漫画「チェンソーマン」は藤本タツキ先生が描く作品で、「週刊少年ジャンプ」で第1部「公安編」が2019年から2021年まで連載されていた。
第2部「学園編」は「少年ジャンプ+」で2022年7月より連載中である。
コミックス13巻までの累計発行部数は、2023年4月の段階で2400万部を突破。
2022年10月からはアニメも放送され、アニメーション制作「MAPPA」によるハイクオリティな作画で話題となった。
主題歌も米津玄師さんが担当、エンディングテーマは全12話全て違うもので、週替わりであった。
ストーリーは、チェンソーの悪魔に変身できる主人公「デンジ」の活躍が描かれている。
大勢の死人が出たり、ショッキングな出来事が起きたりと退廃的な世界観が特徴。
現在は第2部が連載されていて、「戦争の悪魔」と体を共有するアサを中心とした物語が展開される。
今回は「チェンソーマン」14巻の批評と感想を紹介するが、14巻は恋愛などの心の機微に触れる繊細な表現がある魅力的な巻だった。
悪夢の水族館デート
アサはデンジを武器にするために、水族館でデートをすることに。
デンジを惚れさせようと延々とイソギンチャクやヒトデの話をするアサに対して、ペンギンが見たいデンジ。
かみ合わない2人のデートに読んでいるこちらが心配になってしまうが、後半意外な展開を迎える。
戦争の悪魔の姉、飢餓の悪魔が現れて、アサたちを水族館に閉じ込めてしまうのだ。
外部と完全に遮断されてしまった空間で皆、異様な行動を取り始めてしまう。
魚が嫌いで食べられないアサに対してデンジはヒトデを食べようと提案する。
ヒトデを茹でて食べる2人。
そして、苦手な魚を無理やり食べようとするアサを見て、面白がるデンジ。
確かにアサの話はつまらないかもしれないが、ここのアサのリアクションは自然なアサの表情が見られるので良い。
その後も、水族館から出る方法を思いついたアサがデンジと一緒にお金を集めるのだが、そのシーンは2人が楽しそうにしていて実に印象的だ。
特に、アサとデンジの顔のアップされているコマを見て、あれ、この2人はお似合いなのでは?
と思った。
デンジの無邪気さがアサの融通の利かない頑固な心を解きほぐしていく様子が読んでいてとてもほのぼのするのだ。
お金を集めるときのセリフのないシーンだが、「チェンソーマン」では12巻で、靴が片一方しかない状態でユウコと走るシーンもセリフがなかったのを思い出す。
改めて、セリフがない動きだけで見せるシーンは、キャラクターが夢中になっている様子が伝わる。
不器用な2人
アサとデンジは2人とも、恋愛に関しても、対人関係に関しても不器用だ。
まず、冒頭で驚いたのが、アサが鏡を見ながら、「自分はそこそこかわいいからすぐに惚れるだろう」という傲慢さだ。
漫画のキャラクターがここまで嫌われるようなことを言ってしまって大丈夫なのかとひやっとしたが、ああ、でもアサはこういうキャラクターだったなあとすぐに思い返すのだ。
水族館での出来事があった夜、自分に惚れていないデンジのことを思い出して、むかついているのが、アサらしい。
確かにあれだけ急接近したのに自分に惚れていないのは少し腹が立つかもしれない。
しかし、一筋縄ではいかないのがデンジなのだ。
そして、大波乱のデンジ家でのデート。
アサに嫌いと言われてしまったかわいそうなデンジ。
デンシは悩んでしまう。
好きだからデートに誘ってくれたのでは?
アサのこと少し好きになっていたのにと。
ここはかわいそうなデンジに同情してしまう。
デンジは水族館で平気な顔をしていたように、頭のねじはぶっとんでいるが、恋愛に関しては素直な印象を受ける。
普通の高校生の恋愛なら、ここまでこじれないのに正体がチェンソーマンのデンシとデンジを武器にしようとしているアサという特殊な関係性が効いている。
お互いに隠し事をしているために生じるすれ違いが読んでいる読者を楽しませてくれる。
ナユタ登場
ナユタは第1部の終わりで登場した新しい支配の悪魔。
第一部では幼い少女の姿だったが、第2部では小学生くらいに成長した。
現在はデンジと一緒に暮らしている。
13巻でデンジが寝ているときに、頭だけ見えていたのできっとナユタに違いないと思って登場を楽しみにしていた。
デンジ曰く、性格がヤバい超問題児。
その言葉の通り、ヨルがデンジにキスしているところに居合わせ、「泥棒」と言いながら、一時的にだが、人格を犬に変えてしまった。
デンジを誰にも取られたくないという気持ちがこうした行動に反映されているのだろう。
デンジの影響を大きく受けているようで、「ギャハハ」という笑い方やピースをする癖が挙げられる。
また、「匂い」に敏感でマキマとの共通点がある。
「それいけ!チェンソーマン!」といって、デンジをパシッとたたくなど、コミカルな面も見られ、今までもこうやって二人はやってきたのだろうなと思わせてくれる。
デンジがナユタは頭が良いと言っていたが、デンジのやる気をうまく引き出しているシーンがあり、確かに優秀だと思わせてくれる。
この二人の凸凹なやり取りを見ていると、コンビが活躍するところが早く見たいなと思う。
ナユタは悪魔がいる現場には一緒には行くのだろうか?
それとも家でお留守番なのだろうか?
今後の展開に期待感が高まる。
まとめ
「チェンソーマン」14巻の批評と感想を紹介した。
個人的にアサとデンジの今後の恋模様が気になって仕方ない。
水族館でデンジと一緒にお金を集めていたときのアサの表情がとても明るかったのが印象に残っている。
アサとデンジには仲良くなってほしいと思う反面、第1部の経験上、そうは問屋が卸さないのが容易に想像できる。
さらなる地獄が待ち構えているのかと思うと、怖いもの見たさで興味がわいてくる。
今後の展開に期待したい。
関連 【ネタバレあり】漫画「チェンソーマン」13巻の批評と感想。
関連 【ネタバレあり】漫画「チェンソーマン」12巻の批評と感想。