目で、本作を見返すとラストシーンにつながるまでの伏線が大量に張られていたことに気づく。

第一部のキーワードは「抱きしめる」。

デンジとマキマの出会いシーンで「抱かせて」というデンジの言葉に、嬉しそうに抱きしめるマキマ。デートで映画を見ていて抱き締め合う二人のシーンで、泣くマキマ。

そして、最後のナユタのシーン。

すべてがつながり、一周目よりも感動でじんときてしまった。
良く作られたシナリオだと改めて痛感する。

まとめ

今回は漫画「チェンソーマン」第1部の名言を名シーンと共に紹介した。

「チェンソーマン」は見るたびに、発見が多く、ぜひ、二周目も読んでみて欲しい。

個人的に驚いたのが、姫野の「…例えばマキマさんの性格が糞でも好き…?」だ。

これはマキマの結末がこの時点で決まっていたことを示しているのではないだろうか。

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