こんにちは。
『亜人(あじん)』という、2012年からアフタヌーンで連載されていた人気漫画(作者:桜井画門)について感想やレビューをシェアし、同時にこの作品が私たちにもたらす素晴らしさや人生の教訓についてお話ししましょう。
なお、ネタバレを最小限に抑えながら進めますが、紹介の過程で一部ネタバレが含まれる可能性があることをご了承ください。
日本は横並び社会が根付いている
今回紹介する漫画は「亜人(あじん)」です。
この漫画は2012年に連載がスタートし、もともとはあまり知名度の高くない雑誌で掲載されていました。
そのため、多くの人がこの作品を知らないかもしれません。
しかし、2016年にはアニメ化され、2017年には実写映画化もされるなど、知名度を急上昇させた漫画でもあります。
まず、この漫画のジャンルを説明します。
『亜人(あじん)』は「サスペンス漫画」の一例です。
ジャンル的にはアクション要素も含まれていますが、大まかに言えばサスペンスに分類されるでしょう。
ただし、サスペンスといっても、謎解きやホラー要素が強調されているわけではありません。
似たような漫画としては、「ホムンクルス」などが近いジャンルに属します。
物語の要約は後ほど行いますが、この漫画は特殊能力を持つ人間(亜人)が人間社会でどのように生き抜くかを描いた作品です。
日本は横並び社会が根付いている国であり、異なる存在や異質な存在が現れた場合、その調整が必要です。
この調整がしばしば「冷酷」であり「残酷」であることがあり、こういったストーリーが物語に深みを与え、魅力を引き立てています。
亜人という存在が人間社会に与える影響
アフリカの戦場で確認された新たな生物「亜人」は、驚くべき特徴を持っています。
この亜人は、死ぬことができないという特性を持ちながら、外見や中身は通常の人間と全く同じです。
日本にはたった2つの事例しか発見されておらず、そのため亜人についてはほとんど認知されていませんでした。
物語は、主人公の永井圭が、医者を志し一生懸命勉強する日常から始まります。
しかし、交通事故に巻き込まれ、圧倒的なクラッシュを生き延びたことで、彼が亜人であることが発覚します。
この驚きの事実により、永井圭は日本で3番目の亜人として注目され、研究対象とされることになります。
彼は指名手配され、追われる身となりますが、彼を助けたのは幼馴染である海斗でした。
海斗は亜人としての圭を受け入れ、人間としての友情を大切にし、助けの手を差し伸べます。
しかし、懸賞金1億円がかけられたことで、多くの人々が圭を狙い始めます。
彼は海斗の安全を心配し、他の亜人たちと接触しようとします。
その中で、亜人コミュニティを率いる佐藤が彼に接近し、危険な提案を持ちかけます。
この物語は亜人たちが現代社会でどのように生き抜くか、そして亜人という存在が人間社会に与える影響に焦点を当てており、深層心理に迫る要素があります。
『亜人(あじん)』は、死なないという現実味のある設定を背景に、読者に深い考察と緊張感を提供し、その魅力を存分に発揮しています。
社会的な法則や生物学的な本能
「亜人(あじん)」にはさまざまな特殊能力が存在しますが、一般社会で最も知られているのは「死なない」という特性でしょう。
それ以外の点では外見も中身も人間と区別がつかないため、この異種の存在が人間社会にどのような影響を与えるか、興味深いテーマとなっています。
物語の中では、亜人と人間の違いに焦点が当てられ、亜人は死なないことから一転して「化け物」として扱われる現実が描かれます。
政府に捕まると、亜人は人体実験の被験者として扱われ、非人間的な扱いを受けます。
亜人は死んでも生き返るため、都合が悪くなると殺され、繰り返し実験が行われるという過酷な状況にさらされます。
これが漫画のフィクションだとしても、実社会においても同様の差別や迫害が発生する可能性は否定できません。
異なる存在に対する差別や攻撃は、人間社会の歴史に数多く見られます。
また、人間は自身と異なる存在を利用する傾向があるため、この物語の要素は現実味を帯びています。
差別が存在することは避けられない現実であることを認識し、それにどのように向き合うべきかを考えることは重要です。
差別を否定するだけでなく、差別の存在を理解し、その対策や解決策を模索することが、より包括的で理解のある社会を築く一歩となるでしょう。
『亜人(あじん)』を読みながら、現実社会における差別についても考える機会となることでしょう。
「亜人(あじん)」は、前述のように派手な設定ではなく、比較的地味な設定から始まる漫画です。
一般的に、地味な設定の物語は、展開が複雑になりすぎて理解しづらくなったり、物語が混乱してしまうことがあります。
しかし、この漫画は地味な設定を巧みに活用し、静かながらもスリリングなストーリーを紡いでいます。
そのスリリングさは、「スリル」という言葉で最も適切に表現できるものです。
一般的に、スリルは派手なアクションやドラマティックな状況で表現されることが多いですが、『亜人(あじん)』のスリルは異なります。
それはまさに「現実味」そのものです。
もしも亜人が実際に存在する社会を想像すると、人間社会が亜人に対してどのように反応し、どのような行動を取るかがリアルに描かれています。
亜人に対する差別や虐待、亜人の反応や感情など、それらの要素がリアルに組み合わさり、物語にリアリティとスリルを与えています。
特に、田中功次(たなかこうじ)というキャラクターの心情や行動は、そのリアリティを象徴しています。
彼の行動や感情は、社会的な法則や生物学的な本能に根ざしており、読者にとって理解しやすく共感を呼び起こします。
「亜人(あじん)」は、社会や生物学の法則を背景に、リアルなスリリングな展開を描き出しており、その点で注目に値する漫画と言えるでしょう。
読み応えのある漫画
「亜人(あじん)」は奇抜な設定の派手さを持たない漫画ですが、その代わりに人間の心理描写に焦点を当てた作品です。
この徹底的な心理描写により、ストーリーにスリルが漂い、物語全体に説得力が生まれます。
そのため、読者には大いに楽しんでもらえる、読み応えのある漫画と言えます。
この作品はアニメ化や実写映画化など、その魅力が多くのメディアで評価されています。
まだ「亜人(あじん)」を読んだことがない方には、ぜひ一度手に取っていただき、その面白さを体験していただきたいと思います。